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高橋幸宏の50周年を、ゆかりのミュージシャン16組が集まってセレブレート! ミカ・バンド、YMOからソロ作品まで、オールタイム高橋幸宏ソングを演奏!

「WOWOW MUSIC MAGAZINE」では、WOWOWで放送・配信するライブの模様やインタビュー記事などを紹介!今回は11月5日(土)午後5:30~放送・配信する「高橋幸宏 50周年記念 ライブ LOVE TOGETHER 愛こそすべて」のライブレポートをお届けします。

文=石角隆行

2022年9月18日、東京・NHKホールにて高橋幸宏の50周年をお祝いするイベント「LOVE TOGETHER 愛こそすべて」が開催された。残念ながら当人の高橋幸宏は、ライブが出来るほどの体調ではなく欠席。代わって高野寛率いるLOVE TOGETHER BANDの演奏の元、幸宏ゆかりのゲスト16組が参加し、高橋幸宏が50年の間に関わった曲を演奏。集まったオーディエンスを終始、沸かせた。

開演前、ステージには高橋幸宏の歴代シングル、アルバムのジャケット写真が映し出され、流れるBGMは高橋幸宏縛りのDJミックス。選曲&ミックスはTOWA TEI!なんとも豪華な開演前BGMだ。おのずと客席のテンションも上がる。そしてスクリーンには"BEST HIT YUKIHIRO TAKAHASHI! 50th Anniversary Special!"と書かれたロゴが映し出され、画面は"BEST HIT USA”のスタジオに切り替わり、現れたのは小林克也!『幸宏さん、50周年おめでとう!』のコールを合図に「高橋幸宏 50周年記念 ライブ LOVE TOGETHER 愛こそすべて」が始まった!

<オープニングはLOVE TOGETHER BAND!>
ステージには、この日のライブのSPハウスバンド、LOVE TOGETHER BAND10人が並び。まずは場内のウォーミングアップとばかりにインストゥルメンタル・ナンバー3曲を演奏。続いてはアルバム「THE DEAREST FOOL(1999)」に納められた「世界中が I LOVE YOU」。冒頭に流れる"everyone says I love you"の声は高橋幸宏。リード・ボーカルは高野寛だ。高野寛は幸宏と鈴木慶一が主宰した"TENTレーベル・オーディション"の出身。MCでは幸宏との思い出を語りながら『今日誰よりもこの場にいたかったのは幸宏さんだと思います。その幸宏さんに届くように、みんなの想いを音に込めて、今日は演奏したいと思います』と、この日のコンサートの開幕を告げる。

<Hana Hope、坂本美雨はEMI時代曲を!そしてMETAFIVEメンバー再結集!>
ここからはゲストが参加。まずはこの日の最年少シンガー、Hana Hope。続いてステージ後方から坂本美雨が表れHana Hopeと共演。この日はいくつかメドレー・コーナーが設けられた。最初は幸宏の東芝EMI時代の3曲をふたりが歌う。
LOVE TOGETHER BANDの「流れ星ひとつ(Portrait with No Name/1996)」の演奏を挟み、ステージにはMETAFIVEのメンバーでもあるLEO今井と小山田圭吾がイン。曲は小山田圭吾、詞を幸宏とLEO今井が書いたMETAFIVEの最新アルバムに収められた「See You Again」。

<pupaからは原田知世、盟友・鈴木慶一はTHE BEATNIKSナンバーを>
LEO今井に呼び込まれ原田知世が舞台に上がる。2008年から2010年の間、活動していたバンド、pupaのメンバーでもある。原田はMCで『幸宏さん、pupaの皆さんと過ごした時間は私にとって夢のような時間でした。そして今、pupaは私の宝物になりました』と告げ、歌ったのはもちろんpupaのナンバー「At Dawn」。奇しくも、LOVE TOGETHER BANDには当時のメンバー全員が集まっていて、一夜限りのpupa再結成が実現。

