『オザは、このときどんな気持ちだったの?』って聞かれたとき、俺が言った一言もこれだった。それが俺のやり口なの(笑)――『ラブ・セカンド・サイト はじまりは初恋のおわりから』を観てスピードワゴン・小沢さんが心撃ち抜かれたセリフとは?
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『オザは、このときどんな気持ちだったの?』って聞かれたとき、俺が言った一言もこれだった。それが俺のやり口なの(笑)――『ラブ・セカンド・サイト はじまりは初恋のおわりから』を観てスピードワゴン・小沢さんが心撃ち抜かれたセリフとは?

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映画を愛するスピードワゴンの小沢一敬さんが、映画の名セリフを語る連載「このセリフに心撃ち抜かれちゃいました」
毎回、“オザワ・ワールド”全開で語ってくれるこの連載。映画のトークでありながら、ときには音楽談義、ときにはプライベートのエピソードと、話があちらこちらに脱線しながら、気が付けば、今まで考えもしなかった映画の新しい一面が見えてくることも。そんな小沢さんが今回ピックアップしたのは、自分本位な夫が、最愛の人が自分を知らない<もうひとつの世界>に迷い込み、“愛の試練”に立ち向かう姿を描いたフランス=ベルギー合作映画『ラブ・セカンド・サイト はじまりは初恋のおわりから』('19)。さて、どんな名セリフが飛び出すか?

取材・文=八木賢太郎 @yagi_ken

──今回はフランス映画をチョイスしていただきました。

小沢一敬(以下、小沢)「うん、すごくいい映画だと思うし、面白かった」

──今回もよろしくお願いします。

小沢「まず最初に俺が気になったのは、ピアノ演奏のシーンで。実は最近キーボードを手に入れてさ、今年のお正月ぐらいからピアノの練習をしてるのよ。練習っていっても、気持ちの上で、なんだけど」

──気持ちの上で、とは?

小沢「いや、それは1年後に『全然できなかったじゃん!』って言われないための言い訳ね(笑)。とにかく、一から練習してるから、ピアノの演奏会のシーンでも、指の動きとかをジッと見ちゃうようになったね。『こんなに動くかな?』とか『あれぐらい弾けるようになったら楽しいだろうな』とか考えながら」

──主役の2人、ラファエル(フランソワ・シヴィル)とオリヴィア(ジョセフィーヌ・ジャピ)は美男美女ですね。

小沢「そうだね。あの2人が学生時代に出会って、やがて結婚して、幸せな結婚生活を送っていくところを、最初の方でダイジェストみたいに見せて、ラストの方でも、また2人の思い出をダイジェストで見せるじゃん。俺、ああいう人生のダイジェストみたいなのが好きなんだよね」

──ただ、ストーリーとしては、そんなラファエルとオリヴィアの幸せな結婚生活が、冒頭からいきなり破綻していくわけですけど。ああいう男女の擦れ違いみたいな部分では、小沢さんは何か思うところはありましたか?

小沢「う~ん、そのへんの話が難しいんだよ、一番。自分が気付かないうちに『仕事が忙しい』とかってことを言い訳にしちゃうのは、ついついやっちゃうよね。あと、夫婦とか恋人がけんかしたときに、よく『じゃあ、考える時間を1週間くれ』って言ったりするけど、あれって結局は何も考えないんだよ。問題を先送りにしてるだけで。だから、あの『考える時間をくれ』っていうのは、実は『考えないでいい時間をくれ』って意味なんだよって、俺はずっと言ってるんだけどさ」

──確かに、1週間考えたところで何も変わらないですもんね。

小沢「そうやって言い訳したり、考えてるフリをしてごまかすのってありがちじゃん。だって、付き合い始めの頃なら、どんなに仕事が忙しくてもなんとかしてたんだから。でも、言うんだよね、『仕事が忙しいから』って。それを言っちゃえば、相手は反論できないのを知ってるから。かといって、このときのオリヴィアみたいに、『あなたはいつも仕事、仕事ばっかり』みたいなことを言われるのも、すごくつらいだろうし…」

──どちらか一方だけが悪いわけではないので、考えちゃいますよね。

小沢「ちなみにこの映画、フランス映画なんだけどフランス映画っぽくないよね。フランス映画の割には、ちゃんと状況説明とかが分かりやすいというか。あと、ストーリーの細かい部分について、ボケとして観るかツッコミとして観るかで、だいぶ印象が変わると思うんだ。『ああ、いいね、いいね』ってすべてを受け入れて観ればすごく楽しめるんだけど、逆にいちいち『んなわけないじゃん!』ってツッコミを入れ始めたら、結構いろんなところが気になるよね」

──ツッコミ機能をオフしたほうがいい映画ですね。

小沢「うん。ツッコミ機能をオフしないと楽しめないかも。でも、今のSNS社会は、全員がツッコミ機能をオンにしたがるからね。そういう意味では、日本の監督が日本の役者でこの映画を撮ったら、もしかしたらすごいたたかれてるかも(笑)」

──あくまでファンタジーなんですけどね。

小沢「でも、ファンタジーをファンタジーとして許さないよね、今の世の中は。『いやいや、理屈が通ってないから』って言われちゃうからさ」

──では、そんな今回の作品の中から、小沢さんが一番シビれた名セリフを選んでいただきたいのですが。

小沢「いくつか考えたんだけど、名セリフの前に、まず俺が最初に引っ掛かったのが、異世界に来た後でラファエルが親友のフェリックス(バンジャマン・ラヴェルネ)に、『彼女の好き嫌いを知ってる』って説明するシーンなんだけど」

