『すべてが変わった日』『椿の庭』『DUNE/デューン 砂の惑星』映画好きの皆さんの気になる作品は? 6月のWOWOW初放送映画 厳選3作品
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『すべてが変わった日』『椿の庭』『DUNE/デューン 砂の惑星』映画好きの皆さんの気になる作品は? 6月のWOWOW初放送映画 厳選3作品

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 映画アドバイザーのミヤザキタケルさんが、各月の初放送作品の中から見逃してほしくないオススメ3作品をピックアップしてご紹介! これを読めばあなたのWOWOWライフがより一層充実したものになること間違いなし! のはず…。
※今回を持ちまして、本コラム「今月のWOWOW初放送映画 厳選3作品」の連載は最終回となります。
これまでご愛読いただきありがとうございました。

文=ミヤザキタケル @takeru0720

 今月は、ハリウッドの名優共演作、写真界の巨匠による映画初監督作、数多くのクリエイターに影響を与えた有名SF小説を旬の監督&俳優が再映画化した作品と、さまざまな分野のエキスパートたちが携わる3作品を紹介します。

『すべてが変わった日』(※初回放送 6/18(土)後10:00、以降リピート放送あり)
『椿の庭』(※初回放送 6/21(火)後9:00、以降リピート放送あり)
『DUNE/デューン 砂の惑星』(※初回放送 6/26(日)後9:00、以降リピート放送あり)

『すべてが変わった日』('20)

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ケヴィン・コスナー、ダイアン・レイン共演の骨太サイコ・スリラー

 ラリー・ワトソンが2013年に発表した小説を、『幸せのポートレート』('05)のトーマス・ベズーチャ監督が映画化。1963年、落馬事故で息子を失った元保安官のジョージ(ケヴィン・コスナー)と妻のマーガレット(ダイアン・レイン)。3年後、息子の妻であったローナ(ケイリー・カーター)が再婚するが、新しい夫がローナに暴力を振るう姿をマーガレットが目撃。かつての義理の娘と幼い孫が劣悪な環境にいることを知ったジョージとマーガレットは、再婚相手の実家へと足を運ぶも、そこで待っていたのは、支配的な女性家長がすべてを取り仕切る異様な一家だった…。

 亡き息子の妻が幼い孫を連れて再婚したら、旦那がDV男だったのに加え、旦那の実家もとんでもなくヤバかった。その事実を知った老年夫婦が、息子の元妻と孫を救出しようと奮闘する。要約するとそんな物語である本作だが、もしもあなたが同様の状況に陥ったらどうするだろう。義理の娘であるとはいえ、血縁関係もなければ、今はもう別の男と再婚している。血縁である孫の存在がなければ、もしかすると、たどる道筋は違ったかもしれない。登場人物たちの行動や選択を通して、家族のあり方やつながりを一考する機会を得られることだろう。

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 1960年代の米国の片田舎が舞台であり、主役は老夫婦。ド派手な映像やアクション・シーン等もないのだが、それでも引き込まれてしまうのは、ケヴィン・コスナーとダイアン・レインという、ハリウッドを代表する円熟した技術と魅力を持ち合わせた俳優2人が主演を務めているからだ。『マン・オブ・スティール』('13)でも、スーパーマンの地球での両親として夫婦役を演じていた2人の息はピッタリであり、その関係性は長年生活を共にした夫婦として見えてくるのと同時に、老夫婦が窮地に追い込まれていく際に生きてくる。また、義理の娘の再婚先であるウィーボーイ家の面々の恐ろしさや不気味さも本作の魅力の一つである。

 原題は『Let Him Go』。つまりは「彼を手放す(or行かせる)」ということ。その「彼」とは一体誰を指しているのか。落馬事故で死んだ息子のことか、義理の娘が再婚したことで離れ離れになった孫のことか、はたまた別の誰かなのか。実質トリプル・ミーニングが込められている見事な原題を把握した上で、老夫婦がたどる道筋を見届けてください。

『椿の庭』('21)

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過ぎ去りし時間と、家族を巡る“記憶”の物語

 数多くの広告写真を手掛けてきた写真家・上田義彦が、構想に15年を費やした映画監督デビュー作。夫を亡くして間もない絹子(富司純子)は、かつて夫と語らい、子供たちを育てた一軒家に、長女の娘である孫の渚(シム・ウンギョン)と2人で暮らしている。夫の四十九日を終えた春の朝、世話をしていた金魚が死に、椿の花で死体を包んで土に還す。家や庭で起こる些細な出来事、訪問者たち、過去の記憶に思いを馳せる日々の中、絹子に一本の電話がかかってくる。

