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【ネタバレありッ!!】「連続ドラマW ゴールデンカムイ ―北海道刺青囚人争奪編―」の4人の監督が徹底的にこだわり抜いた演出とは?【ゴールデンカムイ制作スタッフインタビュー①/第1話~第4話】

 皆さまこんにちは。note編集部の島本です。
 10月6日(日)より、WOWOWで放送・配信中の「連続ドラマW ゴールデンカムイ ―北海道刺青囚人争奪編―」
 原作ファンの多いこの作品をWOWOWが映像化するということで、WOWOW社内でもみんなかなり気合が入っているのですが、 現場スタッフの熱量もはんぱない! ということで、 今回は、本ドラマで演出を手がけられた4人の監督にお話を伺ってきましたッ!!
 本作は、映画とドラマを一緒に撮影していたということで、通常のドラマと比べてもできることの幅が広いようで、 監督陣もいくつもの新たなチャレンジをしながら、かなり細部までこだわって制作されたとのこと。
 今回の記事では、先日放送・配信のあった第4話までの見どころポイントや、本作に込めた熱い想いを語っていただきました。 かなり読み応えのある内容になっているので、いつもの記事よりも少々ボリューミーになっておりますが、 ぜひぜひ最後までお読みいただけるとうれしいです♪

取材・文=柳田留美

「連続ドラマW ゴールデンカムイ ―北海道刺青囚人争奪編―」10月6日(日)スタート 毎週日曜 後10:00

【第1話:伝説の熊撃ち/directed by 久保茂昭】動物たちの動きをよりリアルに―。見る者に“重力”を感じさせる動物の再現

―久保監督は本ドラマだけでなく、映画『ゴールデンカムイ』の演出も担当されていますが、原作の世界観を再現するに当たり、どのような点を意識されましたか?
「週刊ヤングジャンプ」で連載中だった「ゴールデンカムイ」を初めて読んだとき、まず「画」の力に引き込まれました。だからこそ、映像では原作者の野田サトル先生が「画」に込めた魂を表現し、物語や登場人物たちの設定も大事に描きたいと思いました。
もちろん事前にアイヌのことも1年ほどかけて徹底的に研究しましたが、最も強く意識したのは、野田先生が利き腕一本で生み出した「画」の世界観をいかに映像に落とし込むかという点でしたね。

―ドラマ版では北海道のさまざまな場所が登場しますが、それぞれの町の雰囲気を演出する上でこだわったことはありますか?
釧路や小樽など、確かにさまざまな場所が出てきます。映像では、その町にシーンが移動するタイミングで当時のその場所の写真を映し、その画とリンクする映像からスタートさせるといった仕掛けを編集上で施しました。見る側の没入感の創出に一役買っていたらうれしいですね。

―映画からドラマへと移行する第1話だからこそ、演出上で心掛けたことはありますか?
第1話については、映画の世界観や壮大なスケールを踏襲したいとスタッフに伝えました。ほぼ雪山での撮影でしたが、北海道の大自然のスケール感よりはアドベンチャー感を強調することを優先しましたね。
これからいよいよ大冒険が始まるという中で、登場人物それぞれが抱えている過去や、心の傷が少しずつ解放されていくのが第1話です。ドラマだからこそ深掘りできるキャラクターの魅力や、これから始まる真の大冒険に対する期待感は必ず伝えたいと思っていたので、その点に注力して取り組みました。

杉元佐一役の山﨑賢人
アシ(リ)パ役の山田杏奈

―雪山での撮影は、かなり大変だったのではないでしょうか。
はい、とにかく寒かったです(笑)。その上、とある雪山の撮影では三脚を使うのがNGだったり、現場入りできる撮影スタッフの人数に制限があったりと、さまざまな制約があってそれも大変でしたね。ですが、原作通りの場所で撮影したいという想いが強かったので、少人数で撮影を決行しました。一方で、暖冬の影響で雪が溶けてしまって、もともと予定していた場所での撮影が難しくなるというアクシデントも。その際は、近隣の県から何十トンも雪を運び、現場にまいて撮影することもありました。
また、同じ雪山でも地域によって印象が異なるので、スタッフと一緒にロケハン(撮影で使用する場所を事前に下見すること)をした上で、多様な雪山の表情を見せられるよう工夫しました。なので、ロケ地は北海道に限らず、そのシーンに適した場所で撮影しています。

