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2000年に解散したザ・ストリート・スライダーズが22年ぶりに集結!デビュー40周年を記念して日本武道館で行なわれたプレミアムライブの模様をレポート!

「WOWOW MUSIC MAGAZINE」では、WOWOWで放送・配信するライブの模様やインタビュー記事などを紹介!
今回はWOWOWオンデマンドで配信中の「The Street Sliders [Hello!!] -2023年5月3日@日本武道館-」のライブレポートをお届け。

撮影:土居政則

伝説のバンド、ザ・ストリート・スライダーズが熱い要望に応えて再集結!実に22年7カ月ぶりの日本武道館公演、彼らがステージ上で刻み付けたロックンロールの真髄とはー

 20世紀日本音楽史上最強にして最後のロックンロールバンド、ザ・ストリート・スライダーズ。1983年のデビュー後、瞬く間に音楽シーンを席巻し、長らく絶対的存在として君臨。2000年10月、日本武道館での『LAST LIVE』を最後に惜しまれながら解散したが、彼らが描いた活動の軌跡は今なお伝説として語り継がれている。
 
 デビュー40周年に当たる今年。3月には豪華アーティスト勢によるトリビュート音源とオリジナルのアナログリマスター音源をコンパイルした2枚組記念アルバムを、5月には1987年第一回日本武道館の映像が完全収録された40th Anniversary Edition[2Blu-ray+2CD]をリリース。
 そして、5月3日。奇跡とも言える22年7カ月ぶりの再集結公演が実現した。

 アリーナ席、そしてステージを360度取り囲む1F・2Fスタンド席まで、立錐の余地の無い満場の大観衆。その数、実に1万4千人。爆発するかのような張り詰めた空気が開演前から渦巻いていた。
 
 やがて定刻が訪れると客電が落ち、4人の主役が舞台の定位置に立つ。
 
村越“HARRY”弘明(Vo., G.)
土屋“蘭丸”公平(G., Vo.)
市川“JAMES”洋二(Bass, Vo.)
鈴木“ZUZU”将雄(Dr.)
 
 言葉にならない悲鳴、割れんばかりの拍手が地鳴りのように響く。彼らの名を叫ぶ野太い声が飛び交う。

 「Hello!」HARRYが客席に投げ掛け、大歓声が巻き起こる。1曲目はミディアムナンバー「チャンドラー」。4つの音で醸し出す、ルーズなリズムと大きなグルーヴ。ついに、伝説が現実に舞い降りる。これが、スライダーズだ。
 
 続く「BABY BLUE」では、HARRYの溜めのあるリズムギターに蘭丸の尖ったギターフレーズが絡む。サビでは2人の歌声がブルースに奥行きを与えていく。

 イントロにどよめきが走った「Angel Duster」は5枚目のアルバム『天使たち』の先行シングル。印象的なギターリフが演奏を引っ張り、蘭丸とJAMESのコーラスがHARRYの乾いた歌声に寄り添う。


 「でかけようぜ」のリフレインが象徴的な「Let’s go down the street」では、閉塞感からの脱出を歌う。曲終わりでは4人が向き合っての演奏。ZUZUのヘヴィなドラムスが爆音を放つ。JAMESのベース、蘭丸とHARRYのギターもそれに呼応する。スリリングなセッションに、会場のあちこちから感嘆の溜息が漏れる。

 一転して、「one day」「すれちがい」とブルージィなスローナンバーを続ける。
 心の奥に深く染み入るバラードの刹那さ。それもまた、スライダーズの音楽の魅力だ。
 
 アマチュア時代から演奏されていた「PACE MAKER」、代表曲「ありったけのコイン」と続き、バンドは1度目の最高潮へと向かう。口ずさむ者、踊りまくる者。立ち尽くし、涙ぐむ者。それぞれの反応と共に、大きな余韻が場内に木魂していた。


 JOY-POPS(村越弘明と土屋公平のユニット)名義で2020年代に入り発表された新曲「曇った空に光放ち」と「ミッドナイト・アワー」もまた素晴らしかった。

 あの頃と変わらないクールな視点から紡がれる風景描写。絶妙に絡み合い、深め合う2人のギターとヴォーカル。そして、それを支えるベースとドラムスの確かな演奏。不変不滅。80年代から現在まで貫かれる彼らの普遍性に、「ロックンロール!」と心の中で喝采を上げた。


 メンバー紹介の後に、蘭丸が歌う「天国列車」、JAMESが歌う「Hello Old Friends」とコアファン垂涎の曲を続けた後、本編終盤では「So Heavy」「Back To Back」とダンサブルなロックチューンが放たれる。理屈ではなく、本能。心と身体で感じる音楽。彼らの真骨頂とも言える媚びないセットリストに、観衆のボルテージもうなぎのぼりだ。

 本編最後は4人のバンドアンサンブルが加速する「風の街に生まれ」。あっという間の15曲。余計なMCも無い骨太な‟LIVE”。昨今流行りの大掛かりな特殊効果も、彼らには必要が無い。ストイックに演奏だけで勝負する彼らのバンドとしての矜持が、改めて伝わってきた。

  アンコールで披露されたのは、名バラード「のら犬にさえなれない」と疾走感あふれる「TOKYO JUNK」。ファンなら誰もが思い入れのある2曲で、奇跡の夜は終わりを告げた。
 
 この夜、彼らがステージ上で刻み付けたロックンロールの真髄。リズム&ブルースを軸にレゲエやダンスミュージックなど様々な音楽のエッセンスがリアルに響くサウンド。そして、平易な言葉を用いながらも芯まで強く伝わる深遠なメッセージ。すべてが変わらず息づいていた。一言で言えば、「本物は色褪せない」ということだ。


 WOWOWオンデマンドでは、22年7カ月ぶりの武道館公演生中継の模様を6月2日まで見逃し配信中だ。また、7月にはリピート放送・配信も予定している。
 
 リアルタイム世代も彼らのことを伝説でしか知らない世代も含めて、すべての音楽ファンにこの夜の奇跡のステージを番組でご覧いただきたいと願う。
  時代を超えて燦然と輝く、ザ・ストリート・スライダーズの本物のロックンロールをー

<番組情報>
The Street Sliders [Hello!!] -2023年5月3日@日本武道館-
WOWOWオンデマンドで配信中(~6月2日まで)
7月リピート放送・配信決定

収録日:2023年5月3日
収録場所:東京 日本武道館

▼「The Street Sliders [Hello!!] -2023年5月3日@日本武道館-」の配信情報はこちら

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