【3月の激レア映画!】廃盤・未ソフト化・4K修復版…なかなか出会えない貴重な映画を“レア度”とともにご紹介!
文=飯塚克味
【3月の激レア映画10作品】
まずは惜しくも[廃盤]となっている作品からいきましょう。
①『アポカリプト』
レア度…★★★☆☆
まずは現在、ソフトが廃盤になっている『アポカリプト』からご紹介します。「マッドマックス」や「リーサル・ウェポン」シリーズで有名なメル・ギブソンが監督した第4作です。第3作の『パッション』(’04)はイエス・キリストが磔にされる様子をリアルに描き、全米で空前の大ヒットを記録。興行収入は世界中で6億1200万ドル以上を売り上げました。そこでこの次作だったのですが、公開前は正直よく内容が分からない予告編で、マヤ文明を扱っていることくらいしか前情報がありませんでした。
ですがいざ鑑賞すると、アクションに次ぐアクションの連続で、最高のエンターテインメント作品になっていたのです! 本作も全米で初登場1位、製作費4000万ドルに対し、世界興収1億2060万ドルの大ヒットとなり、ヒットメーカーとしての“メルギブ”の地位を確立させたのでした。
②『キル・ビルVol.1』/③『キル・ビルVol.2』
レア度…★★★☆☆
続いてのタイトルは、なぜこれが廃盤に? と思ってしまう作品で、クエンティン・タランティーノ監督の『キル・ビルVol.1』と『キル・ビルVol.2』です。タイトルを聞くと『ブルース・リー/死亡遊戯』(’78)を思わせるイエローのボディスーツに身を包んだユマ・サーマンの姿がすぐ目に浮かぶ映画ファンも多いと思います。『~Vol.1』にはタランティーノの日本映画への愛情が目いっぱい注がれていて、彼が敬愛する千葉真一の出演はもちろん、さまざまな映画へのオマージュがちりばめられ、ラストには梶芽衣子の「怨み節」まで流れるサービスぶり。『~Vol.2』はマカロニウエスタンとカンフー映画に特化した作りになっていて、これまた映画ファン泣かせの作品になっています。
同時にオンエアされる『クエンティン・タランティーノ 映画に愛された男』(’19)と合わせてお楽しみください。
④『シャイン』
レア度…★★★★★
こちらも[廃盤]状態なのが信じられない名作『シャイン』です。
本作の主演ジェフリー・ラッシュは『パイレーツ・オブ・カリビアン/呪われた海賊たち』(’03)のバルボッサ役が有名ですが、リアルタイム世代には何と言っても本作が衝撃的でした。実在の天才ピアニスト、デヴィッド・ ヘルフゴットの少年時代から青年時代、そして大人になった姿が描かれるのですが、彼が演じるのは大人になり、精神を病んでしまった主人公。演技とは思えないリアルな姿に心打たれます。それまで舞台で活躍してきたジェフリー・ラッシュは、映画デビューとなった本作の演技でいきなりアカデミー賞主演男優賞を受賞。それも納得の名演です!
⑤『聖職の碑』
レア度…★★★☆☆
続いての廃盤となっている作品は『八甲田山』('77)の大ヒットを受けて、新田次郎原作、森谷司郎監督、木村大作撮影のベストメンバーをそろえた『聖職の碑』です。
1913(大正2)年8月26日に長野県で実際に起きた山岳遭難事故を扱っています。現在の中学校に当たる学校の集団宿泊的行事として、木曽駒ヶ岳に教師と生徒合わせて37人が登山に挑みますが、台風が接近しており、そんな暴風雨の中たどり着いた山小屋は半壊していたという危機的な状況の中でのサバイバルが描かれます。主演は鶴田浩二、さらに三浦友和、大竹しのぶという今でも活躍中の俳優が出ているのも見逃せないポイントです。公開時は思うようなヒットには至らなかったようですが、極限状況の中、生き抜こうとする人々の姿は、今の我々に何かを与えてくれるはずです。
ここからは[未ソフト化]の作品をご紹介します。
⑥『ヴァチカンのエクソシスト』
レア度…★★★★☆
まず最初にご紹介する未ソフト化作品は、アカデミー賞俳優のラッセル・クロウがエクソシストとして悪魔払いに挑む『ヴァチカンのエクソシスト』です。
2020年の『アオラレ』では恰幅が良くなった体形を生かし、高圧的なキャラを見事に演じていましたが、本作でもその存在感を大いに発揮し、悪魔と直接対決をするクライマックスを盛り上げてくれます。昨年、本作のヒットに貢献したのがSNS。プロデューサーのジェフ・カッツが日本語に精通していて、日本語でリプライしたことも話題になりました。
⑦『ジュリア(s)』
レア度…★★★☆☆
次の未ソフト化の作品。少し変わった表記ですが『ジュリア(s)』と書いて“ジュリアズ”と読みます。ピアニストのジュリアが人生の岐路を選択することでさまざまな土地で過ごす4つの人生が描かれます。
舞台となるのはパリ、アムステルダム、ベルリン、ニューヨーク。あの日あのとき、もし違う選択をしていたら…と、つい考えてしまうあなたにとって、かけがえのない一本になるかもしれません。劇中に流れる名曲の数々も印象的です。
⑧『シラノ・ド・ベルジュラック(1990)』
レア度…★★★★☆
幾度となく映画化されているエドモン・ロスタンの戯曲「シラノ・ド・ベルジュラック」。鼻の長い自身の姿にコンプレックスを抱える主人公が恋に落ちる話です。スティーヴ・マーティンがコメディタッチで主演した『愛しのロクサーヌ』(’87)や、最近ではミュージカル版の舞台をピーター・ディンクレイジ主演で映画化した『シラノ』(’21)なんて作品もありました。そんな中、’91年に単館系で公開され、日本でも大ヒットを記録したのが本作『シラノ・ド・ベルジュラック(1990)』です。
原作自体がフランスの作品ということもあり、見ていて違和感がない点も素晴らしいです。4Kレストアされた美しい映像で、ぜひお楽しみいただければと思います。
⑨『ワンダーガールズ 東方三侠』/⑩『ワンダーガールズ 東方三侠2』
レア度…★★★★★
最後に紹介するのは、3人のヒロインが活躍する香港アクションの傑作シリーズ『ワンダーガールズ 東方三侠』と『ワンダーガールズ 東方三侠2』です。香港映画が時代を牽引していた1990年代に生まれた本作。当時、圧倒的な人気を誇ったアニタ・ムイ、ミシェル・ヨー、マギー・チャンの三大女優が、敢然と悪に立ち向かう、分かりやすい上に最高のカタルシスを与えてくれる作品です。「チャイニーズ・ゴースト・ストーリー」シリーズのチン・シウトンと、アクション映画の名匠ジョニー・トー。アニメ映画のようなカッコいいカット割りに、ワイヤーワークの動きも華麗そのもので、尺も短く、娯楽映画の手本のような作品です。
今回、放送で使用されるのは新たに作成された4Kマスター。WOWOW4Kでの放送もあるので、そちらもチェックしてもらいたいところです。
次回、4月号激レア映画もレアな映画が盛りだくさんです。
どうぞお楽しみに!
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