―第1話にクマやシカといった動物が登場しますが、動物のシーンで大切にされたことはありますか?
動物の動きの一部にはCGを使っています。ただ、いかにもCGっぽく見えないよう、撮影を始める1年くらい前からさまざまな動物の実写映像やCG映像をたくさん見て動きを研究し、VFXチームと何度も打ち合わせを重ねて念入りに仕上げました。
その中でも大切にしたのは「重力」ですね。CG映像の方がリアリティーは増しますが、その動物のさまざまなシチュエーションごとに、どれだけ重力を感じさせる動きを作れるかを動物の造形を使ったりもして試しました。 “まばたき”や“よだれ”など細かい部分の調整にも気を配りましたし、毛並みの再現にもとことんこだわりましたね。ただフサフサしているだけではダメなので、あえて汚れた毛や、丸まった毛なども加えてもらったことで、リアリティーのある動物たちの姿を表現できたと思います。

―久保監督から見た第1話の最大の見どころを教えてください!
序盤で杉元とシカが向き合うシーンと、終盤で二瓶(藤本隆宏)とオオカミのレタ(ラ)が対決するシーンです! 原作のコマがそっくりそのまま映像になったように感じてもらいたくて、ロケ地にも特にこだわって撮りました。大自然というロケーションの中で繰り広げられる生死を懸けた戦い―。視聴者の方々にも、その場に居合わせているかのような感覚を味わってもらえるよう努めました。
もう一つの見どころは、二〇三高地を占領した鶴見(玉木宏)が頂に旗を突き立てるシーンですね。一枚絵として見ても魅力的な仕上がりになっていると思います。第七師団が集団となって坂を駆け上がっていくシーンも圧巻です。あのシーンには俳優さんたちも相当な気合で臨んでくれました。そのかいあって、本当に疲れ切った先にある表情を捉えることができました。それが画の力にも芝居の力にも表れていると思うので、ぜひご注目ください!

第1話の序盤でシカと対峙する杉元
鶴見篤四郎役の玉木宏

【第2話:ニシン漁と殺人鬼/directed by佐藤洋輔】殺人のスイッチと、おちゃめな一面を見せる辺見和雄の魅力

―小樽の町とニシン漁場のシーンはどこで撮影されたのでしょうか?
小樽の町のシーンは、茨城県のワープステーション江戸という場所にオープンセットを組んで撮影しました。明治期の再現をするために、建物の外面にはかなり装飾を加えています。ニシン番屋の撮影は北海道開拓の村で行ない、御殿の建物の内装は、小樽の鰊御(ルビ:にしん)殿で撮影し、外観は少し離れたところにある小樽貴賓館(旧青山別邸)で撮影しました。周辺には現代の電柱などもあったので、木目調のシールを貼って昔の電信柱のように装飾したり、部分的にCGで加工したりと、できる限り当時の様子を再現しました。

小樽の町のシーンで使われたオープンセット

―第2話での印象的なシーン、明治期のニシン漁の再現は大変だったのでは?
めちゃくちゃ大変でした(笑)。まずは当時の様子が分かる映像や写真、絵などの資料を片っ端から集めて、どうすれば本物のニシン漁に見えるか…。美術の磯見俊裕さんと相談しながら進めていきました。視聴者の方々のほとんどがニシン漁がどういうものなのか知らないはずなので、「初めて見た!」という面白さを感じてもらいたいと思い、細かく作り込みました。
漁に使う船も撮影のために作りましたし、本物のニシンも大量に準備しました(笑)。ニシンの粕玉(ニシンを煮て油と水分を取り除いたもの)は、本物のニシンの小骨や身を木くずや桜のチップに混ぜて、スタッフ総出で手作り。昔のニシン漁を知る方が見たときに「これはおかしい」と言われないものにしなければと、その点にも細心の注意を払いました。

