『ブレイブ-群青戦記-』『ドント・ウォーリー』『行き止まりの世界に生まれて』映画好きの皆さんの気になる作品は? 11月のWOWOW初放送映画 厳選3作品
見出し画像

『ブレイブ-群青戦記-』『ドント・ウォーリー』『行き止まりの世界に生まれて』映画好きの皆さんの気になる作品は? 11月のWOWOW初放送映画 厳選3作品

 映画アドバイザーのミヤザキタケルが、各月の初放送作品の中から見逃してほしくないオススメの3作品をピックアップしてご紹介! これを読めばあなたのWOWOWライフがより一層充実したものになること間違いなし! のはず…。

文=ミヤザキタケル @takeru0720

 今月は、漫画原作、実話、ドキュメンタリーと、それぞれタイプの異なる3本の作品を紹介します。

『ブレイブ-群青戦記-』('21)

phブレイブ-群青戦記-b

異色の戦い! 高校生アスリートVS戦国武将

 笠原真樹の人気漫画を、『踊る大捜査線』シリーズ('97~'12)などで知られる本広克行監督、新田真剣佑主演で映画化。高校生が学校の建物もろとも桶狭間の戦い直前の戦国時代へタイム・スリップし、織田信長(松山ケンイチ)率いる軍勢の襲撃を受ける。弓道部員で歴史マニアの西野蒼(新田真剣佑)は、連れ去られた友人たちを救い出し現代へと戻るべく、後に徳川家康となる松平元康(三浦春馬)と手を組み、それぞれが部活で培ってきたスキルを駆使して織田軍に戦いを挑むのだが…。

 タイム・スリップものは数あれど、剣道部や野球部、科学部などの技術や知識を駆使して戦国武将と戦うという、今までにありそうでなかった奇抜な設定が目を引く本作。学園もの、タイム・スリップもの、時代劇と、3つの要素を併せ持っている時点で間口は広く、それらの設定を活かすべく、さまざまな創意工夫がなされている。現代人が死と隣り合わせの状況に追い込まれることで生じていく心の変化には、私たちが今この時代を生きていく上で大事な教訓の数々が込められている。人気漫画が原作の映画というだけにとどまらず、壮大なエンタメ映画として昇華されているのだ。安心して観ることのできる良作であることを、僕はあなたに知ってほしい。

phブレイブ-群青戦記-c

 比較的登場人物が多い作品ではあるが、高校生たちは何かしらの部活に所属しているため、キャラクターとしての色付けがハッキリとしており、気付けば一人ひとりに愛着を持って見ることができる。そして、それぞれにしっかりと見せ場が設けられており、埋もれてしまう人物が基本的にいない。主演は新田真剣佑であり、彼が主軸となって進んでいく物語なのだが、学生サイドのすべての人物が魅力的に描かれているからこそ、本作は面白い!

 原作にはない「ブレイブ」という言葉がタイトルに加えられた意味。それは物語を追っていくうちに、自ずと理解できるはず。何のために、誰のために、何をなすために、勇気を振り絞るのか。蒼の心の変化を通して描きつつ、個々では太刀打ちできずとも、それぞれの力を合わせることで壁を打破していこうとする生徒たち全員の姿を通して、見えてくるものがある。彼らが示す勇気、必見です。

『ドント・ウォーリー』('18)

phドント・ウォーリーa

名優ロビン・ウィリアムズが映画化を望んだある人物の実話

 2010年に逝去した風刺漫画家ジョン・キャラハンの半生を、ガス・ヴァン・サント監督、ホアキン・フェニックス主演で映画化。自動車事故に遭い車いす生活を余儀なくされたキャラハン(ホアキン・フェニックス)は、酒に溺れ自暴自棄な毎日を過ごしていたものの、いくつかのキッカケを得て自らを憐れむことをやめる。そして、持ち前の辛辣なユーモアを発揮し、不自由な手で風刺漫画を描き始めるのであった。

