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【山﨑賢人:インタビュー】 ドラマ「ゴールデンカムイ」ならではの杉元佐一の変貌ぶりと、大切な相棒アシ(リ)パさんへの想いを語る。

10月6日(日)後10:00より放送・配信する「連続ドラマW ゴールデンカムイ ―北海道刺青囚人争奪編―」。本ドラマで杉元佐一役を演じた俳優・山﨑賢人にインタビューを敢行し、杉元のキャラの演じ分けや、よりバディ感が強くなったアシ(リ)パさんへの想いを聞いた。
※本コラムは、WOWOWプログラムガイド10月号掲載のインタビュー「Special Interview 山﨑賢人」の完全版となります。

取材・文=遠藤薫

深まるアシ(リ)パとの絆! 恒例の杉元の“食レポ”も進化!?

――2024年1月に公開された映画版も大好評でしたが、今回の連続ドラマでの主人公・杉元の見せ方の違いなどは意識されましたか?
まず「ゴールデンカムイ」は金塊探しの“旅”をしていく話なので、続きものの連続ドラマにすごくマッチしている題材なんだろうなというのは、ドラマ化のお話しをいただいたときから思っていましたし、撮影中も完成した作品を見ても同じことを感じました。いろいろなキャラクターが次々に登場して、みんなで旅をしながら“刺青人皮にんぴ”を追いかけていく様子は、やっぱりワクワクしますよね。杉元に関して言えば、映画よりもコメディパートが多くなっているので、シリアスな部分とのバランスを考えながら演じました。

杉元佐一役の山﨑賢人:Ⓒ野田サトル/集英社 Ⓒ2024 WOWOW

――ドラマでは、アイヌの少女・アシ(リ)パ(山田杏奈)さんとのバディ感も増している気がします。
それはあると思います。お互いを「相棒」と呼び合う感じも好きでした。2人がタッグを組むことを決めて、金塊を探しながら同時に真実を確かめにいくという共通の目的があって。そこには2人だけの確かな絆があると思います。撮影期間も長かったですし、杏奈ちゃんとは自然とバディ感が出てきていましたね。特に事前に「こうしよう」と打ち合わせをしなくても、なんとなくお互い分かるみたいな空気にはなっていた気がします。杉元とアシ(リ)パさんって、この2人だからこそ成立する関係性なんですよね。杉元は年下の彼女を「さん」付けで呼んでずっとリスペクトしているし、逆にアシ(リ)パさんは年上の杉元を呼び捨てで(笑)。その空気感もいいなぁと。本当にいい相棒です。

――ドラマでもたくさんのおいしそうな料理が登場します。杉元の“食レポ”もどんどん上達しているのではないでしょうか?
食レポは特に頑張りました(笑)。この作品ってある意味、グルメドラマでもあると思うんです。なので、食べるシーンは食レポに集中して、ちゃんとおいしさを伝えようと。ただ食レポになり過ぎないことも大事だと思っていて。本当においしいから、思わず言葉が出てくるんだろうなということは意識していましたね。実際にたくさんおいしいものをいただきましたが、特に、あるシーンで食べたニシン漬けがめちゃくちゃおいしくて、印象に残っていますね。 あとアシ(リ)パさんと白石(矢本悠馬)と3人でかぶりついた大きい魚(イトウ)も、おいしくて感動しました。

3人で大きな魚にかぶりつくシーン。白石由竹役の矢本悠馬(左)とアシ(リ)パ役の山田杏奈(右):Ⓒ野田サトル/集英社 Ⓒ2024 WOWOW

「ゴールデンカムイだから!」と思えると、大変なことより“楽しい”が勝つ撮影現場

――映画版でも山﨑さんの体を張った数々のアクションが話題になりましたが、ドラマでのアクションはいかがでしたか?
ドラマでは各話でさまざまなキャラクターたちと対峙していくので、アクションも含め一つ一つ作っていく過程が楽しかったです。毎回戦う相手が違うのも、ドラマならではの魅力だと思います。原作ファンの方ならより分かると思うのですが、個人的には辺見(萩原聖人)と“きらめけた”のが最高の思い出になりました(笑)。それと、ドラマの杉元はアシ(リ)パさんに危害が加わると突然激情型に変貌するんです。実は映画版の撮影時に久保茂昭監督が、杉元の戦い方やその時の「気持ち」のパターンをノートにまとめてくれていて。例えば、「冷静に戦略を練って戦っているパターン」「アシ(リ)パさんに危害が加えられた時」「見境なくブチギレるパターン」「かつての戦場での狂気を思い出して【不死身の杉元】として戦うパターン」とか。杉元はいろんな戦い方があるよね、という話を監督としていたんですが、今回のドラマでは激情に走る杉元が見られると思います。

