映画好きの皆さんの気になる作品は? 6月のWOWOW初放送映画 厳選3作品
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映画好きの皆さんの気になる作品は? 6月のWOWOW初放送映画 厳選3作品

 映画アドバイザーのミヤザキタケルが、各月の初放送作品の中から見逃してほしくないオススメの3作品をピックアップしてご紹介! これを読めばあなたのWOWOWライフがより一層充実したものになること間違いなし!のはず...。

文=ミヤザキタケル @takeru0720

 今月は、アクション、ドラマ、ホラーと、タイプの異なるジャンルの3作品を紹介します。

『イップ・マン 完結』(’19)

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ドニー・イェン主演『イップ・マン』シリーズ完結!

 誰もがその名を耳にしたことがあるであろう、ブルース・リー。彼の唯一の師にして、詠春拳の使い手であるイップ・マン。実在したその男の半生を、ドニー・イェン主演で史実とフィクションを織り交ぜながら、10年以上にわたり描き続けてきた「イップ・マン」シリーズ4作目にして最終章。ある事情を抱え、単身米・サンフランシスコへと渡ったイップ・マン。弟子との再会を喜ぶのもつかの間、中華総会と対立し、中国武術を敵視する米海兵隊員の陰謀にも巻き込まれていく…。

 本国中国では、『スター・ウォーズ/スカイウォーカーの夜明け』(’19)を押さえて初登場1位を記録し、アジアを中心に世界各地でヒットした本作。今回のWOWOW初放送に合わせて過去3作も一挙放送されるため、シリーズ初心者の方はもちろん、記憶が曖昧という方もドニー版イップ・マンのラストに備えて、総ざらいすることをオススメしたい。

 第1作『イップ・マン 序章』(’08)では、愛する妻子と穏やかに暮らすも、日中戦争の影響で食事もままならない生活を強いられるイップ・マンが、空手の達人である日本軍将校に仲間を殺されたことで、激闘に身を投じていく。第2作『イップ・マン 葉問』(’10)では香港へ移り、門下生を募るイップ・マン。しかし、香港中の道場を取りまとめている洪拳の達人に目を付けられ、さらに、中国武術と格闘家としての誇りのため、イギリス人ボクシング王者に戦いを挑む。第3作『イップ・マン 継承』(’15)では、次男の通う小学校が再開発をもくろむ裏社会の不動産王に狙われ、自警団を結成したイップ・マンが、同級生の父親で、同じ詠春拳の使い手・ティンチ(マックス・チャン)の協力もあり事態を収束。だが真の詠春拳の使い手を決めるべく、ティンチとの一騎打ちへと至る。

 そして迎える最終作。「誰もが年を取る。永遠に一番は不可能だ」――第2作において、弟子を諭す際のイップ・マンのこの言葉が示すように、無類の強さを誇る彼であっても、一番ではあり続けられない。寄る年波や時代の波にはあらがえないのが人間だ。がんを患い、残される息子の将来を案じ、自らのやるべきことを模索していく。ド派手なアクション・シーンは健在だが、根底に宿るテーマは非常に深く重い。これまで人格者としての側面を強く見せてきたイップ・マンであるが、そんな彼が迷い、悩み、決断していく姿こそが、本作最大の見せ場であるといえる。

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『星の子』(’20)

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芦田愛菜の6年ぶりの実写主演作

 今村夏子の小説を、『日日是好日』(’18)の大森立嗣監督が映画化。“あやしい宗教”を信仰する両親を持つ中学3年生のちひろ(芦田愛菜)。宗教について友人に隠すこともなく平穏な日々を過ごしていた彼女であったが、一目ぼれした新任の南先生(岡田将生)に、夜の公園で奇妙な儀式をする両親の姿を見られたことで、その心は大きく揺れ動く。

 エドワード・ファーロング、マコーレー・カルキン、ハーレイ・ジョエル・オスメントしかり、かつて子役として活躍した俳優が、そのイメージを払拭(ふっしょく)して新境地を確立するのは難しい。しかし、彼女はやすやすとそのハードルを乗り越えた。本作で目にすることになるのは、かつてお茶の間を愛嬌(あいきょう)いっぱいの笑顔でにぎわせた「愛菜ちゃん」ではなく、ひとりの俳優・芦田愛菜。繊細な演技が要求される本作において、その役目をみごとに果たし、家族と社会(学校)のはざまでもがき苦しむ少女の葛藤を、その類まれな演技力で体現している。

