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映画のはなし シネピック

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新しい映画と出会える。映画をより深く楽しめる。そんなコンテンツをお届けしていきます。担い手は、映画ライターSYOさんなど個性豊かな面々。それぞれの感性が作り出す映画愛は必見です!… もっと読む
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2021年8月の記事一覧

草彅剛は『ミッドナイトスワン』でさらなる高みへ――自らのオーラを、役への魅力に変換

文=SYO @SyoCinema  2020年に劇場公開された国内の映画の中で、大いに話題を集めた1本。草彅剛が主演を務めた内田英治監督作『ミッドナイトスワン』(’20)が、8月21日(土)にWOWOWで初放送を迎える。封切り時は150劇場だった上映劇場数は、超ロングラン上映を続けるほどのブームとなり、全国271劇場にまで拡大。観客動員は累計約57万8,000人超、興行収入は累計約7億9,590万円を突破した(2021年8月5日時点)。第44回日本アカデミー賞や第23回ウデ

『これ、俺だよ!』と思ってさ、苦しくて――又吉直樹原作『劇場』を観てスピードワゴン・小沢さんが心撃ち抜かれたセリフとは?

取材・文=八木賢太郎 @yagi_ken ──今回はピースの又吉直樹さん原作の『劇場』です。又吉さんの小説が原作の作品は、今までご覧になってましたか? 小沢一敬(以下、小沢)「芥川賞になった『火花』は本も読んだし、映像化作品も全パターンを観たよ。映画版もドラマ版も。だけど、『劇場』については、なんかこれまで避けてたんだよね」 ──それは、なぜ? 小沢「なんだろうね。又吉のことは好きだし、仲もいいの。それこそ俺も又吉も20代の頃には下北沢に住んでたから、その頃はよく一緒

ホラー映画『ラ・ヨローナ~彷徨う女~』『インシディアス』ほか、2010年代の秀作をホラー好きライターが語る

文=高橋諭治  2010年代のホラー映画の傾向や特徴を、ひと言で語るのは難しい。1970年代のオカルト映画、1980年代のスプラッター映画、1990年代の青春+スラッシャー映画、2000年代のP.O.V.(ポイント・オブ・ビュー)映画のような、分かりやすい“ブーム”が見当たらないからだ。それでもこの10年間には『ゲット・アウト』('17)、『アス』('19)のジョーダン・ピール監督、『へレディタリー/継承』('18)、『ミッドサマー』('19)のアリ・アスター監督をはじめ、