高校時代に一目惚れをして結婚した、ラファエルとオリヴィア。結婚10年目を迎え、ラファエルはベストセラーSF作家となり、オリヴィアは擦れ違いの生活に孤独を感じていた。ある日、我慢の限界に達したオリヴィアがラファエルに想いをぶつけると大げんかになってしまう。翌朝、目を覚ましたラファエルは、周りの様子がおかしいことに気付く。そこでの自分はしがない中学校の教師で、オリヴィアは人気ピアニストとして活躍する、立場が逆転した“もうひとつの世界”だった。もう一度オリヴィアと愛し合えば元の世界に戻れると信じ、ラファエルはあれこれ接触を試みるが…。

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──新しい世界のオリヴィアとなんとかして結ばれたいと願うラファエルに対し、相談に乗っていたフェリックスが「でも、なかなか難しいぞ」と言うと、「超簡単さ。俺は彼女の好き嫌いを知ってる」と言いながら、前の世界にいたオリヴィアの好みについて語っていくシーンですね。

小沢「あのシーンを観てたとき、ふと考えたんだ。『俺は、俺の周りの人のことを、どれぐらい知ってるんだろう?』って。俺が好きな女の子が好きな食べ物、俺が好きな友達が好きな音楽、そういうのを俺はどれぐらい言えるだろうかって考えたんだけど、たぶん、ほとんど言えないんだよね。例えば、相方の(井戸田)潤のことですら、何も知らないもん。知ってるのは、担々麺と久保田利伸が好きってことぐらい(笑)」

──20年以上もコンビを組んでるのに?

小沢「そうなんだよ。プライベートで一緒に過ごす時間が多い徳井(義実)君のことですら、椎名林檎が好き、ぐらいしか知らないもん(笑)。だから、本当に周りの人のことを知らな過ぎるなって、ものすごく反省した」

──なるほど。

<※ここから先はネタバレを含みますのでご注意ください>

小沢「で、その話は置いといて、映画では、その後にラファエルとオリヴィアは酔った勢いで一晩だけ結ばれるけど、それでもラファエルは元の世界に戻ることはできなくて。しかも、朝になって冷静になった彼女から、『昨夜の私たちは変だった。みんなに言うべきじゃない』って言われるじゃん。要するに、昨夜のことはなかったことにしたいって。そのときにラファエルが返す、『一体、何のこと?』っていうセリフ。あれが俺は一番好きなセリフだね」

──「いいよ、昨夜のことはお互い忘れちゃおうぜ」っていうメッセージですよね。ラファエルの男としてのプライドみたいなものがにじみ出たセリフ。

小沢「あの『何のこと?』っていうのが、普段の俺のやり方にそっくりなんだよね(笑)」

──あ~、そんな感じします。

小沢「実際、つい最近も似たようなセリフを言ったばっかりなんだよ。正月にオンエアされた番組で、俺と徳井君とシャンプーハットの恋さんの同期3人でしゃべる企画があったんだけど、その中で徳井君がしてくれた話があってさ。数年前に徳井君が不祥事を起こしたとき、生放送の番組に出てた俺がそのことに関してコメントを求められたんだけど、そこで俺は顔を真っ赤にしながら『なんも言いたくないよ。だって、友達だもん』って言ったと。それを家で観てた徳井君は、『この人、こういうときでも少年みたいに言うんだ』って感動して、笑っちゃったって話」

──すごくいい話じゃないですか。

小沢「まあ、結果的にいい話みたいになっちゃったんだけど。それでMCの人から、『オザは、このときどんな気持ちだったの?』って聞かれた俺が言った一言が、『あ、もう忘れちゃった』で。それが俺のやり口なの(笑)」

──小沢さんっぽいですね~。

小沢「もう、ボケじゃなくて、おとぼけね(笑)。とぼけてるだけ」

──すっとぼけですね。それと映画の中の話とはちょっと違いますけどね。

小沢「でもさ、時には知ってても知らないフリをするっていうのがいいなって思うのよ。この映画のラファエルも、最初は『彼女の好みは何でも知ってる』みたいにアピールしてたけど、だんだんとそんなことを知ってても意味ないって気付いてきて、最終的に、海辺を自転車の2人乗りで走る場面で彼女から『私の一番好きな曲は?』って聞かれたときには、本当は知ってるのにもかかわらず、『分からない』って言うじゃん。あれがいいよね」

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──まさにとぼけてみせた。

小沢「そうそう。ああやって分かってても『分からない』って答えておくと、相手の方から『○○だよ!』って教えてくれるんだよね。それを言わせてあげるやり方っていうか。もちろん、分かってなきゃいけないことはたくさんあるんだけど、分かってるってことをわざわざアピールする必要もないんじゃないかなって思うんだよね」

──でも、逆に相手はアピールを求めているかも?

小沢「そうなんだよ。こうやって『わざわざ言わなくたっていいだろ』って思うのも、また俺の身勝手で。相手からすれば、『言ってくれなきゃ分かんないよ!』って怒りたくなることもあるんだろうから…。そうやって考えると、やっぱりこの映画、俺には難し過ぎて何も語れることがないわ!(笑)」

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クレジット:(C)2018 / ZAZI FILMS - MARS CINEMA - MARS FILMS - CHAPKA FILMS - FRANCE 3 CINEMA - C8 FILM

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