辺見和雄役の萩原聖人(左):Ⓒ野田サトル/集英社 Ⓒ2024 WOWOW

――それはやはりアシ(リ)パさんに特別な強い想いがあるからなのでしょうか?
杉元はアシ(リ)パさんに救われましたからね。自分が今も生きている意味、役割みたいなものをアシ(リ)パさんはきちんと肯定してくれて、気付かせてくれた。見境なく人殺しをしないというのもアシ(リ)パさんとの約束があって、それも守っています。さらに、人間がこの地球で暮らしている意味や、自然のすばらしさまで教えてくれた人なので、そんなかけがえのない存在のアシ(リ)パさんに何かあったら…。とても冷静ではいられないんだと思います。普段の杉元は優しい性格なので、そこのギャップは意識していました。

――1話での手負いの鹿と杉元が自身を重ねてしまうシーンは、原作でも強い印象を残すシーンでした。
そのシーンについては、監督とも綿密に打ち合わせをしました。鹿を狩っても、すべてきれいに食べて絶対に無駄にしないということを、改めてアシ(リ)パさんに言われる。死んだばかりの鹿の体温で、かじかんでいた杉元の手が温まっていき、それと同時に杉元の心もほどけていくんです。そこで何かが吹っ切れて「食うか!」となるシーンは、杉元が一つ大きなものを乗り越えたシーンでもあると思うので、僕も大事に演じたかったところですね。どんな時も杉元の中には、アシ(リ)パさんへのリスペクトはあるんだと思います。

第1話で杉元が手負いの鹿に自分を重ねるシーン:Ⓒ野田サトル/集英社 Ⓒ2024 WOWOW

――必然的に大自然相手のロケが多かったと思いますが、特に過酷だった思い出はありますか?
それが大変だった記憶って、自分の中でいつの間にか消しているみたいで、あまり覚えていないんですよね…(笑)。シーンを思い返せば第1話では雪の中で二瓶(藤本隆宏)と戦っているし、やっていたこととしては大変なこともいっぱいあったと思うんです。何より冬の北海道は寒かったですし。でもそれでもやっぱり楽しいんですよ。前から大好きだった「ゴールデンカムイ」の実写化に自分が出演できているというのは、なんて贅沢ぜいたくな時間なんだろう! と。「そりゃ大変だよ。だって『ゴールデンカムイ』だから!」と思えると、大変なことより“楽しい”が勝っちゃうんですよね。それに、今回「ゴールデンカムイ」という作品を通して、アイヌの方たちの考え方、生きてきた歴史や知恵は、自発的にもっと知りたいなと思えるものばかりで。人間が本来生きる上での大事なことが詰まっていると思うし、その描き方も「ゴールデンカムイ」はやっぱり素敵だなと思います。

映画と同じクオリティでのドラマ化に歓喜

――今回WOWOWドラマ初出演となりますが、WOWOWに抱いていたイメージなどをお聞かせください。
スポーツ、映画、音楽、オリジナルドラマ…。とにかくいろいろな種類のエンタメがあるチャンネルだなという印象です。しかも一つ一つを濃厚に、大きな作品を大事に作っているというイメージが以前からありました。「ゴールデンカムイ」は映画から始まりましたが、ドラマも各話を映画と同じクオリティで作っていただけたのはすごくうれしかった。映画は杉元とアシ(リ)パがバディを組んで、これから長い旅に出るぞという、いわば“序章”だったので、この続きはWOWOWに入ってぜひドラマで見てほしいです。ドラマから新たに登場する、キロランケ(池内博之)、インカ(ラ)マッ(高橋メアリージュン)、家永(桜井ユキ)をはじめ、ほかにもたくさんのキャラクターがいます。映画ではそれほど登場シーンが多くなかった尾形(眞栄田郷敦)や谷垣(大谷亮平)も活躍しますし。コメディパートが増えている分、肩肘張らずに見てもらえると思います。ただ1話1話がかなり濃厚なので、何かをやりながらの“ながら見”は厳しいかもしれないです(笑)。

――最後に、視聴者の皆さんへのメッセージをお願いします。
映画から引き続き、原作愛がものすごく強いスタッフ&キャストで作り上げた作品です。「ゴールデンカムイ」は原作がとても面白いんですが、ドラマにもちゃんと笑えるネタも入っていますし、原作ファンの方々を裏切らないドラマシリーズになっていると思います。冒頭に映画版の簡単なあらすじは入っていますが、できることなら映画版をご覧になってから、ドラマを見てもらえるとより分かりやすいんじゃないかな。杉元とアシ(リ)パさんの壮大な金塊探しの旅を楽しんで下さい!

※「アシリパ」の正式な表記は「リ」が仮名小書き
※「インカラマッ」の正式な表記は「ラ」が仮名小書き

Ⓒ野田サトル/集英社 Ⓒ2024 WOWOW

10月6日(日)後10:00より放送・配信スタート「連続ドラマW ゴールデンカムイ ―北海道刺青囚人争奪編―」(全9話)の詳細はこちら!

映画『ゴールデンカムイ』の詳細はこちら

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トップ画像(クレジット)/「連続ドラマW ゴールデンカムイ ―北海道刺青囚人争奪編―」:/Ⓒ野田サトル/集英社 Ⓒ2024 WOWOW