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「鈴木雅之 taste of martini tour 2022 ~DISCOVER JAPAN DX~」ライヴレポート

「60代を越えてもまだまだ歌わないといけない。届けたい想いがある」4月にスタートした鈴木雅之の全国ツアー『masayuki suzuki taste of martini tour 2022 ~DISCOVER JAPAN DX~』が、7月16日(土)に大阪 フェスティバルホールでファイナルを迎えた。「WOWOW MUSIC MAGAZINE」では、その唯一無二の歌声が紡ぐ圧巻のステージで幕を閉じたツアーファイナル公演のライヴレポートをお届けする。

取材・文=黒田奈保子 / 写真=岸田哲平

ソロデビュー35周年を迎えたラヴソングの王様・鈴木雅之がツアーファイナルで示した、圧倒的な歌声と表現力。カヴァーシリーズ「DISCOVER JAPAN」の集大成がここに!

 鈴木雅之の全国ツアー「masayuki suzuki taste of martini tour 2022 ~DISCOVER JAPAN DX~」、そのファイナル公演が7月16日(土)に大阪・フェスティバルホールで開催された。本ツアーは、ソロデビュー35周年を迎えたアニヴァーサリーイヤー、さらにそれを記念して制作されたカヴァーシリーズ『DISCOVER JAPAN』の集大成ともいえるベストアルバム『DISCOVER JAPAN DX』のリリースツアーでもある。ヴォーカリストとしての妙を詰め込んだステージ、その模様がWOWOWで生中継された。

 場内アナウンスが観客のテンションを煽るように“KING of LOVE SONG MASAYUKI SUZUKI!”と声高らかに呼び込むと、紫色の怪しげな照明に照らされた鈴木雅之の姿が! キングの名にふさわしく、ステージの一番上に堂々と立ち誇るその姿を見ただけで客席からは歓迎の拍手が大きく鳴り響く。1曲目は「怪物」(YOASOBI)、原曲とは雰囲気をガラリと変え、ぐっと色香が漂う歌唱で観客を心酔させていく。ビートが強くなるたびに鈴木の歌声はより迫力を増し、ステージ後方にある紗幕に彼のシルエットが色濃く映る。視覚からも攻め込んだムードたっぷりの演出に客席からは感嘆の声が漏れ聞こえる。かと思えば、「エイリアンズ」(KIRINJI)ではステージに腰掛け、リラックスしたステージを披露。原曲は低音から高音まで幅広く動き、メロディの構成も複雑な楽曲だが、ヴォーカリスト・鈴木雅之の手、いや声にかかればもうそこはあっという間に彼の世界だ。

 「昭和生まれが泣いて喜ぶ歌を」と、次のステージでは「君は薔薇より美しい」(布施明)など、昭和期の名曲カヴァーへ。多くの人に愛されてきた名曲だからこそ、ただなぞるのではなく、より説得力の増した歌にするべく、歌詞に込められた想いをより丁寧に紡いでいく。愛もリスペクトも込められた楽曲は、気付けばしっかりと“鈴木雅之”色に染め上げられていた。

 MCでは自身のライフワークとなっているカヴァーシリーズ『DISCOVER JAPAN』についても語る。「言葉ではなく音楽で寄り添うことができるはず」と、作品を作るたびに、日本を再発見できる歌を、いま届けたい歌を、と強い意志を持てたという。そして次のステージでは、より一層心に染み込む歌が届けられた。

 「木蘭の涙」(スターダスト☆レビュー)、“逢いたくて”と優しい歌声でそっと寄り添うように歌う。トレードマークのサングラスに眩い照明があたり、まるで涙に光が灯るようだ。続く「愛し君へ」(森山直太朗)ではよりエモーショナルな歌声で観客を圧倒。ヴォーカリストとしての魅力をこれでもかと魅せつけていく。

 「全国ツアーを回って、脂の乗り切ったライヴができている」と、今が絶好調であることを明かす鈴木。そんな彼も、ソロヴォーカリストとしてデビューする際には「バラード曲を丁寧に届ける」「どんなミュージシャンの楽曲も自分色に染め上げる」ことを目標に掲げていたという。そしてソロアーティスト、ヴォーカリストとして自身の音楽人生に大きな影響を与えた大澤誉志幸、山下達郎、小田和正とともに作り上げた楽曲も披露。ソロデビュー曲「ガラス越しに消えた夏」では35年を経て、より感情豊かになった歌声で観客を陶酔させる。

