『SNS-少女たちの10日間-』『すばらしき世界(2021)』『グリーンランド-地球最後の2日間-』映画好きの皆さんの気になる作品は? 2月のWOWOW初放送映画 厳選3作品
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『SNS-少女たちの10日間-』『すばらしき世界(2021)』『グリーンランド-地球最後の2日間-』映画好きの皆さんの気になる作品は? 2月のWOWOW初放送映画 厳選3作品

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 映画アドバイザーのミヤザキタケルさんが、各月の初放送作品の中から見逃してほしくないオススメ3作品をピックアップしてご紹介! これを読めばあなたのWOWOWライフがより一層充実したものになること間違いなし! のはず…。

文=ミヤザキタケル @takeru0720

 今月は、児童への性的搾取の検証を描いたチェコのドキュメンタリー、直木賞作家の小説を映画化した話題作、世界崩壊までの48時間を描いたディザスター・ムービーと、それぞれタイプは異なりながらも、日々の生活において一考の余地を与えてくれる3本の作品を紹介します。

『SNS-少女たちの10日間-』('20)

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胸クソ悪さ必至! 異色のドキュメンタリー

 巨大な撮影スタジオに3つの子ども部屋をつくり、大人だが12歳に見える3名の女優にSNSアカウントで友達募集をさせると何が起こるのかを検証し、本国チェコで異例の大ヒットを記録したドキュメンタリー。監督を務めるのは、チェコで活躍するドキュメンタリー作家のバーラ・ハルポヴァーヴィート・クルサーク

 大人にとっても子どもにとっても、今や僕らの生活に欠かすことのできないスマホやSNS。チェコでは子どもの6割が親からの制限を受けずにネットを利用し、41%の子どもが他人から性的な画像を送られた経験を持つという。また、知らない人とネット上で会話をする子どものうち、1/5は直接会うことに抵抗を示さないという。日本の状況とは異なる部分もあるだろうし、家庭によって設けられているルールもさまざまだろうが、スマホやSNSを利用する以上、その利便性とは別に、どうしたってリスクが付きまとう。

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 あらかじめ忠告しておきたいのだが、本作は見ていてとにかく胸クソが悪くなる。それは作品がつまらないからではなく、10代の少女に見える女優たちに自分の局部を見せつける男の姿など、映し出される現実がとにかくエグイから。チェコで起きた出来事であるとはいえ、目にするのは同じ人間が起こした出来事であり、それはこの日本で起きていてもおかしくない出来事のはず。我が身に起こらずとも、大切な子どもの身に起こり得る可能性はゼロではない。いつ誰が被害者になるかも分からない。そう、決して他人事では済ませられない問題をこの作品は扱っているのだ。

 また、本作は丁寧にカット割りがされており、まるでフィクションやフェイク・ドキュメンタリーの映画を見ているかのような錯覚に陥ってしまう。言い換えれば、日頃ドキュメンタリー作品を目にしない方であっても、飽きずに見ていられる工夫がなされている。いっそのことフェイク・ドキュメンタリーであってほしいものだが、映し出されるのは現実。それがとにかく恐ろしい…。加えて、真に見すえなければならないのは、卑劣でおぞましい行為へと至ってしまう人の心の弱さや脆さや高慢さだろう。

『すばらしき世界(2021)』

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元殺人犯の社会復帰を通して描く現実社会と人の性

 映画『復讐するは我にあり』('79)の原作者として知られる直木賞作家、佐木隆三が実在の人物をモデルに書いた小説『身分帳』を、『ゆれる』('06)、『永い言い訳』('16)の西川美和監督が映画化。人生の大半を刑務所で過ごした元殺人犯・三上(役所広司)。身元引受人の助けを借り社会復帰を目指していた彼に、若手TVマンの津乃田(仲野太賀)とTVプロデューサーの吉澤(長澤まさみ)がネタにしようと接触する。吉澤は、消息不明の三上の母親を見つけ出し、感動のドキュメンタリー番組をつくろうとするのだが…。

 誰もが人生において直面するであろう葛藤の一つに、「変わりたい」というものがあると思う。だが、人はそう簡単には変われない。10代ならまだしも、一定の年齢を超えた大人ともなれば、染み付いてしまった生き方を手放すことは難しい。13年の服役を終え、社会復帰を果たそうと奮闘する三上の姿が、その事実を痛いほどまでに示していく。ただ、絶対に変われないということはないと思う。心の奥底から変化を望み、不断の努力を貫き、それを支える他者の存在があったなら、きっと不可能ではない。その可能性を、本作は示していく。たとえ人生という名のレールから一度は足を踏み外そうと、再起のチャンスはあって然るべきなのだと、誰にでも等しく変われる可能性はあると信じさせてくれることだろう。

