気になる本はありますか?イチオシの「サウナーーーズ2 磯村勇斗×北村匠海」とセットで読みたい本4選!
3月の番組テーマは「サウナーーーズ2」
サウナに魅了され、サウナをこよなく愛する人“サウナー”たちによる究極のサウナ番組の第2弾『サウナーーーズ2 磯村勇斗×北村匠海』。
コロナ禍で、よりサウナの必要性を痛感した2人は、番組を通してサウナの深い魅力をアピール。コロナで気持ちが落ち込んだ人々に、サウナで気分を上げてもらいたいという想いから、サウナーを増やすミッションにチャレンジします。
ブッククラブ部長の幅さんもサウナファンのひとり。今回、番組をより楽しんでいただくために4冊の本をセレクトしました。
1冊目:マンガ サ道~マンガで読むサウナ道
タナカカツキ(著)
講談社
タナカカツキさんは90年代から活躍されている漫画家兼、映像作家の方で、僕も心の中のマイベストが何冊かあるのですが、こちらは2014年に発表された作品です。
従来のサウナといえば、汗まみれでナイターを観ているおっちゃんの溜まり場、というイメージが強かったわけですが、『サ道』では本場フィンランドのサウナの楽しみ方などを取り上げたことで、一躍サウナブームの立役者となりました。
もともとサウナに興味のないタナカさんが、いかにしてサウナに出会い、世界に3人といないサウナ大使(もう一人は長嶋茂雄さん)と呼ばれるまでのめり込むようになったかが描かれ、体験談を交えておもしろおかしく紹介しています。
暗黙のルールもあるサウナですが、そこから少しずつ逸脱していく喜びを見出すタナカさんには、脱社会的な超感覚を追求する世界観と、変容する社会的マナーの境界線への問いのようなものも覚えるところです。
『サ道』登場前、登場後という言葉もありますが、サウナブームの火付け役でありながら、改めてサウナをどう楽しむべきかという、本質的で一歩踏み込んだ問いにも答えます。
2冊目:Saunner BOOK
松尾 大(著)
A-Works
プロサウナーであり、「ととのえ親方」として知られる松尾さんが、「サ道」後のサウナ界を牽引する一人であることを証明した一冊。
どこかで見たことがある、キャッチーなロゴ・アイコンが目を引く表紙ですが、頭で『サ道』とは何かを理解するよりも、まずは皆でサウナを体感することに重きを置いているところがタナカさんの作品とは異なる点でしょうか。自身の体験も踏まえながら、現代のサウナを120%楽しめる内容になっています。
何事も言葉がわからなければ、その世界に疎外感を覚えてしまうもの。例えば、サウナにおいても「ロウリュ」や「シングル」など、難しそうなカタカナ言葉が並びますが、この本では用語が持つチャーミングな部分に触れ、サウナを身近に感じてもらえる工夫が施されています。
さらにはサウナ浴場への入館方法から手ほどきをしてくれるほどに敷居の低い本なので、これを読めば初めてのサウナでもマナーを逸脱することなく、むしろサウナを面白がれる心の余裕を与えてくれるのではないでしょうか。
また水風呂や外気浴といった、現代のサウナで重要視されているプロセスについても、丁寧に掘り下げてくれているのはありがたいところです。松尾さんが体験したネイティブアメリカンの苦行と、町場のサウナを紐付けて「整う」を考える、時間や場所を超越したスケール感も魅力です。
3冊目:医者が教えるサウナの教科書
加藤 容崇(著)
ダイヤモンド社
やれ外気浴だ、水風呂だ、とムードで言っていると思われる方もいるかもしれませんが、サウナに入ることで体に何が起こっているのか、を医学的に紹介するのがこの本です。
慶應義塾大学医学部特任助教であり、日本サウナ学会の代表理事という肩書を持つ加藤さんが、サウナが持つ効能を、エビデンスに基づいて紹介しています。体を意図的に非日常へ追い込み、体が持つ生存本能を刺激して「整う」という現象が起こることや、脳疲労の回復効果やサウナ後のご飯が美味しく感じる理由まで、医学的に説明している一冊です。
サウナに慣れている人なら日常的な「整う」という現象が、高いレベルの緊張とリラックスの間に成り立っているのかが分かる発見もさることながら、男性的な文化でありながら、サウナは女性の方が整いやすいことなどへの言及もあるのも、新鮮な知見を与えてくれます。
眠気を飛ばしたいサウナ、時差ぼけ解消のサウナなど、状況に応じて医学的にベストなサウナの入り方を知ることで、自分の行為や体の変化にトリガーがあることにも気づけます。サウナをより細やかに捉えたい方、サウナは医療行為だ!というメッセージが欲しい方へ、おすすめの一冊です。
4冊目:Coyote No.60 SAUNA for Beginners
スイッチ・パブリッシング
こちらは数年前に発刊された雑誌ですが、名作です。2013年にフィンランドを訪れ、その時「サ道」に開眼した僕ですが、現地のムードをここまで忠実に捉えている特集は他にないのではないでしょうか。
神事やコミュニティ形成など、北欧におけるサウナの役割を、地域別で事細かに取り上げています。気軽に海外へ足を運べない今のご時世だからこそ、現地のサウナへの思いが募るところですね。
中でも個人的に気になったのが、エストニアのサウナ事情です。南エストニアにヴォルという地域があるのですが、ここにはユネスコの無形文化遺産に登録された、スモークサウナと呼ばれる文化が根付いています。ヴォルのスモークサウナは本家フィンランドの人にも「サウナの原形」と言われており、本号ではその歴史をわかりやすく紹介してくれています。
家ごとに成立しているスモークサウナ文化の多様性と、一子相伝で受け継がれる伝統の重みが両立するバランス感覚は、自然と一体化できる余白が失われつつある現代人に、ハッとさせる原初的な体験を与えてくれそうです。
サウナを取り巻く生活文化にも触れ、無形文化遺産に登録された理由やその意義を、ビジュアルとともに伝えてくれる、手元に残しておきたい一冊です。
今月の幅部長による解説
これまで紹介した本
先に番組を観るのもよし、本から入るのもまた一つの楽しみ方。あなたにとって番組や本との新しい出会いになることを願っています。