 歌声で魅せるだけでなく、トークでも楽しませるのが“マーチン”流。ツアーグッズの紹介コーナーではバンドメンバーも巻き込み、エンターテイナーっぷりを発揮。ステージは陽気な雰囲気のまま、ファンキーなオリジナル楽曲へと続いていく。「違う、そうじゃない」「め組のひと」など、観客と一緒に息ぴったりの振り付けで一体感を高めていく。高尾直樹、露崎春女のコーラスも絶妙で、会場の熱気はぐんぐん上昇。最後は「これからもみんなにとって大事なメロディを丁寧に歌っていきたい」と、「メロディー」(玉置浩二)を全身全霊で歌いあげ、本編を締めた。

 アンコールでは、ツアーファイナルだけのスペシャルゲストとしてすぅ(SILENT SIREN)が登場。もちろんコラボするのはTVアニメ『かぐや様は告らせたい-ウルトラロマンティック-』のオープニング主題歌でもある「GIRI GIRI」だ。ソウルフルな歌声の鈴木、キュートなすぅの歌声、ファンキーなディスコナンバーとご機嫌尽くしなステージにファンは大喜び。

 最終曲を前に、鈴木は集まってくれた観客に改めて感謝の気持ちを伝える。そして、今後の活動に向けて「60代を越えてもまだまだ歌わないといけない。届けたい想いがある」と、より高みを目指していきたいと意気込みを語り、最後に披露したのは「明日への手紙」(手嶌葵)。言葉を抱きしめるように、愛おしそうに歌うその声はただただ感動を呼び、観客は総立ちでこの日一番大きな拍手を送り、全20曲のステージが幕を閉じた。

 唯一無二の歌声が紡ぐ珠玉の名曲たち、そのステージを見逃した方、もう一度観たいという方はWOWOWオンデマンドにて7月30日(土)までアーカイブ配信中なので、ぜひ! また10月にはWOWOWでアンコール放送・配信も決定している。

 さらに鈴木雅之はこの日ツアーを終えたばかりだが、11月からはオーケストラ・アレンジでのシンフォニック・ツアーが決定している。カヴァーベストアルバム『DISCOVER JAPAN DX』から厳選された楽曲をもとに、ラヴソングの王様の歌声と、同作のサウンドプロデューサーでもある服部隆之が指揮するクラシックの生演奏が体感できるステージ、ぜひこちらもチェックを。

取材・文=黒田奈保子
大阪在住の音楽ライター。出版社や音楽系フリーペーパーの編集者を経て、独立。音楽雑誌やWEB記事での執筆のほか、旅行雑誌や旅行会社のライター兼カメラマンとしても活動中。

<セットリスト>
01. 怪物
02. SPY
03. エイリアンズ
04. 君は薔薇より美しい
05. ルビーの指環
06. 道化師のソネット
07. 木蘭の涙
08. 愛し君へ
09. 別れの街
10. おやすみロージー
11. ガラス越しに消えた夏
12. DRY・DRY
13. 違う、そうじゃない
14. め組のひと
15. 夢で逢えたら
16. メロディー
------- アンコール -------
17. GIRI GIRI
18. 恋人
19. もう涙はいらない
20. 明日への手紙

<番組情報>

鈴木雅之 taste of martini tour 2022 ~DISCOVER JAPAN DX~
★WOWOWオンデマンドにて7月30日(土)までアーカイブ配信あり
★10月放送・配信予定
※放送日時は確定次第、番組サイト等でお知らせします

収録日:2022年7月16日
収録場所:大阪 フェスティバルホール

▼「鈴木雅之 taste of martini tour 2022 ~DISCOVER JAPAN DX~」の番組情報はこちら

<5年ぶりとなるオーケストラツアー開催>

鈴木雅之×服部隆之×ビルボードクラシックス「DISCOVER JAPAN DX」オーケストラツアーが全国5都市で開催決定!
billboard classics
鈴木雅之 Premium Symphonic Concert 2022 featuring 服部隆之
~DISCOVER JAPAN DX~

■出演:
【ソリスト】鈴木雅之
【指揮】服部隆之

■公演日時・会場:
【札幌】2022年11月10日(木) 開場17:30 開演18:30 札幌文化芸術劇場 hitaru
【福岡】2022年11月16日(水) 開場17:30 開演18:30 福岡サンパレス ホテル&ホール
【西宮】2022年11月22日(火) 開場17:30 開演18:30 兵庫県立芸術文化センター KOBELCO大ホール
【東京】2022年11月29日(火) 開場17:30 開演18:30 東京文化会館大ホール
【名古屋】2022年12月1日(木) 開場17:30 開演18:30 愛知県芸術劇場大ホール

■チケット一般発売日:7月30日(土)10:00~

▼オーケストラツアーの詳細は公式サイトへ

<リリース情報>

カヴァーベストアルバム『DISCOVER JAPAN DX』

「GIRI GIRI」

▼MVはこちらからチェック!
「怪物」MV

「メロディー(Remix’22)」MV

「GIRI GIRI」MV

「GIRI GIRI / THE FIRST TAKE」

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