全米大ヒットドラマ「FBI」を見ないなんて、もったいない! WOWOWの海外ドラマ担当者が人気の理由を徹底解説!
取材・文=柳田留美
作品の多様性がWOWOWの海外ドラマの強み
──ここ数年で配信サービスが台頭し、海外ドラマの視聴スタイルが変化しています。海外ドラマの制作事情にも変化は起きているのでしょうか。
渡邉「放送主体から各配信サービス主体の視聴スタイルに移行しつつあるのは事実です。制作する各国が、それぞれの国のニーズに応えて作品を作るようになってきているので、全世界的なヒット作が生まれにくくなっているように感じますね」
大朏「確かに競争はますます激化し、海外ドラマを取り巻く事情も複雑化しています」
渡邉「だからこそ、どのような作品をどのような組み合わせで視聴者にお届けしていけばよいかは、WOWOWとして重要視している大きなポイントの一つです」
──では、WOWOWが放送する海外ドラマならではの強みはどこにあると思いますか?
渡邉「全米ネットワークのプライムタイムに放送されている作品だけをただ単にラインナップすればよい、という時代は終わりました。そこで、アメリカ以外の世界にも目を向け、北欧やアジアの作品も数多くラインナップしています。北欧作品に関しては、現地を代表する配信サービス『Viaplay』と独占的ブランドコンテンツ契約を締結しました。これにより、日本初上陸となる北欧産の良質なドラマを数百本単位で放送・配信できる環境が整いました。
もちろん、海外ドラマ・アジアドラマはWOWOWのオリジナルコンテンツではありませんが、大多数の視聴者は日本語版として制作された当社の番組として初めてその作品に接することになります。だからこそ、作品のセレクションには大きな意味があります。日本初となる作品を視聴者に届ける立場として、プライドをもって良質な作品を取りそろえていきたいと考えています」
大朏「まるで千本ノックのように大量の作品を見ながら、“お客様の目”というフィルターを通して作品を選ぶようにしています。もちろん、自分自身が面白いと思えるかという視点も大切にしています。これまでは放送枠に限りがあるため、お届けできる作品の数にも限りがありましたが、現在は当社の番組配信サービス『WOWOWオンデマンド』があるので、選択できる作品の数やジャンルの幅は広がりました」
渡邉「放送・配信するコンテンツ数は他社と比べてまだ少ないかもしれませんが、総合的なコンテンツ編成はWOWOWの強みです。ジャンルの幅が広いため、多様性を担保しているという点では他社に負けていないと自負しています」
「FBI」シリーズは、「CSI」に続くWOWOW海外ドラマの看板コンテンツ
──WOWOWの海外ドラマの中でも、とりわけ人気の高い作品というと、WOWOWプログラムガイド12月号の表紙も飾っている「FBI」シリーズとお聞きしています。改めてその人気について教えてください。
大朏「2018年に現地アメリカで『FBI:特別捜査班』がスタートし、2年後の2020年には『FBI:Most Wanted~指名手配特捜班~』、その翌年の2021年には『FBI:インターナショナル』と2つのスピンオフシリーズがスタートしました。わずか3年の間に2つのスピンオフがスタートした、これだけでもいかに現地で高い評価を得ているのかが分かります。通常、アメリカのネットワークのドラマは放送の反響を受けて、打ち切りや次シーズンの更新がアナウンスされるのですが、「FBI」は3シリーズともすべて異例ともいえる2年先のシーズンの更新がアナウンスされるなど、別格の存在感を放っています。
『FBI:特別捜査班』と『FBI:Most Wanted~指名手配特捜班~』は2021~2022年の全米視聴者数ランキングトップ5にランクインしており、後発の『FBI:インターナショナル』も新作ドラマの視聴者数ランキング2位とシリーズ全体で大ヒットを記録しています。
WOWOWが放送する海外ドラマの中で最多の視聴者数を獲得しているのも『FBI:特別捜査班』です」
渡邉「『FBI』シリーズは、アメリカの地上波で総合視聴者数ナンバーワンのCBSで放送されています。ハリウッドに代表される地上波ネットワークの作品は最大公約数を狙って制作されているので、スタンダードな魅力を備えているのが特長です。だからこそロングラン作品も生まれるし、そこには“変わらない良さ”がある。
さらに、『FBI』シリーズのヒットの裏には、プロデューサーの力もあると思います。『シカゴ』シリーズや『LAW & ORDER』シリーズで知られる名プロデューサー、ディック・ウルフが『FBI』シリーズの製作総指揮を務めていて、彼が練り上げたシリーズ全体の世界観が、多くの視聴者を惹き付けていると考えられます。
国内での人気は、かつての『CSI』シリーズがベガス・マイアミ・NYの相乗効果で盛り上がったように、『FBI』シリーズも視聴者が3つのシリーズを行き来することで、人気度・認知度がますますアップしているのを感じています。安定のCBS、王道の犯罪捜査物ということで、以前からWOWOWの海外ドラマを愛してくださっている皆さまから多くの支持を頂いています」
12月から「FBI:特別捜査班」の全話が視聴可能に!
