Billboard CLASSICSシリーズに倖田來未が登場! フルオーケストラとの初共演、新アレンジで届ける名曲群を全曲ノーカットでWOWOW独占放送・配信!
取材・文=大前多恵 / 撮影=釘野孝宏
Billboard CLASSICSシリーズに倖田來未が登場、自身初となるフルオーケストラ公演が東阪4日間にわたって行なわれた。東京ではパシフィック フィルハーモニア東京、大阪では日本センチュリー交響楽団と共演。WOWOWでは、千秋楽となる6月28日の大阪・フェスティバルホールの模様を全曲ノーカットで独占放送・配信する。
総勢70名にも及ぶ交響楽団の面々がチューニングを終え、指揮・オーケストラ編曲を務める藤原いくろうが登場。ピアノは櫻井大介、コーラスはTIGER、ラテンパーカッションは小野かほりという、通常の倖田ライブを支える布陣も加わっている。赤い照明に切り替わってイントロが始まると、黒いイブニングドレス姿でステージに現れた倖田。オペラグラスを小道具に歌い始めたのは、ヒップホップナンバー「Bow Wow」。格調高いムードではあるが、クラシックスという言葉の印象からは想像が難しい、意表を突くパンチの効いた幕開けである。続く「TABOO」も妖艶に、ロンググローブをまとった手で顔を隠すアクションを交えながら歌唱し、観客を曲の世界に引き込んでいく。倖田本人から伝わってくるリアルな緊張の波動と、スリリングな曲調とが相乗効果を生んでいて、コンサートはミステリアスなムードの中滑り出した。
MCでは倖田らしいトークが炸裂し、「こんな高貴なところでもしゃべるんですよ(笑)」と自分にツッコミ。同時に、このコンサートで歌手としての自分を確立したい強い意志があったようで、「いくつになっても挑戦したい」と目を輝かせ、飾り気のない言葉で想いを語っていく。「今までの倖田來未の中で一番セクシーなナンバーになると思います」との紹介から始まった「Bassline」は、エレキヴァイオリン、エレキチェロの奏者2人を招き入れて艶めかしくパフォーマンス。倖田は曲によって異なる様々な顔を見せていった。
尊敬するCharaのカバー曲「Swallowtail Butterfly~あいのうた~」は、CD音源にもストリングスが入っているが、生の演奏に乗せて歌唱するのは倖田にとって今回が初。「CDと生との違いを体感してほしい」と観客に語り掛け、倖田はオーケストラの演奏に身を委ね、幸せそうな明るい表情で歌っていた。続いては代表曲「愛のうた」を柔らかな笑みを浮かべながら熱唱。投げキッスをして大きく両手を広げて歌い終えた倖田の表情はリラックスして見え、その場を楽しんでいるように感じられた。
ストリングスから始まった「100のコドク達へ」は、歌にそっと寄り添うようにピアノの旋律が加わっていく。倖田はブレスの音も感情表現の一つとして聴かせながら、曲の世界に深く入り込み、切々と歌い上げていた。「NO ME WITHOUT YOU」は圧巻で、想いのこもったパワフルな歌声を響かせると最後、感極まって顔を覆った倖田。笑顔に戻ってステージを去り、第一部は幕を閉じた。
休憩を挟み、再登場した倖田はプリンセスのような薄紫のドレス姿で、ヘアメイクも何もかも、前半とは別人のようなムードを湛えていた。「恋のつぼみ‐A Cup Of Milk Tea Bossa Nova Version‐」は軽妙なボッサのリズム、続く「Someday」も跳ねるビート感に乗せ、倖田は観客にクラップを求めたり手を振ったりして盛り上げていく。2000年のデビュー以来倖田が発表して来た楽曲は多種多様で、網羅する音楽ジャンルが実に幅広いことに改めて気付かされた。それを活かした自由で大胆なオーケストラアレンジは彩り豊かで、コンサートが進むにつれ、様々な音の風景が心の中に広がっていった。
