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#エンタメ視聴体験記

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WOWOWの多岐にわたるジャンルの中から、書き手が今見たい作品を見て“視聴体験”を綴る、読んで楽しい新感覚のコラム連載。お笑い芸人の中山功太さんとぼる塾・酒寄希望さんを書き手にお… もっと読む
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記事一覧

ファッション大好きだけどダサい僕をとりこにしたデザイナーたちの華麗なる“デスゲーム”【#エンタメ視聴体験記/中山功太】

文=中山功太  僕にはファッションセンスがない。  おそらく芸人でもトップクラスのダサさだと思う。  僕の事を知って下さっている読者に「いやいや、そんな事ないですよ」と言って欲しいから書いてる訳ではなく、正式にダサい。色や柄の組み合わせもわからないし、流行にも疎い。  面倒臭いからという理由だけで、10年前からパンツの裾直しもやめた。  ではファッションに興味がないのかと言われるとそうではなく、服も靴もめちゃくちゃ好きだ。  多分、オシャレな人と同じぐらいか、それ以上に

人間の心情を丁寧に描くドラマ「三体」は、自分の人生に刻むように視聴する作品【#エンタメ視聴体験記/ぼる塾・酒寄希望】

 文=酒寄希望  皆さんこんにちは。ぼる塾の酒寄です。 衝撃的な作品に出合うと、私はその作品に日常を支配されてしまいます。常にその作品のことを頭で考えてしまい、登場人物のことを、私はその人物の親なのか? というくらい考えてしまいます。  今の私は大変です。今、私は地球に住む人類全員のことを考えています。 そして、今回私が紹介するのは「SF超大作『三体』」です。  ドラマ「三体」は、世界累計発行部数2,900万部超え、20カ国以上の言語で翻訳された世界的大ベストセラー小説

嫌味しかない僕の心をすっかり浄化させた、本場フィンランドのサウナを満喫する磯村勇斗の爽やかさ 【#エンタメ視聴体験記/中山功太】

文=中山功太  家の風呂が嫌いだ。  家の風呂に入る意味がわからない。  家庭用バスタブ業者やシャワーヘッド業者の方には本当に申し訳ないが、僕は入りたくない。  よくバラエティ番組で、俳優やタレントが「私ホントお風呂入らないんですよ~」と言って意外性を見せて最速で売れようと張り切ってるシーンを目にするが、厳密に言うとあれは嘘だ。  湯船に浸からないだけでシャワーは浴びているはずだ。  僕は違う。  冬はシャワーも浴びない。  ウェットティッシュで要所を拭き取

私の知っている“マリオ”じゃない…!? 観ると元気になる、異色のマリオ実写版映画【#エンタメ視聴体験記/ぼる塾・酒寄希望】

 文=酒寄希望  皆さんこんにちは。ぼる塾の酒寄です。  皆さんは任天堂のキャラクター「スーパーマリオ」を知っていますか?  街角アンケートをしたら恐らく「知っている」と、99%の方がこう答えると思います。もしかしたら100%かもしれません。赤い帽子と紺色のオーバーオールを着用し、鼻の下に口ひげを生やしているあの人です。私が今さらこんな質問をしなくても誰もが知っている、世界中で愛されるキャラクターです。では、皆さんはそのスーパーマリオが映画になっていることは知っていますか

狂おしいほど猫が好きな芸人の僕が見つけてしまった、誰もが“猫沼”にハマるヤバすぎな番組 【#エンタメ視聴体験記/中山功太】

文=中山功太  猫が好きだ。猫が好きでたまらない。猫の事を考えるだけで口角が上がる時さえある。  僕が小学5年生の頃のとある日、4つ年上の兄が突然野良猫を拾って帰って来た。  白と茶色がまだらになっている雑種丸出しのブチだった。相当な赤子猫だったと思う。 「可愛かったから」というプレーンな理由で連れ帰った兄だったが、両親は飼う事を猛反対した。  無理もなかったと思う。  なぜなら我が家では、今までカブトムシ以外、何も飼った事がなかったからだ。いきなり猫はスキル不足に

私の心の中にずっといる“先生”を呼び起こしてくれた、大人の恋愛ドラマ【#エンタメ視聴体験記/ぼる塾・酒寄希望】

 文=酒寄希望  皆さん、こんにちは。ぼる塾の酒寄希望です。  私には忘れられない“先生”がいます。東京よしもとの養成所時代にお世話になった構成作家の方です。養成所にはネタ見せという授業があり、今現在活躍されている構成作家の方に生徒が作ったネタを見てもらいます。プロの方にアドバイスをもらえるという大変貴重な授業です。  私は養成所時代から現在の相方である田辺さんとコンビを組んでおり、「彼女は才能がある。絶対に売れる」と、確信していました。しかし、生まれ持っての自分に対する

「フランス映画か!」という“ありがちなツッコミ”について、フランス映画の傑作を観て深く考える【#エンタメ視聴体験記/中山功太】

文=中山功太  今の今までフランス映画を観た事がなかった。  厳密に言うとテレビで深夜に観た事があるのかも知れないが、たまたまチャンネルを合わせていただけの「推定フランス映画」をチラ見した程度だと思う。  お笑いにおいて「フランス映画か!」というニュアンスのツッコミが昔から重宝されている。大抵、ボケの人がダラダラと長尺で難解な発言をした後に放たれる事が多い。  その事実からも分かる様に、よほどの映画好き以外は、以前の僕も含めてフランス映画に良い印象を持っていないの

