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映画のはなし シネピック

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新しい映画と出会える。映画をより深く楽しめる。そんなコンテンツをお届けしていきます。担い手は、映画ライターSYOさんなど個性豊かな面々。それぞれの感性が作り出す映画愛は必見です!… もっと読む
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2021年1月の記事一覧

「動」と「静」の演技を突き詰めた究極の表現者、綾野剛の到達点

文=SYO @SyoCinema  綾野剛という役者には、“謎”がある。  「動」にも「静」にも振り切った演技を見せられる希代の実力者だが、作品数を重ねても一つのイメージにとらわれることがない。映画やドラマはもちろん、恐らく“素”に近いであろう、バラエティ番組の出演時も、自身のSNS上にいる彼も、演じている「役」の誰かではないのか?――という疑念を抱かせるのだ。  己の全容を悟らせない表現者。「この人の本質には到底たどり着けない」と思わせてしまう、かげろうのごとき揺らめ

3人の戦友たちを描いた映画を、スピードワゴン・小沢さんが自分に照らし合わせて語る。心を撃ち抜かれたセリフとは?

取材・文=八木賢太郎 @yagi_ken ——今回は『30年後の同窓会』というチョイスでしたが。 小沢一敬(以下、小沢)「今回、この映画の話をしたくなったのには実は理由があって。俺の同期の放送作家がいるのね。桝本壮志っていうやつで、俺たちはマスマンって呼んでるんだけど」 ——元芸人で、今は放送作家ということですか? 小沢「そうそう。俺と徳井(義実)くんとマスマン、3人がNSC(吉本総合芸能学院)の同期なんだけど、その3人で一軒家を借りてシェアハウスしてたのね。2020

少年の「奇跡」の道のりにはSDGsの要素が凝縮されていた――実話に基づいた1本の映画に学ぶ

文=安田菜津紀 @NatsukiYasuda 今回取り上げるのは、『それでも夜は明ける』(’13)で第86回アカデミー賞主演男優賞候補になったキウェテル・イジョフォーの長編初監督作『風をつかまえた少年』(’19)。  干ばつに苦しむアフリカ・マラウイの村で、主人公ウィリアム(マクスウェル・シンバ)が直面した厳しい現状は、SDGsの「目標1:貧困をなくそう」「目標2:飢餓をゼロに」「目標4:質の高い教育をみんなに」「目標6:安全な水とトイレを世界中に」に通じる、根深い問題を