──2018年からスタートした「FBI」シリーズですが、今回、第4シーズンの放送スタートというタイミングで、改めて「FBI」シリーズを推す理由をお聞かせください。
大朏「それはもう単純に、作品の面白さが最高潮に達してきたと思えるからです。いわゆるヒットシリーズから、大ヒット作や名作シリーズの域に入っていくような感覚というか。既に多くの視聴者の皆さまにご覧いただいている『FBI:特別捜査班』ですが、まだ見たことがないという方がいらっしゃるのも事実です。そんな方々にこの作品の良さを知っていただくためには過去シーズンも視聴できる環境づくりが重要だと考え、『FBI:特別捜査班』『FBI:Most Wanted~指名手配特捜班~』の新シーズン放送スタートに合わせて、『FBI:特別捜査班』の過去シーズンを12月からすべてWOWOWオンデマンドでご覧いただけるよう準備いたしました。第1話からでも間に合うこのタイミングで、未見の方にもぜひ見ていただきたい。そういう想いが強くあって、今回のタイミングで改めてプッシュさせていただきました。
基本的に『FBI』シリーズはどれも1話完結型のストーリーなので、どのシーズン・どのエピソードから見ても楽しめるのですが、放送と配信の両軸で『FBI』シリーズに触れていただくには今が絶好のチャンス。そこで、より多くのお客さまの目に触れていただけるよう、プログラムガイドの表紙も飾らせてもらいました」
渡邉「WOWOWでは、今年7月からスピンオフ第2弾『FBI:インターナショナル』を放送しており、これで『FBI』シリーズ3作品がすべてお目見えした形となりました。シリーズ全体の認知度が高まりつつある今、よりファンを増やすための一押しが欲しいという思いがあったので、表紙になってうれしく思っています。海外ドラマがプログラムガイドの表紙を飾るのは珍しいことですし、年末年始は視聴が高まる時期でもあるのでなおさらです。
既に『FBI:特別捜査班』をご覧いただいている方には、放送で新シーズンを楽しんでいただきつつ、配信でこれまでのエピソードも振り返っていただきたいです。まだご覧いただいていない方には、この機会にぜひ『FBI』シリーズの魅力を知っていただきたいと思っています」
「FBI」シリーズは吹き替え声優陣にも注目
──「FBI」シリーズの3作品、それぞれの特徴と、併せて見る楽しみ方の秘訣があれば教えてください。
大朏「『FBI:特別捜査班』は大都会ニューヨークが舞台で、テロなど規模の大きい事件が多いのが特徴です。『FBI:Most Wanted~指名手配特捜班~』は凶悪な逃亡犯を追う捜査官の姿を描く作品なので、郊外を含むより広い範囲が舞台。規模は小さくても残虐な事件が多い傾向にあります。『FBI:インターナショナル』はヨーロッパが舞台なので、さまざまな国の文化や風光明媚な光景も楽しめる作品です。ヨーロッパ各国の事情を垣間見ることができるという面白さもあります。
どれも主役はFBI捜査官ですが、それぞれ役割が異なります。どんな立場で、どんな場所で、どんな活躍を捜査官たちが見せてくれるのか。3作品を見比べてみるのも面白いです」
渡邉「いずれのシリーズも、常に世相を反映した事件が描かれています。『FBI:特別捜査班』については、12月から過去シーズンもすべてWOWOWオンデマンドでご覧いただけますので、それぞれのシーズンごとにアメリカ社会のトレンドの変化を感じていただけるはず。そういった視点で、新シーズンと過去シーズンを見比べてみるのもおすすめです」