「一部を終えまして、だいぶ來未子、本調子になってきました」と、本名を主語として軽妙に語り始めた倖田は、このコンサートへの想いを熱く語り、「倖田來未というアーティストの糧にしたい。一つ上のランクに行くようなコンサートができているのでは?」と手応えを感じている様子。ファッションアイコンとして、また、バラエティーへの出演など歌以外での活躍も多いことに触れ、ライブ後にMCを「面白かったです」と言われることはあっても、「歌の感想ゼロ!」とコミカルに語ったが「39歳になって、歌で、声で勝負したいと思う時が来た」と明かし、「泣いてしまう…」と言葉を詰まらせていた。
バラードを歌いたい、シングルのA面にしたい。そう強く願いながらも、ダンスミュージックを強みとするレーベルイメージとの兼ね合いで実現しなかった過去を振り返った倖田。「FINAL FANTASY X-2」テーマソングである「1000の言葉」は、「real Emotion」との両A面シングルとしてのリリースされた、優しいバラード。温もりに満ちた管楽器、ストリングスの音色に包まれながら、倖田は意志の強さを感じさせる伸びやかな歌声を響かせた。「you」「WALK OF MY LIFE」と歌い進むにつれて歌声のパワーが増していき、「You’re So Beautiful」ではTIGERと気持ちよさそうに掛け合いながら熱唱。本編最後となった「Butterfly」は、ブルーの光の中壮大なストリングス演奏で始まり、ピンクのライトに切り替わると「今日は皆さんありがとうございました!」と倖田は一言挨拶。ステージを歩きながらリラックスした表情で歌い、ファンを指さすなどコミュニケーションも図りながら歌い遂げた。観客だけでなくオーケストラからも大きな拍手で讃えられながら、倖田は「本当に幸せ者だな、と感じたライブでした!」と目頭を押さえ、ステージを後にした。
アンコールで再登場した倖田は「涙止まらへん…」とすぐに背を向けタオルで拭うと、オーケストラへの感謝を述べて、「まだまだ未熟な私を迎えてくださって、本当にうれしいです」と謙虚に語った。コロナ禍の話題にも触れ、「気付いていないところで、気持ちが引っ張られている、心の中でダメージを受けている人がいると思います」と気持ちに寄り添い、「こういう時代だからこそ歌ってほしい」と藤原からリクエストされたという「Alive」を披露。ヘンデルの曲に日本語詞を乗せた荘厳なバラードで、ストリングス、ハープなどの織り成す美しいハーモニーには浄化作用がある。ファルセットを交えながら歌い、両手でマイクを持って祈るように目を閉じた倖田の穏やかな表情が印象深かった。最後は「Through the sky」は声を震わせながら歌い終え、「幸せ! 帰りたくない。ありがとうございました!」と感謝を述べてステージを去った。カーテンコールでは、藤原から大きな花束を渡されて晴れやかな笑顔。このコンサートでは「幸せ」という言葉を何度も口にして、幾度も涙を零した倖田。歌手・倖田來未として次なる新たな扉を開いた、記念すべき公演の一部始終を是非、WOWOWでご覧いただきたい。
<番組情報>
billboard classics KODA KUMI Premium Symphonic Concert 2022
8月28日(日)午後4:00[WOWOWライブ][WOWOWオンデマンド]
収録日:2022年6月28日
収録場所:大阪 フェスティバルホール
※「billboard classics KODA KUMI Premium Symphonic Concert 2022」はWOWOWオンデマンドの無料トライアル対象外です
※「billboard classics KODA KUMI Premium Symphonic Concert 2022」は放送終了後~2週間アーカイブ配信あり
▼「billboard classics KODA KUMI Premium Symphonic Concert 2022」の番組情報はこちら
<関連番組>
INVITATION/倖田來未
8月27日(土)午前1:45[WOWOWライブ][WOWOWオンデマンド]
※「INVITATION/倖田來未」は、放送終了後~1カ月間アーカイブ配信あり
▼「4カ月連続 倖田來未特集」の詳細はこちら
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