 花は枯れ、物は壊れ、文化は廃れ、やがて命は尽きていく。形あるものは、いつかは必ず潰える運命。その理の中で、何を大切にし、どのように生きていくべきなのか。そんな日常では忘れがちな思考の波へと誘ってくれる本作。もうひとりの娘から東京での同居を誘われるものの、絹子は家族の思い出が詰まった家を手放すつもりはない。そこで暮らす絹子と渚の関係性、時折訪れる客がもたらす変化の予兆、庭を彩る植物や生き物たちの移り変わりなどを、ゆったりと丁寧に映し出す物語を通して、あなたの心は“記憶”についてさまざまな思いを巡らせることになるだろう。

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 大切な記憶であれば、消えることなく心に刻まれると思うが、時として、外付けハードディスクを付けるかのごとく、自分という人間の外側から呼び覚まされる記憶もあると思う。特定の場所や物に触れることで呼び起こされる記憶、特定の誰かと会うことでよみがえる思い出があることを、劇中の絹子の姿から感じ取れるはず。そして、本作において家を手放すということは、貴重なデータが詰まった外付けハードディスクを失うことと同義。亡き夫や娘たちとの記憶を喪失する恐怖心が、場所や物に対する「愛着」を「執着」へと変貌させ、固執する心を生んでいく。

 ただ、すべてをネガティブに捉える必要はないと思う。形あるものはなくなる運命だが、姿形や役割を変えて生き続けるといった捉え方もできる。何より、今この瞬間を一所懸命生きることで、また新たな記憶が刻まれていく。過去・現在・未来、どれも比較し難いが、本当に必要なものだけが残っていく。肝心なのは、喪失の瞬間が訪れた際、自分の心にどう折り合いをつけるか。陸と海の境目である「渚」という名前が示す通り、海の向こうへと消えてしまう記憶や命、陸に留まり続けるそれら、その分かれ目にある儚い一瞬を垣間見ることができる作品です。

『DUNE/デューン 砂の惑星』('21)

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ようやく時代が追いついた! ドゥニ・ヴィルヌーヴ×ティモシー・シャラメのコンビで描くSF超大作

 フランク・ハーバートが1965年に発表したベストセラーSF小説を、『メッセージ』('16)、『ブレードランナー 2049』('17)のドゥニ・ヴィルヌーヴ監督が映画化。アトレイデス家の後継者である青年ポール(ティモシー・シャラメ)には、未来を見る能力があった。宇宙帝国の皇帝からの命令で、彼は一族と共に砂の惑星デューンへ移住するが、それは宿敵ハルコンネン家の罠であった。父を殺されたポールは、全宇宙の未来のために立ち上がる。

スター・ウォーズ』シリーズのジョージ・ルーカス監督をはじめ、世界中の名だたるクリエイターや作品に影響を与えてきたといわれる小説『デューン 砂の惑星』。同作には、これまであなたが触れてきたありとあらゆるSF作品に通ずるものが多々見受けられる。また、名匠アレハンドロ・ホドロフスキー監督が同小説の映画化に着手しようとするも頓挫したことでも有名となった(詳しくは6/26(日)後7:15に放送される『ホドロフスキーのDUNE』('13)をチェック)。

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 しかし、CGやVFXなどの技術が飛躍的に発展した今、ようやくデューンの世界を表現でき得る時が訪れた。その監督を務めるのがドゥニ・ヴィルヌーヴであり、ティモシー・シャラメら魅力的なキャストがそろったのだから、もう期待しかない。今回の映画化は2部作で構想されており、第2部は2023年10月に全米公開予定。また、前日譚となるドラマシリーズの製作も発表されており、デューンの世界はこれからどんどん広がっていく。

 というわけで、2部作の第1部に当たる本作。独特の世界観を見事に具現化した圧倒的映像美、アトレイデス家とハルコンネン家の覇権を巡る抗争や策略がもたらす緊迫感、ポールに課せられた使命の結末を見届けたくなるワクワク感など、本作だけでも十分あなたの心を満たしてくれることでしょう。劇中の言葉を借りるのなら、デューンはまだ「始まったばかり」。今後さらに話題になっていくであろう本シリーズを、ぜひ今のうちからチェックしておいてくださいね!

 ハリウッドの名優が織り成す骨太な人間ドラマ、時間や記憶がもたらす心の旅路へと誘ってくれる静かであたたかい邦画、壮大な世界観にどっぷりと圧倒されるSF超大作と、あらゆる感情を湧き立たせてくれる3本の映画と共に、6月も、この先もずっと、素敵なWOWOWライフをお過ごしください。あなたにとって良き映画との出合いが訪れますように。

ミヤザキさんプロフ20210917~

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今回を持ちまして、「今月のWOWOW初放送映画 厳選3作品」の連載は最終回となります。
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クレジット
『すべてが変わった日』:(C) 2020 Focus Features LLC.All Rights Reserved.
『椿の庭』:(C)2020 "A Garden of Camellias" Film Partners
『DUNE/デューン 砂の惑星』:(C)2021 Legendary and Warner Bros. Ent. All Rights Reserved

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