 本作は元々、2014年に亡くなったロビン・ウィリアムズが1994年時点で映画化権を獲得していた作品。彼がジョン・キャラハンの波乱の人生を映画化しようとしたのには理由がある。それは、乗馬中の事故によって身体麻痺となってしまった友人である俳優のクリストファー・リーヴを思ってのこと。さまざまな要因が重なり当時は映画化の実現に至らなかったものの、当初から監督を依頼されていたガス・ヴァン・サントがウィリアムズの遺志を継ぎ、ホアキン・フェニックスら新たなキャストたちと共に完成へとこぎ着けた。

phドント・ウォーリーc

誘う女』('95)以来2度目のガス・ヴァン・サント作品への出演となるホアキン。彼の兄の故リヴァー・フェニックスはガス・ヴァン・サント監督作『マイ・プライベート・アイダホ』('91)に出演しており、本作に触れると、ロビン・ウィリアムズ、クリストファー・リーヴ、リヴァー・フェニックスら歴代の名優たちの存在やつながりを感じずにはいられない。

 著名な人物の実話とはいえ、鑑賞前からジョン・キャラハンの存在を認識している日本人は多くないだろうし、車いす生活を送る人が抱える葛藤と向き合う以上、少し身構えてしまう方もいるかもしれない。でも、大丈夫。体の自由・不自由関係なく、誰にでも共通する心のあり方を描いた本作は、気兼ねなくあなたの心に歩み寄ってきてくれる。己自身と向き合わざるを得ない状況に追い込まれていくジョンの姿は、誰の心にも響くに違いない。

『行き止まりの世界に生まれて』('18)

画像5

ままならぬ人生の価値を捉える傑作ドキュメンタリー

 第91回アカデミー賞、第71回エミー賞にWノミネートを果たし、バラク・オバマ元大統領が年間ベスト・ムービーにも挙げたビン・リュー監督によるドキュメンタリー作品。「アメリカで最も惨めな町」と呼ばれるイリノイ州ロックフォードで必死にもがく若者3人の12年の歳月を通し、捉え方一つでいか様にも変わっていく人生の価値を示してくれます。

 あなたは日頃、日常的にドキュメンタリーを目にするだろうか。たとえ映画好きであっても、劇映画や実話ベースの作品は観るがドキュメンタリーにはまったく触れないという方もいると思う。本作は、日頃僕たちが気にかけることのない見知らぬ他人や、気にも留めない出来事などに焦点を当てる種類のドキュメンタリーで、縁もゆかりもない他者に思いを馳せ、自らの実人生を見つめ直す機会を得られる作品です。

画像6

 貧困・人種差別・経済格差・紛争など、国が違えば直面する問題もさまざま。土地や家庭環境がもたらす問題を抱える本作の若者たち同様、誰もが何かしらの問題を抱えて生きている。そして、皆自分のことに精いっぱいで、他人の問題にまで容易に首を突っ込めない。手を差し伸べることも、行動を起こすこともなかなかできやしない。しかし、本作の若者たちが楽しそうにスケボーにのめり込む姿と、彼らが打破することのできない現状に苦悩している姿を目にしていくなかで、観るまでは他人事だった事柄に視野を広げ、思考を巡らせる機会を、本作は生み出してくれる。彼らには何が足りなくて、自分は何が与えられているのか。逆に、彼らにはあって、自分に欠けているものは何かを見極めることができていく。

 こういった作品でキッカケさえ得られたら、僕たちは見ず知らずの他人に思いを馳せることができる。数日も経てば元通りの無慈悲で無関心な自分に戻ってしまうかもしれないが、人間には他者を思いやれる力が備わっているのだと、そういった力を誰もが自覚していくことで、この世界はより良き方向へ変革していくのだと痛感させられる。目の肥えたドキュメンタリー映画好きな方はもちろんのこと、ドキュメンタリー映画を積極的には観ないという方にも心からオススメできます。

 作品のテイストは大いに異なれど、あらゆる角度から“生き方”に迫る3作品とともに、11月も素敵なWOWOWライフをお過ごしください。

ミヤザキさんプロフ20210917~

▼作品詳細はこちら

▼WOWOW公式noteでは、皆さんの新しい発見や作品との出会いにつながる情報を発信しています。ぜひフォローしてみてください。

クレジット
『ブレイブ-群青戦記-』:(C)2021「ブレイブ-群青戦記-」製作委員会 (C)笠原真樹/集英社
『ドント・ウォーリー』:(C)2018AMAZON CONTENT SERVICES LLC
『行き止まりの世界に生まれて』:(C) 2018 Minding the Gap LLC.

この記事が参加している募集

私のイチオシ

素敵なエンターテインメントの出会いがありますように!
WOWOW公式アカウントです。 noteでは、さまざまなエンターテインメントの魅力を丁寧に、時には“主観”を交えながら発信していきます。