──いずれのシリーズも、人気声優さんたちが二カ国語版の吹替キャストを務めていらっしゃいますが、収録の際の裏話などあればお聞かせください。
大朏「シーズン1からの日本語版の担当プロデューサー、佐藤奈緒子さんに話を聞きましたが、『FBI:特別捜査班』のマギー・ベルを演じる小林ゆうさんは、低めのハスキーボイスがマギーのキャラクターにピッタリとハマっていますが、試しに告知のナレーションをご本人の声でお願いしてみたところ、かわいい甘い声でマギーとのギャップがすごかったそうです。結局、マギーの声色で録り直してもらったというエピソードがあります。『FBI:Most Wanted~指名手配特捜班~』のジェス・ラクロイ役の楠大典さんは、劇中ではとても渋い役柄を演じていますが、収録現場ではラクロイとは打って変わって愛嬌のあるキャラクターで場を和ませてくれています。また、『FBI:インターナショナル』のスコット・フォレスター役の細谷佳正さんは、当初、セリフの量とスピードに大変驚かれていました。3シリーズとも捜査が目まぐるしく展開するので声優さん泣かせではあるのですが、中でも『FBI:インターナショナル』はヨーロッパが舞台なので、地名など固有名詞の読み方も難しく、翻訳者も声優陣もかなり苦労されているそうです(笑)」
──では最後に改めて「FBI」シリーズの見どころをお聞かせください!
大朏「1話完結型のストーリー展開でどこからでも入りやすいのはもちろん、迫力のあるアクションシーンも大きな見どころです。いずれのシリーズも社会問題や時事ネタを扱っており、一方的に正義を押し付けることなく視聴者に判断を委ねる展開も多々あります。その秀逸な脚本力が見る者を飽きさせません。シリーズごとに立場や役割は異なるものの、犯人逮捕に向けて全力を尽くすという捜査官たちの思いは共通。それぞれのキャラクターの葛藤や苦悩を映し出す人間ドラマとしても見応えがあります。
犯罪捜査の王道を行く作品なので、目新しい派手さはないかもしれませんが、いつまでも見続けたいと思わせる地に足の着いた魅力を備えています。まさに、ディック・ウルフのなせる業ですね。
なお、12月にスタートする『FBI4:特別捜査班』と『FBI:Most Wanted3~指名手配特捜班~』の第1話は“トリプルクロスオーバーエピソード”(『FBI:インターナショナル』の第1話を含めた各シリーズの第1話がクロスオーバーして展開)です。シリーズの枠を超え、異なるチームの捜査官たちが合同で捜査に当たる姿をご堪能いただけます。ぜひご覧ください!」
渡邉「『FBI:特別捜査班』の原題は『FBI』。これほどストレートなタイトルってなかなかないんじゃないでしょうか。タイトルとこのビジュアルを見ただけで、テーマが明確に分かる。この“直球さ”こそが『FBI』シリーズの最大の魅力だと思います。そして直球でありながら、現在のアメリカの時事問題に鋭く斬り込む勇気を持った作品でもあります。アメリカの“今”を知り、それを学ぶきっかけも与えてくれる作品なので、ぜひ、第1シーズンから見られるこの機会に全話お楽しみください!」
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