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 日本国憲法でも定められている通り、信仰は自由だ。どこの国のどんな神を信じようと、そもそも神の存在など信じまいと、人それぞれ。そう理屈で分かっていながらも、本作の南先生同様、“あやしいカルト宗教”とは一線を引きたくなることもあるだろう。現実では、歩み寄ることや理解することが難しい事柄に目を向けさせてくれるのが映画の力。多くの思考を巡らせるきっかけを本作は与えてくれるだろう。

 ちひろら家族が宗教に救われたという一面を認識できるからこそ、擦れ違っていく人間関係や、宗教に対する違和感を押し隠しながらも、両親を否定することなく、日々をどうにかやり過ごしていくちひろの姿に胸を打たれることだろう。ちひろの両親が信じる宗教の全容も明らかにされないため、明確な悪の所在を見いだせず、何が正しくて何が間違っているのかを断定できないことが、こんなにも苦しいことなのかと痛感させられる。つまりは、登場人物たちを通して伝わってくる憤りや理不尽の数々を、そのままダイレクトに受け止めることになる。多くを予期させられるラスト・シーンに、あなたは一体何を思うだろうか。

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『アス』(’19)

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この結末は誰にも読めない! 得体の知れない恐怖があなたを襲う

 『ゲット・アウト』(’17)で多くの映画ファンの心をとりこにしたジョーダン・ピール監督作。夏休みに家族4人で幼少期に住んでいたカリフォルニア州サンタクルーズの家を訪れるアデレード(ルピタ・ニョンゴ)は、友人一家とビーチで過ごす中、幼少期のトラウマがフラッシュバック。その夜、一家の前に自分たちとうり二つの姿をした“わたしたち”がやって来る…。

 あらすじの段階で、自分たちとうり二つの存在が現われることは既に開示されているため、それ自体は物語を紐解く鍵でもなければ、終盤において解き明かされる重要な出来事でもない。それらが現われるのも開始30分ほどたった頃で、それから90分近くも物語は続いていく。「自分たちとうり二つの存在が現われること以上にとんでもないことなんて起きるの?」とあなたは思うかもしれないが、それ以上のことが起きるのが本作のすごいところ。最後の最後の最後まで意表を突き、未知の領域へとあなたの心を誘ってくれることだろう。

 ドッペルゲンガー・クローン・双子・そっくりさん。映画作品において自分と酷似した存在が現われるとしたら、こんなところだろうか。本作に登場するもうひとりの自分。劇中においてその正体については部分的に触れられるものの、明言まではされていない。これから作品に触れるあなたの楽しみを奪いたくないので、ネタバレは避けるが、もうひとりの自分が現われることへの恐怖、その根底に宿るものを僕たち自身が抱える闇であると仮定したのなら、見えてくるものが増えてくる。

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 そして、ラストで明らかになる事実がある。それを把握した上ですべての出来事を振り返ると、いろいろと気に掛かる点が浮かんでくる。遭遇次第襲い掛かってくるもうひとりの自分たちとは異なり、もうひとりのアデレードだけはオリジナルをいたぶるかのようにゆっくりと追い詰める…。その違いとは一体何なのだろう。また、もうひとりの息子にもそれを強制していたかのようにも映る。それらの点を注意深く観察しながらラストまで行き着くことができたのなら、あなたの心に生じる驚きはきっと何倍にも膨れ上がるに違いない。純粋にホラー映画として楽しむこともでき、その謎に思いを巡らす余地もあり、僕たちが生きる現実社会に一石を投じる要素をも兼ね備えた奥深いホラー映画となっている。

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 シリーズ最終作となる名作アクション・胸を打たれる人間ドラマ・未知数の新感覚ホラーと、ジャンルは異なるも等しく骨太で濃密な人間模様を映した3作品とともに、6月も素敵なWOWOWライフをお過ごしください。

ミヤザキさんプロフ

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クレジット
『イップ・マン 完結』:©2019 Mandarin Motion Pictures Limited All Rights Reserved.
『星の子』:©2020「星の子」製作委員会
『アス』:© 2019 Universal Studios and Perfect Universe Investment Inc. All Rights Reserved.

緊張しながら投稿しているので嬉しいです!ありがとうございます!
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