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W座を訪ねて~信濃八太郎が行く~

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名画や良作を上映し続けている全国の映画館を、WOWOWシネマ「W座からの招待状」でおなじみのイラストレーター、信濃八太郎が訪問。それぞれの町と各映画館の関係や各映画館の歴史を紹介… もっと読む
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2023年3月の記事一覧

イラストレーター・信濃八太郎が行く 【単館映画館、あちらこちら】 〜「あまや座」(茨城・那珂市)〜

文・絵=信濃八太郎 閉店したスーパーマーケットの駐車場にある映画館  あなたが東京で暮らしているとして、どうして茨城県は水戸の先、1時間に1本しか列車(そう、電車ではなく、ディーゼルエンジンで動く気動車だ)がなく、Suicaも使えない無人駅、どう読むのかさえいまいちわからない「瓜連」まで映画を観に行く必要があるのだろう? ちなみに「うりづら」と読むこの駅を降りても誰も歩いていない。動くものといえば真っ青な夏の空を悠々と飛んでいくカラスくらいだ。太陽に照らされて、ひとりとぼ

観ることのない映画の絵を描いて遊んでいた子どもの頃のこと

文・絵=信濃八太郎  「W座からの招待状」という映画番組の案内人役を、放送作家の小山薫堂さんと一緒に担わせていただいて、間もなく7年目となる。元々は薫堂さんと、ぼくの師でもあるイラストレーター・安西水丸先生のお2人で、2011年から始まった番組だ。  毎週冒頭には、その日に放映される作品へといざなうための、1分間ほどのショートアニメーションが流れる。安西先生からも「映画好きが映画の絵を描けばいいんだもの、最高だよ」と聞かされていたのだけれど、この絵を描くのが、今ぼくも楽しく