ぼる塾がもしも“オーシャンズ8”だったら…あの計画を話し合う!?【#エンタメ視聴体験記/ぼる塾・酒寄希望】

 文=酒寄希望  皆さん、こんにちは。ぼる塾の酒寄希望です。  私が連載第7回目の今回、選んだ作品は『オーシャンズ8』です!  突然ですが、私は漫画家のつづ井さんが大好きです。つづ井さんは「腐女子のつづ井さん」をはじめとした、コミックエッセイを執筆しています。つづ井さんはロングヘアーが似合う笑顔が素敵な女性です。つづ井さんは自分の趣味やお友達との楽しい日常を漫画に描いており、その作品は声に出して笑ってしまうほどに面白いです。私は電車内でつづ井さんの漫画を読んで笑ってしまい

普通のお父さんの奮闘劇を観て思う、“普通じゃない”僕のお父さんの事【#エンタメ視聴体験記/中山功太】

文=中山功太  自分の父親について考える度に、僕は自分の中でジャンル分けできない感情になる。  父親は若い頃から狂ったように働き、祖父から受け継いだ木工所を株式会社にし、二代目社長として国内外に沢山の工場を建て、ソファーベッドの製造販売を行っていた。  父親は基本的にはソファーもベッドも作らなかった。闇雲にソファーベッドだけを作り続けた。  中学生の頃、会社のパンフレットを見ながら父親に、なぜソファーベッドしか作らないのか? と、聞いた事があったが、少し照れたように笑

出産、復帰、賞レース出場―。心がピンチの時に何度も助けてくれた、原田マハさんの世界【#エンタメ視聴体験記/ぼる塾・酒寄希望】

 文=酒寄希望  皆さん、こんにちは。ぼる塾の酒寄希望です。  私が連載第6回目の今回、選んだ作品は「CONTACT ART~原田マハと名画を訪ねて~」です。  実はこの連載、元々は全6回と決まっていて、本来ならば今回が最終回となっていました。しかし、好評につき連載延長となりました! 読んでくださっている皆さんのおかげです! ありがとうございます!  私はこの連載が始まった時、最終回は絶対に「CONTACT ART~原田マハと名画を訪ねて~」で書こうと心に決めていました

貧困に直面する芸人の僕が“貧困女子”のリアルを垣間見た【#エンタメ視聴体験記/中山功太】

文=中山功太  僕は2010年に上京してから現在に至るまで、途切れる事なく貧困状態である。人ひとりが抱えられる限界ほどの借金もある。  一番苦しかったのは2014年頃だったろうか。この豊かな国、日本において、ガス・水道・電気、全てが止まり、食糧がゼロになり空腹に耐えきれず、腹をどついて寝た夜がある。なぜ腹をどついたかと言うと、僕は、満腹とは内側からの胃の刺激だと考えているからだ。空腹を外側から満たすには、腹をどついて胃を刺激する以外の手段はないのである。ダイエット中の方は

サメになった“ぼる塾・田辺さんと酒寄さん”が人々を襲う!? サメ映画3本祭り【#エンタメ視聴体験記/ぼる塾・酒寄希望】

 文=酒寄希望  皆さん、こんにちは。ぼる塾の酒寄希望です。  私が連載第5回目の今回、選んだ作品は『ダブルヘッド・ジョーズ』と『トリプルヘッド・ジョーズ』と『シャークネード』です。  サメ映画3本! サメ映画祭りです!(勝手に)  最初からサメ映画祭りにしようとしたわけではなく、結果的にサメ映画祭りになってしまいました。    サメ映画とは、一般的にはサメが人を襲うパニック映画です。水着の美女が必ずと言っていいほど登場します。有名な作品だと、『ジョーズ』、『ディープ

〈中山功太〉アホみたいにかっこいいロックスターを観て、僕は芸人になることを決意した 【#エンタメ視聴体験記】

文=中山功太  自分にとっての初めてのロックスターは、THE YELLOW MONKEYだった。  高1の頃にカラオケ店のロビーで流れていたライブ映像を観て、一瞬でとりこになった。  あんなに胸がドキドキしたのは、小1の頃テレビで島木譲二師匠を観た時以来だ。  話が島木譲二にそれるが、僕は幼少期に吉本新喜劇を観て芸人になりたいと思った。毎回同じ事をやってくれる、良質なマンネリズムとでも言うべき変わらない面白さに心底のめり込んだ。  島木譲二に出逢ったから芸人になったと言

〈ぼる塾・酒寄希望〉人間の怖さは、時に切なくて美しい―。そう感じさせてくれた“人間の怖さ”に対する見方の変化【#エンタメ視聴体験記】

文=酒寄希望  皆さん、こんにちは。ぼる塾の酒寄希望です。  私が連載第4回目の今回、選んだ作品は「連続ドラマW-30 にんげんこわい」と「連続ドラマW-30 にんげんこわい2」です。  日本の伝統芸能の一つである落語。  皆さんは落語と言われてどんなことを思い浮かべますか? もしも、ぼる塾のメンバーだったら、  あんりちゃん「落語って言うと、“まんじゅうこわい”って話ありますよね?」  田辺さん「でもね、カロリーのこと考えるとケーキのほうが怖いよ。洋菓子はバターと