ニシン漁のシーン
撮影のために使用した本物のニシン

―辺見は、「ゴールデンカムイ」の中でも特に印象的なキャラクターですが、演出ではどんなところにこだわりましたか?
辺見は原作者の野田先生が好きなキャラクターでもあるので、まずは野田先生ご自身が辺見のどこを好いているのか、3カ月くらいかけて原作を読み込んで徹底的に考察しました。そして、野田先生の抱く“辺見像”を120%理解したと思えたところで、そのコアな部分には絶対に手を加えず、より辺見というキャラクターを色濃く描くために僕なりの要素をプラスした感じです。
辺見を演じる萩原聖人さんには、あえて原作を読まずに演じてほしいとお願いしました。ある種で原作の辺見を超える辺見を描いて、作品をゼロから創った野田先生にも視聴者の皆様にも「実写化」を面白がっていただきたかったので、役に真摯に向き合う萩原さんには、台本のみから辺見という人物を捉えてもらい、僕とディスカッションして一緒に「辺見和雄」を作り込んでいく方が想像を超えるいいものになるのではないか、と思って。結果的には、「本当は裏で原作読んでますよね?」と言いたくなるくらい、萩原さんの辺見は最高でした(笑)。

 辺見和雄役の萩原聖人

―佐藤監督は辺見という人物をどのように捉えていますか?
辺見は言ってみれば、普遍的な性質を持つ人物です。ところが、ある出来事がきっかけで彼の「殺人」のスイッチがオンになります。誰しも「怒り」のスイッチがオンになることはありますが、辺見のスイッチは「殺人」だった点に問題があると思っています。
最終目標に向かって進む過程は普通の人と何ら変わりないのに、その目標設定がおかしいんですよね。だからこそ、辺見のオン/オフの切り替えをしっかり見せて、オンの辺見をよりクレイジーに表現したいと考えました。

―やはり、辺見がシャチに投げ飛ばされるシーンは第2話の見どころでしょうか?
撮影の都合で、当初はシャチを登場させないつもりだったんですが、野田先生とやりとりする中で、やはりシャチは外せないよねという話になって。その結果、ドラマでのこのシーンも野田先生がすごく気に入ってくださってXでリポストまでしていただきました!

辺見がシャチに投げ飛ばされるシーン

そんな中、僕が思う2話の見どころは、辺見がシャチに投げ飛ばされるシーンに至るまでの“過程”です。ドラマでは、杉元に首を絞められた辺見が「生きてて良かった」というシーンがあります。この時点で辺見の目標は達成されているので、このときの辺見の表情がすべて。シャチに投げ飛ばされるシーンはオマケだと思っています。だからこそ、辺見の死に際は丁寧に、彼が持つ普遍的な一面と彼なりの美学が伝わるよう描いたつもりです。あと、辺見は「眼」に思い入れが強い人物なので、辺見の瞳に映る杉元のカットも見どころなので、あらためて注目していただきたいですね。
実はシャチのシーンを一番最初に撮ったので、やはり萩原さんには原作を読んでもらわなくて良かったと思いました(笑)。

【第3話:道連れ/directed by片桐健滋】巨大魚「イトウ」は撮影日に合わせて自分たちで飼育! 徹底的にこだわった食事シーン

―第3話は尾形百之助という人物の輪郭がはっきりしてくるエピソードですが、尾形を演出する上でこだわった点はありますか?
眞栄田郷敦さんご自身が野田先生の描く尾形を演じる責任を非常に強く感じていて、尾形の人物像をしっかり読み解いた上でドラマ版に臨んでくれました。なので僕からは、銃のボルトを操作したり髪の毛をかき上げたりといった尾形らしい仕草はもう少しゆっくり…など、微調整をお願いした程度ですね。第七師団からの逃亡シーンしかり、ひとりの男性としてシンプルにかっこいいですし、非常に素敵だなと思いました。

尾形百之助役の眞栄田郷敦

―第3話では、大きなイトウ(魚)を食べるシーンが登場します。ほかにも本作ではたくさんの食事シーンが登場しますが、こだわったポイントがあれば教えてください
なぜ僕がこの「ゴールデンカムイ」の演出で声を掛けてもらえたのか考えてみたんですが、これまでグルメドラマ(「きのう何食べた?」「ザ・タクシー飯店」など)を撮る機会が多かったからではないか? と。だからこそ、「食」に関してはしっかり撮らなければと思い、特に食事シーンはこだわりました。
たとえば、第3話に登場する巨大な魚のイトウですが、撮影時にあのサイズのイトウを手に入れるのは難しいと分かっていたので、撮影に焦点を合わせて自分たちで飼育して大きく育てました(笑)。撮影に使える大きいサイズのイトウはこの1匹限りということで、緊張感があったのですが、串に刺して焼こうとしたら重すぎて落ちてしまうというハプニングが発生。もともとは原作のように串に刺して焼いたイトウにみんながかぶりつく画を撮る予定でしたが、バナナの葉で魚を包んで炭の上に置いて丸焼きにする南方地方の料理法をまねて何とか乗り切りました。「アイヌの伝統と違う!」「アイヌはこんな食べ方をしない!」と怒られたらどうしよう、と不安になりながら撮影したのを覚えています(笑)。

