祝・森高千里メジャーデビュー35周年!音楽的挑戦を重ねてきた足跡を味わえるプレミアムな内容となった2夜限りのアニバーサリーライブをWOWOWで独占放送・配信!
東京・湾岸エリアにある豊洲PIT。新たな音楽の聖地となりつつあるライブエンタテインメント専用シアターで、2夜限りの森高千里メジャーデビュー35周年アニバーサリーライブが開催された。チケットは即ソールドアウト。深まりゆく秋の気配を感じさせる10月9日・10日、約3,000人が期待と興奮を胸に会場に詰めかけた。
イベントタイトルはビートルズの作品から着想を得た「a day in the life」。人生は何気ない日常の中にある、ある一日の積み重ね。だからこそ、今日という一日を大切にしよう。彼女が常に大事にしてきた心情が込められていた。
2日目にして最終公演となる10月10日午後4時過ぎ。電子音と観客の手拍子が加速する中、森高がステージに登場する。青く煌びやかなベルベットのミニスカートの衣装。彼女のメタファーのような、35年間変わらないシルエット。
1曲目は「うちにかぎってそんなことはないはず」。アルバム『古今東西』のラストを飾ったナンバーを最新アレンジに乗せて歌う。リズムと言葉のループを融合させ、聴き手の全身を揺さぶる。のっけから森高マジック炸裂だ。
続いては、ライブ初お披露目となる「どっちもどっち(ミセス森高バージョン2004)」。微妙な夫婦関係を歌った楽曲を、アルバム『MY FAVORITES』に収められていたバージョンで演奏。コアファン垂涎のレアナンバー連投に、場内がどよめく。ライブハウスならではの距離感の近さがまた、堪らない。
MCでは「今日は森高千里の、頭のてっぺんからつま先まで聴いていただこうかなと思っています」とコメント。かつては挑発的でスリリングなメッセージが注目を浴びたこともあったが、この言葉は威風堂々の響きさえ感じさせた。
その後、「THE BLUE BLUES」「頭が痛い」「こわい夢」「台風」と、独創的な詞とサウンドの変遷をなぞるようなナンバーが続く。ビッグバンド、ロックンロール、ロカビリー、何と引き出しの多いことか。印象的なギターリフをフィーチャーし、楽曲ごとに異なる装いで攻めたステージを決める。
「Don’t Stop The Music」そしてCAPSULEのカヴァー「more more more」では、一転してダンスチューンで客席を熱く鼓舞する。生音中心のバンドサウンドから、打ち込み主体のデジタルミュージックまで。序盤から彼女が「頭のてっぺんからつま先まで音楽人」であることを表すような展開が繰り広げられた。
「Uターン(我が家)」「九州育ち」と、故郷・熊本に想いを馳せるナンバーを綴った後、キャリアを代表するバラード「雨(ロック・ヴァージョン)」へ。切なさもまた、彼女の音楽の魅力のひとつ。その歌声に、誰もが心を震わせていた。シンガー・森高千里の真髄が発揮された、息遣いさえ伝わるような熱唱だった。
続いて、イギリスを訪れたときの映像を上映しながら歌った「Tony Slavin」。アルバム『PEACHBERRY』に収録されていた佳曲だ。90年代後半の彼女のアルバムには、自身の作詞・作曲による宝石のようにキラキラしたナンバーが幾つも収められていた。感慨深くステージを見つめる聴衆の姿から、35年間の歴史の重みがうかがわれた。
そんな余韻を打ち破るように、照明が赤く激しく点滅する。「ハエ男」だ。1950年代のアメリカSFホラー映画をモチーフに、日本社会の縮図のような光景を平易かつ耳に残る言葉で風刺する。続く少年ナイフのカヴァー曲「バナナチップス」と共に、J-POPの先駆者たる彼女の矜持が伝わる名曲、名演だった。
ステージは終盤に向かい、第二の故郷と語る「渡良瀬橋」で万感に到った後、未来への希望を等身大の言葉で綴る「私のように」へ。自分自身であることを肯定するアンセムだ。メンバー紹介を挟んで歌った「一度遊びに来てよ」も、ファンが愛し続ける名曲。聴くほどに味わい深くなる繊細なリリックと、一方でウェットさを抑制したヴォーカル。彼女にしか体現出来ない特別な抜け感が抜群で素晴らしかった。
「やっちまいな」「夜の煙突」で再び“ROCK ALIVE”なパフォーマンスを魅せつけ、ラストは「私がオバさんになっても」。この曲を30年間歌い続けてきたことが、今を生きる女性たちにどれだけの勇気を与えたことか。神々しい程の輝きを放ち、本編は終了した。
衣装替えをして再登場したアンコール。「その後の私」を歌った森高は、正面を真っ直ぐ向いて、35年分の感謝を伝える。その語り掛ける言葉、そして少し潤んだ瞳から、彼女の真摯な想いがあふれ出る。感動のひとときだった。
「年齢とかは全然関係ないです。私は私でガンガン行きたい!」そう言って、今回の周年ライブのテーマと連なる「EVERY DAY」を披露。最後はビートルズへのオマージュも込めた名曲「コンサートの夜」で、会場がひとつになってアンコールは終わった。
収まらないのは、ボルテージが最高潮に達したオーディエンスだ。声を出せない制約の中でも、精一杯の拍手でダブルアンコールを求める。爆発するテンションに応えて、森高が再度舞台中央に戻る。最後の最後に歌われたのは、彼女のライブに欠かせない「テリヤキ・バーガー」。全員の内なる魂の大合唱と共に歌い上げて、圧巻の夜は終わりを告げた。
一般的に“周年ライブ”とは、懐かしさを辿るものになりがちだが、彼女の場合は違った。音楽家・森高千里像を浮き彫りにするセットリスト、その幅の広さや奥の深さ、音楽的挑戦を重ねてきた足跡を味わえるプレミアムな内容だった。随所に現在進行形の音色を散りばめてくれたことも嬉しかった。
昭和から平成の時代を超えて、自らの想いを歌に刻んできた彼女は、令和の時代に入っても今なお前に進んでいく。比類なきアーティスト、森高千里35周年。彼女が終わりなき音楽の旅の途上で描いた「a day in the life」を、是非その目に焼き付けて欲しい。
3カ月連続!森高千里 35周年 WOWOW特集
<ラインナップ>
●森高千里 35th Anniversary「a day in the life」@豊洲PIT ライブ
12月18日(日)午後7:00 [WOWOWライブ][WOWOWオンデマンド]
収録日:2022年10月10日
収録場所:東京 チームスマイル・豊洲PIT
●森高千里 Live History
2023年1月11日(水)午後8:00 [WOWOWライブ][WOWOWオンデマンド]
●森高千里 Music Video Collection
2023年2月放送・配信予定
※全番組、放送終了後~1カ月間WOWOWオンデマンドにてアーカイブ配信あり
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