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 けれど、そんな風に信じられるのは、本作が「映画」であり、三上の心に触れられるから。観客は、安全が約束されているからこそ、三上の人生を見届けることができているに過ぎないのである。現実社会において、もしも身近に三上のような人が現れたら…。見ず知らずの他人の心に触れたり、「犯罪者」や「前科持ち」と呼ばれる人たちの心に寄り添うというのは、容易なことではないだろう。

 三上を取り巻く環境や周囲の人々との関係性を目にする中で、真正面から他者と関わることができない人間の弱さやズルさ、それでもまかり通ってしまう社会のいびつさ、そんな社会になじめず弾き出された者たちが辿る末路など、映し出されるのは、僕たちが生きる現実社会と人の性。果たしてこの世界は「すばらしき世界」と言えるのだろうか。多くの問いを突き付けられる作品です。

『グリーンランド-地球最後の2日間-』('20)

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ただのディザスター映画では終わらない! ジェラルド・バトラー主演作

エンド・オブ・ステイツ』('19)以来の再タッグとなるリック・ローマン・ウォー監督、ジェラルド・バトラー主演によるディザスター映画。突如飛来した彗星の破片が隕石となり地球に衝突。さらなる巨大隕石の落下による世界崩壊まで48時間に迫る中、米国政府によって選ばれた人々の避難が始まり、建築技師の腕を見込まれ選出されたジョン・ギャリティ(ジェラルド・バトラー)は、妻のアリソン(モリーナ・バッカリン)と息子のネイサン(ロジャー・デイル・フロイド)を伴い避難所を目指す。しかし、ネイサンの持病により受け入れを拒否されたことで、家族は離れ離れに。逃げ惑う人々によって無法地帯と化していく中、ギャリティ一家はそれぞれ生き残る道を探すが…。

 過去の出演作から生じるイメージや先入観によって、こんな風に思っている人がいないだろうか。主演がジェラルド・バトラーともなれば、その腕っぷしで窮地を脱していくのではないか、と。しかし、本作の場合は少し違う。主人公が窮地に直面することは確かだが、バトラー演じるジョンはごく普通の一般人。独力で不可能を可能にするだけの力は持ち合わせておらず、家族を守ろうと奮闘するごく普通の父親でしかない。描いているのは、特別なヒーローの姿ではないのである。だからこそ、グイッと引き込まれるだけのものが本作には宿っている。

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 今のこの時代、地震や津波、台風ならともかく、隕石が地球に落ちて大惨事となることにリアリティを抱くのは、おそらく難しい。だが、緊急時に心の余裕がなくなってしまうことや、秩序に欠けたひとりよがりな行動に走ってしまうこと、そういった人間のあり方を僕たちは知っている。少なからず身に覚えだってあると思う。劇中において暴徒と化す人々。その姿は、非常時における食料買い占めや、コロナ禍でのマスクの買い占め・転売などの行為と大差ないだろう。そう考えれば、隕石落下により終末の危機を迎える世界の話であろうと、自然と入り込むことができる。そして、もしも自分が同じ状況に陥ったのなら、どのような選択をするのだろうと考えずにはいられない。

 人間の尊厳を欠いた行動が、後々になって我が身と心を苦しめることがある。今を生き抜くことと、人間としての誇りを守ること。その天秤が常に揺れ動き続けていく本作だからこそ、終始惹きつけられてしまうはず。

 描き方は三者三様ながらも、現実社会に根ざす要素を扱った3作品と共に、2月も素敵なWOWOWライフをお過ごしください。

ミヤザキさんプロフ20210917~

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クレジット
『SNS-少女たちの10日間-』:(C)2020 Hypermarket Film,Czech Television,Peter Kerekes,Radio and Television of Slovakia,Helium Film All Rights Reserved
『すばらしき世界(2021)』:(C)佐木隆三/2021「すばらしき世界」製作委員会
『グリーンランド-地球最後の2日間-』:(C)2020 STX FINANCING, LLC. ALL RIGHTS RESERVED.

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