イトウにかぶりつくシーン

―食事はアシ(リ)パのレシピ通りに作っているのでしょうか?
アシ(リ)パが作る料理は、肉をたたいて(チタタプ)団子に丸めて煮込みのお鍋にするといったシンプルなものが中心なのでアイヌ民族料理研究家の三神直美さんに監修いただき、フードコーディネーターのはらゆうこさんに、見た目にもおいしそうな出来映えを追求してもらいました。味付けもアシ(リ)パのレシピ通りだとワイルドなので、実際に俳優さんたちが演技しながら食べたときに、本当においしいと感じられるように少し味を調整してもらっています。
具材については、ヤマシギ(鳥)など原作に登場する食材を実際に使うことはできないので、一般に流通しているウズラなどを使いました。ちなみに脳みそは、白子や型取りしたお豆腐を代用しています(笑)。

―第3話にはコタン(アイヌの集落)が登場しますが、コタンでの撮影で特に意識したことはありますか?
コタンのチセ(家)の屋内の撮影は、アイヌ語監修者で言語学者の中川裕さんとアイヌ文化監修でアシ(リ)パの大叔父役として出演している秋辺デボさんにご指導いただきました。家の主人はここ、奥さんはここ…というように、誰がどの位置に座るべきか細かく確認してから臨みましたね。ところが、アイヌではいろりを囲んでいるときに人が移動する場合は、座っている人の背後ではなく前を通るのが当たり前だという話が撮影を始めてから浮上して。第3話では、谷垣(大谷亮平)と尾形が話をしているさなかに、オソマ(永尾柚乃)がその前を通るシーンがあるのですが、それがアイヌでは当たり前とはいえ、撮影する側としてはやりづらかったですね。事前に想定していた動線に変更が生じ、その都度対応しなければならなかったのは大変でした。

―片桐監督から見た第3話の最大の見どころを教えてください!
第3話には新キャラクターが登場し、重要な事実が明らかになるなど、杉元やアシ(リ)パたちがこれから旅に向かう目的が明確になっていきます。物語が大きく動く転換点となるエピソードですので、どうぞお楽しみください!

【第4話:殺人ホテルだよ全員集合!!/directed by落合賢】映画や絵画のオマージュが盛りだくさん! 札幌世界ホテルを忠実に再現したセットにも注目

―第4話には「茨戸ばらと」「札幌世界ホテル」「コタン」と大きく3つのパートがありますよね?
はい。それぞれまったく世界観の異なるパートですが、一つの流れの中で見てもらえる作りを意識しました。映画と違ってドラマの尺は1時間弱。その限られた時間の中で3つのパートをテンポ良くつなげたいと思い、編集の和田剛さんにもかなり頑張ってもらいました。
また、3つのパートにはそれぞれ初登場のキャラクターが出てくるので、登場シーンを印象的にするための演出にこだわりました。塩野瑛久さん演じる夏太郎については、虚勢を張っていたものの相手の強さを知るや否やおじけづく豹変ぶりをうまく引き出してくれたと思います。一方、家永役の桜井ユキさんは、まさにベストなキャスティング。原作の家永とほくろの位置もほぼ同じ。桜井さんのおかげで、家永というキャラクターが持つ多面性を表現できました。インカ(ラ)マッについては、高橋メアリージュンさんの役作りがみごとで、ミステリアスな雰囲気がよく出ていたと思います。

奥山夏太郎役の塩野瑛久
家永カノ役の桜井ユキ
インカ(ラ)マッ役の髙橋メアリージュン

―札幌世界ホテルのパートは特に印象的ですが、どのように撮影したのでしょうか?
原作では北海道開拓の村にある旧浦河支庁庁舎がモデルとして描かれているので、ドラマでも同じ場所でホテルの外観を撮影しました。

