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映画のはなし シネピック

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新しい映画と出会える。映画をより深く楽しめる。そんなコンテンツをお届けしていきます。担い手は、映画ライターSYOさんなど個性豊かな面々。それぞれの感性が作り出す映画愛は必見です!… もっと読む
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2021年11月の記事一覧

綾瀬はるか、女優デビュー20年! “ナチュラルボーン愛されキャラ”な彼女

文=浅見祥子  女優、綾瀬はるかを意識したのはいつだったろう?  2000年にホリプロタレントスカウトキャラバンで審査員特別賞を受賞、翌年にドラマ「金田一少年の事件簿」('01)で女優デビューを果たす。それで「誰だろう…カワイイ!」と思ったのはそう、映画『Jam Films』('02)だった。7人の監督が自由に撮ったオムニバス映画の一編、行定勲監督による「JUSTICE」で、半袖の白い体操着にブルマ姿で体育の授業を受けている女子高生を演じていた。いかにも運動が苦手そうにハ

“完璧”じゃないから好きなのかもしれない――『100日間のシンプルライフ』を観てスピードワゴン・小沢さんが心撃ち抜かれたセリフとは?

取材・文=八木賢太郎 @yagi_ken ──今回は、なぜこの作品をチョイスされたんでしょうか? 小沢一敬(以下、小沢)「最近、コロナ禍で巣ごもりの時期が続いて、家にいる時間が増えたら、家の中に荷物が多いなぁって、いつも思っててさ。Twitterにも、よく『断捨離したい』って書いたりしてたから、この映画の設定に興味を惹かれたんだよね」 ──小沢さんの断捨離は、結局は進んだんですか? 小沢「2年くらい前に、段ボール6箱分ぐらいの本を後輩たちにあげたんだけど、ここ2年で、

50年たっても終わっていない「ブラックリスト事件」――表現の自由を守る一助になるのは、世界からの目のはずだ

文=安田菜津紀 @NatsukiYasuda  今回取り上げるのは、1979年に韓国で起きた朴正熙(パク・チョンヒ)大統領の暗殺事件を基にした実録サスペンス『KCIA 南山の部長たち』('20)。  劇場公開後の反響は大きく、2020年韓国年間興行収入第1位を記録。第56回百想芸術大賞で主演男優賞(イ・ビョンホン)を受賞しています。朴正熙氏の長女である朴槿恵(パク・クネ)大統領時代も振り返りながら、当時から今に続く社会が抱える問題を、SDGsの「目標5:ジェンダー平等を実

岡田将生だからこそ魅せられる“人の怖さ”『さんかく窓の外側は夜』を起点に読み解く

文=SYO @SyoCinema  漫画やアニメのキャラクターに必殺技があるように、名だたる俳優たちにも「このゾーンを演じさせたら右に出る者はいない」という武器がある。近年、怒涛の勢いで出演を重ねる人気実力派、岡田将生に当てはめて語るなら、それはやはり「狂気」と言わざるを得ない。  彼が魅せる“人の怖さ”というものは、凍りつくほど冷徹で、それでいて夢に見るほど生々しい。ほれぼれするほどに端整な顔立ち、取材時などに見せてくれる温厚かつ柔和な姿や困ったような笑顔を目にしていて

イラストレーター・信濃八太郎が行く 【単館映画館、あちらこちら】 〜「新宿武蔵野館」(東京)〜

名画や良作を上映し続けている全国の映画館を、WOWOWシネマ「W座からの招待状」でおなじみのイラストレーター、信濃八太郎が訪問。それぞれの町と各映画館の関係や各映画館の歴史を紹介する、映画ファンなら絶対に見逃せないオリジナル番組「W座を訪ねて~信濃八太郎が行く~」。noteでは、番組では伝え切れなかった想いを文と絵で綴る信濃による書き下ろしエッセイをお届けします。今回は東京の「新宿武蔵野館」を訪れた時の思い出を綴ります。 文・絵=信濃八太郎 早朝の新宿に想いを馳せる  1