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Charデビュー45周年企画として開催された、伝説のバンドPINK CLOUDトリビュート公演。ゲストにミッキー吉野を迎えたステージを通じて感じた、Charが音楽に込めた特別な想い

 デビュー以来約半世紀にわたり、独自の存在感を放ち続けるChar。ギタリストとして、様々な楽器を駆使するマルチプレーヤーとして、その評価は他の追随を許さない。

 2016年、ギターマガジン誌による、プロギタリストを中心とした音楽関係者へのアンケート投票「ニッポンの偉大なギタリスト100」にて1位に選ばれたことはその証左でもある。

 また、シンガーソングライター、作曲家・プロデューサーとしての幅広い活動。そして、二度にわたるレーベル設立など新たな音楽ビジネススキーム構築を目指した実業家としての側面。もし彼がいなかったら、日本のロックシーンの隆盛は大幅に遅れていたことだろう。

 波乱に満ちた彼の音楽人生を振り返る上で、欠かすことが出来ないのがジョニー吉長(drums)、ルイズルイス加部(bass)と共に結成したスリーピース・ロックバンド、Johnny, Louis & Char(JLC)だ。

 のちにPINK CLOUDとバンド名を変えつつ、長きにわたる活動で残した作品の数々は、今なおマスターピースとして聴き継がれている。

 JLC / PINK CLOUDトリビュート2DAYS公演2日目、6月28日。LINE CUBE SHIBUYAには、再びロック好きの強者が集結した。

 定刻が過ぎ、Charが舞台に現れる。白のハットとパンツを合わせ、ピンクのシャツの上には白いストール。夏らしいカジュアルな装い、肩の力を抜いた佇まいだ。

 1曲目は「Pink Cloud」。バンド名をタイトルに起用した同名アルバム収録のインストナンバーだ。現在のCharの活動を支えるZAX(drums)と澤田浩史(bass)が生み出すスケールの大きなグルーヴ。その上を自由にハネる彼のギターワーク。シンプルな中で開放感の広がるリフレインが心地良い。

 間髪入れずに同アルバムオープニングを飾った「Why Aren’t You Ready?」へ。「お前の番だぜ!」と聴き手を煽る。高揚感がドライヴするギターソロも実に格別。続く「Moon King」は1984年に中島優貴の作品に参加し提供したコアファン垂涎の楽曲だ。

 求心力の強いナンバー「Falling Star」では、ギターキッズをとりこにしたCharのプレイに誰もが心を震わせる。瑞々しさと枯れた味わいをハイブリッドさせた現在の彼のヴォーカルも素晴らしい。

 ヒリヒリするような痛みが伝わるバラード「In The Space」のアウトロでは、この夜のゲスト、ミッキー吉野が登場し、客席から野太い声援が飛ぶ。

 抒情的な「Hug Letter」では、表情豊かなミッキー吉野のキーボードとCharのギターが絶妙に絡む。続いて、これぞジャムセッション!ともいうべき「Future Child」での創造的パフォーマンス。ラストアルバム『the period』で提示された独創性に満ちた世界観がよみがえる。

 Charの“Set me free”という叫びが木魂したブルージィな「Sunset Blues」、ファンキーな「Never Ending Road」でのハモンドオルガンの響き。絶妙に溶け込んだバンドアンサンブルに、ただひたすら酔いしれる。

 Creamの「Crossroads」そして「Sing,Sing,Sing」を挟んで、ドラムソロからスタートした「Uncle Jack」も最高だった。アメリカ南部の乾いた風を感じるようなファンキーなグルーヴ、ソウルフルなサウンド。セカンド・ライン(ニューオーリンズ音楽独特のリズム)もCharのハーモニカも観衆とのコール&レスポンスも含めて、至福のPINK CLOUDサウンドを満喫出来た。

 本編ラストは「Today Is The Day」。Charのクールな(スタイリッシュなというべきか)熱さが堪能出来るアンセムで終了した。彼の名を叫ぶ喝采があちこちから上がるほどの名演、ただただ痺れた。

  アンコール1曲目はルイズルイス加部とミッキー吉野へリスペクトを込めた、ザ・ゴールデン・カップスの「長い髪の少女」。哀愁にあふれたグループサウンズが胸に沁みる。 

 MCを挟んで、ジョニー吉長がヴォーカルをとっていた「Only For Love」を歌うChar。涙腺が緩むとは、この時の感慨を言うのだろう。祈りを捧げるような厳粛な時間が流れた。

 続いて、「ライブで演ったことがないんじゃないか」とChar本人も語ったプログレッシヴな「My Delicate One」。“名盤中の名盤”の誉れ高き『INDEX』収録曲で、言葉通り会場を熱狂の渦に巻き込んだ。

 そして、アンコールの最後に。「こういう時代だから、この曲しかないかなと」と言って、Charは初期の代表曲「Smoky」を演奏してくれた。当時の彼の想いが昇華された作品を、あの頃と同じ純度で。長い年月を通じて、聴き手の人生とシンクロする音楽がそこにあった。この場に立ち会えたことに心から感動を覚えた。

 彼の音楽には、一言では説明しきれない、目にみえない特別な想いが常に込められている。時代を超えた表明。それがまたCharらしくて素敵だった。

 芳醇な音楽空間に酔いしれ、2023年を基点に過去と未来が交錯する。特別な感慨を抱いて帰路に向かう人々の姿もまた印象的だった。

 アグレッシヴに挑戦を重ね、傷を負うことを恐れず先陣を切り続けてきた。それも、実に長い年月を通じて。CharこそがONE AND ONLYだ。そう断言する。

 PINK CLOUDセッション、そして前夜に開催されたJLCセッションの映像を通じて、彼の音楽の素晴らしさを堪能して欲しい。
 
photo by 今井俊彦

【番組情報】
Char 45th Anniversary Tribute Live
Day2 ~PINK CLOUD session~
9月10日(日)午後6:00[WOWOWライブ][WOWOWオンデマンド]
※9月16日(土)までWOWOWオンデマンドでアーカイブ配信あり

Char 45th Anniversary Tribute Live 
Day1 ~JLC session~
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