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気になる本はありますか?「CONTACT ART~原田マハと名画を訪ねて~ シーズン2」とセットで読みたい本4選!

WOWOWブッククラブでは、毎月のテーマに沿ったおすすめ番組と関連する本を記事としてまとめ、noteをご覧になるみなさんにお届けしてゆきます。

7月の番組テーマは「CONTACT ART~原田マハと名画を訪ねて~ シーズン2」

アートを愛する作家、原田マハが案内人となり、アート作品との対話の仕方(コンタクト)をナビゲートする、オリジナルアート番組の第2弾。

ブッククラブ部長の幅さんが今回、番組をより楽しんでいただくための4冊の本をセレクトしました。

★A_CONTACT ARTシーズン2_キーカット(4Kなし)

1冊目:絵を見る技術

秋田麻早子(著)
朝日出版社

「人の目をとらえて離さない絵」という表現が使われることもありますが、絵の良し悪しの基準はどう決めるのか?ということを、丁寧に紹介してくれるのがこちらの一冊です。

感じるままに絵を鑑賞することの大切さは、番組でも原田マハさんがおっしゃっているのですが、こちらの本は絵を感じるための心構えを身につける上で、非常に役に立つお話が満載です。

ただ漠然と絵を眺める行為は曖昧模糊としていて、自分は何を見ているのか、何を見るべきなのか、ということがわかりづらくもあります。

学校教育においても、この美術鑑賞の難しさを伝えるのに苦労しているわけですが、この本では一つの答えとして、常に問いを立てながら絵に臨むという方法を提唱しています。鑑賞方法を身につけた人と、そうでない人の視線の動きの違いなどにも触れ、より高い解像度で絵を鑑賞する技術を教えてくれます。

ただ表面的なイメージを理解するのにとどまらず、絵の奥深くまで分け入っていく観察眼を会得することで、絵のスキームを理解し、これまで以上に絵画へ肉薄できる感覚を楽しめます。

絵に惹きつけられる感覚の正体を掴むのには時間を要しますが、こういった本を読む時間、そして気になる絵と向き合う時間を大切にしたいと思わされる本でした。

2冊目:ルーヴルの猫

松本大洋(著)
小学館

上下巻セットのコミックである『ルーヴルの猫』は、ルーヴル美術館の屋根裏に何世代も住み着いている猫たちが主人公という、一風変わった物語です。

世界最大の美術館と言われるルーヴルのスケールを楽しめるのもさることながら、この作品で最も重要なのが、「アモルの葬列」と呼ばれる絵の存在です。表紙をめくってすぐの見開きに、フルカラーで掲載されているこの絵画がなぜ重要なのかは、実際に読んで確かめてもらいたいのですが、絵画を通じて展開されるドラマやファンタジー、そしてルーヴルの猫たちを通じて解き明かされていく謎からは目が離せません。

美術館のガイドさんや夜警の人たちの仕事ぶりなど、ルーヴル美術館のバックヤードの姿が詳細に描かれているのも珍しく、より親しみを持って読み進めることができます。人間の寿命よりもはるかに長い、ルーヴル美術館の歴史や一枚の絵画の歴史に触れることで、確かにそこへ何かが宿っているかのような感覚を覚えるところです。

3冊目:空間感

杉本博司(著)
マガジンハウス

世界的に活躍する現代美術作家の杉本博司さんが書いた美術館の「つうしんぼ」がこちら。写真という手法を使った作品制作を中心に活動されている杉本さんですが、本来では美術館に展示される側である立場を逆手に取り、作品を展示する場の美術館をあえて批評するという、挑戦的なテーマにこの本では取り組んでいます。

苦労して産み落とした作品たちが、紆余曲折の末にたどり着く美術館という場所は、社会と作品の結婚の場であると同時に、墓場でもあると杉本さんは語ります。

不可触な聖遺物として作品のアーカイブ化を進める美術館のあり方に疑問を覚えながらも、美術館建築の文化的な役割は無視できないものであるとし、これまで実践してきた各美術館の作品展示を、どんなアプローチで行ってきたかをまとめた一冊となっています。

ダニエル・リベスキンドの脱構築的な王立オンタリオ博物館と対峙した時の苦悶など、世界中の美術館建築に込められた意図をひとつずつ汲み取り、いかにして作品展示に挑んできたかという、杉本さんの様々な挑戦の軌跡は読み応えがあります。

おまけとして付属する各美術館の採点表でも、非常に手厳しく評価が行われ、本文とともに楽しめる内容です。

4冊目:楽園のカンヴァス

原田マハ(著)
新潮社

番組でナビゲーターを務める原田マハさんの代表作です。美術とミステリーという、一見するとその相性に疑問を持ってしまう二つのテーマを見事に融合させ、エンターテインメントとしての面白さだけでなく、絵を見ることの悦びを伝えてくれる作品に仕上がっています。

天才的な日本人研究者の早川織絵が、岡山の大原美術館で監視員を務めているところから始まり、とある絵にまつわる過去へと物語は展開されます。スイスの大富豪から、真贋を正しく見極めた者に巨匠アンリ・ルソーの絵を譲ると言われ、少ない手がかりを紡ぎながら果たしてどのような真実にたどり着くのか?という展開に注目です。

特に派手なアクションやどんでん返しがあるわけでもなく、ただ美術作品を見るという行為だけで、これだけ豊穣な物語が生まれていることや、作品の中でさらに絵画の背景にある物語が少しずつ展開される構造は、今作の意味深長さを如実に表しているのではないでしょうか。

作中における数少ない手がかりである古書には、アンリ・ルソーが晩年抱えていた悩みやパブロ・ピカソの登場が記されるなど、物語を動かす仕掛けが満載です。絵が描かれた当時の人間関係と、早川さんを取り巻く現代の人間模様が複雑に絡み合うものの、クライマックスではストンと腑に落ちるような、読後感の良さも丁寧に用意されています。

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