札幌世界ホテル

屋内のシーンはセットです。原作通りに再現するのは難しく、少し構造を変えていますが、パッと見ただけでは違いが分からないように工夫し、3、4カ月かけて組み上げました。外観はピンクですが、内装は緑で、地下室は青っぽい色味にして、多面性を表現しました。
内装については、地下にある捕らわれの場所は、ある種の鳥かごのような感じを出したかったので、柵を思わせるような縦のラインをデザインに取り入れてほしいとお願いしました。美術の磯見さんと露木恵美子さんが絶妙な雰囲気に仕上げてくれてありがたかったです。

地下室のデザインイメージ

また、ホテルの内装が引きになって断面的に見えるカットはそれぞれの部屋をロングレンズで撮って、CGで切り貼りすることで立体的になるように工夫しました。

―家永が刺青を見せるシーンは、どのように撮影されたんですか?
桜井さんにはデコルテの辺りまで刺青のメイクをしてもらいました。上半身の刺青全体があらわになるシーンでは、男性的なシルエットを大事にしたいと思ったので男性の俳優さんに体の代役をお願いし、実際に撮影する際には、桜井さんと俳優さんが入れ替わりながらワンショットで撮影しました。2人の体をCGでつないだ部分もありますが、基本的にはCGを使わない表現を生かしたく、2人を交互に見せることで同一人物の動きとしてつなげています。

―第4話は牛山辰馬のキャラクターの魅力も際立つエピソードですよね?
誰に対しても分け隔てなく紳士的な対応をする牛山(勝矢)の魅力を、きちんと描き切ろうと思いました。家永が牛山に「あなたの完璧はいつだった?」と問うせりふがあるんですが、これは今後の展開における重要な伏線となっています。牛山というキャラクターの変化につながるものなので、このシーンも丁寧に撮りました。
余談ですが、ホテルの燃えかすからアシ(リ)パが見つけた牛山の“はんぺん”は、本物のはんぺんを2週間かけて乾燥させたものです(笑)。

―そんな牛山と杉元の格闘シーンですが、どのような点を大切にされましたか?
無双の柔道王である牛山らしさを強調すべく、牛山役の勝矢さんにも杉元役の山﨑さんにも柔道のレッスンを受けてもらいました。
牛山はバトルジャンキーであるという点もポイントですよね。自分より強い相手と戦いたいという王道の精神を持っている牛山ですが、それは杉元も同じこと。だからこそ、勝ち負けということではなく、純粋に自分の力を最大限ぶつけられる相手を見つけた喜びを表現しました。バトルには観光客も交えてコメディ色の強いミュージカル風にしたこともポイントです。
また、杉元は戦場で多くの人をあやめた過去を持っていて、闇を抱えているキャラクターです。アシ(リ)パに「人を殺すな」と言われて徐々に軌道修正していくわけですが、今後の展開のためには彼のダークな面をここでしっかり見せる必要があると思ったので、カメラワークにもこだわりました。

杉元と牛山の対決シーン

―あらためて、落合監督から見た第4話の最大の見どころを教えてください!
全部が見どころですが、やはり札幌世界ホテルのパートは必見ですね。杉元一行と家永の攻防、牛山と杉元のバトルはもちろん、随所に「ドリフ大爆笑」のネタが盛り込まれているのも見どころです。
それ以外にも、原作には有名な映画や絵画などのオマージュがたくさん盛り込まれているのですが、さらに僕なりの解釈で新たなオマージュを加えています(笑)。たとえば茨戸のパートには、マカロニ・ウエスタンで知られるイタリアの巨匠セルジオ・レオーネの『ワンス・アポン・ア・タイム・イン・ザ・ウェスト』(’68)のオマージュを取り入れました。ほかにもどんなオマージュが隠れているのか、ぜひ探しながら楽しんでください!

※「アシリパ」の正式な表記は「リ」が仮名小書き
※「インカラマッ」の正式な表記は「ラ」が仮名小書き
※「レタラ」の正式な表記は「ラ」が仮名小書き

【第5話~最終話の監督インタビューコラムは12月上旬にアップ予定ッ!! お楽しみに!】

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【島本プロフィール】
入社6年目。
幼い頃から大のドラマ好きで、好きなセリフはノートに書きためています。
いろいろなテイストのドラマを見ますが、ちょっと生きづらい人の背中を押してくれるような温かいドラマが特に好きです。

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画像(クレジット)「連続ドラマW ゴールデンカムイ ―北海道刺青囚人争奪編―」:/Ⓒ野田サトル/集英社 Ⓒ2024 WOWOW