ステージには幸宏の盟友、ムーンライダーズの鈴木慶一が登場。『客席の皆さんも、スタッフの皆さんも強い愛情を幸宏に対して持ってると想います。今日はさらに深い愛情をもって持ち帰ってください。きっと届くはずです』と、幸宏と一緒に作ったTHE BEATNIKSのセカンド・アルバムに収められた「ちょっとツラインダ」につなげる。原曲は幸宏と慶一の掛け合うボーカル。幸宏のパートは高野寛がサポート。続く「River In The Ocean」はアルバム未収録のセカンド・シングル。レア中のレアなナンバー。インダストリアル・テクノのようなアグレッシブなサウンドで場内を圧倒。全編にサックスが絡みに絡む。そういえばサックスの矢口博康はリアル・フィッシュ時代、鈴木慶一が主宰していた水族館レーベルから世に出ている。こんなところにも絡みが出てくる、まるで同窓会のようなコンサートだ。

東京スカパラダイスオーケストラ ホーンセクションの4人は、1995年に幸宏とコラボレーションした「Watermelon」を演奏。この曲の詞を書いた高野寛がボーカルをとる。オリジナルは幸宏が歌ってるから高野も歌うのは初めて。こういう機会がなければ歌っていなかっただろう。こんな小さな奇跡がちょいちょい生まれるのもこの夜ならではだ。

<元JAPANのスティーヴ・ジャンセンも参戦!>
この日唯一の海外ミュージシャンは、元JAPANのドラマー、スティーヴ・ジャンセン。曲は幸宏とふたりで1986年にリリースした「Stay Close」。スクリーンには幸宏がこの曲を歌っている映像も映し出され、時空と次元を超えた競演が実現。スティーヴはステージ中央のドラム・セットに移動し続く曲では演奏に参加。LOVE TOGETHER BANDのメドレー・コーナーはポニーキャニオンでのTENTレーベル編。「Life Like a River(1986)」「SAILOR(1985)」ではベースの高桑圭がリード・ボーカルをとり渋い歌声を聴かせる。

メドレーが明けると再びステージには坂本美雨。『私にとって物心つく前から側に居た親戚のおじちゃんという認識でしたが、偉大な音楽家だというのを10代の頃にYMOを聴いていて、気がつけばYMOの曲で好きだったのは幸宏さんの曲や細野さんの曲でしたということをなかなか父に言えずで』と幸宏との思い出を振り返り、後方のドラム・セットを振り返り『スティーヴさんは私の初恋の人です』とはにかみながら話し、高野寛が薦めてくれたという「今日の空(1985)」をエモーショナルに歌う。このライブではゲストが次のゲストを呼び込む形で進行する。坂本美雨は『小さい頃から、この方が幸宏さんを"幸宏!"って呼ぶ、呼び方がとっても好きでした!』と呼び込むとスクリーンには矢野顕子が映し出される。自身では人前ではほとんど演ったことがないという矢野・作詞、幸宏作曲の「仕事を終えたぼくたちは(1985)」を、ピアノ一本でしっとりと歌う。

<大貫妙子は幸宏と教授の共作曲を歌う。ドラムには林立夫が参加>
矢野が歌う映像を見終え『余韻を味わってしまいました』としみじみ語る高野寛は、ここでLOVE TOGETHER BANDのメンバーを紹介する。各々のメンバーが幸宏への思いをコメントし、ライブはいよいよ終盤に入る。舞台に現われたのは、長い年月の間、幸宏と過ごしてきた盟友、大貫妙子と林立夫のふたり。大貫は昨年秋に自身のレコーディングで幸宏にドラムを叩いてもらったことを思い出し『また復活するのを心から願ってます。スタジオで待ってます!』とメッセージを送った。続いて歌うのは幸宏が詞を、坂本龍一が曲を書いた「Flashback」。大貫から『ふたりとも、待ってます』と話して、透明感あるヴォイスを聴かせた。
この夜のライブはゲストが多い。ギターを持ったゲストが入るとギター・アンプ、ドラマーだとドラム・セットがステージに運び込まれる。転換はテンポ良く素早く行われるが、どうしても空白の時間は生まれる。そこを埋めたのが高野寛。これまではフロントに出る機会は少なかった高野だが、この日は進行/MCという重要な責を担っている。淡々とした話し方ではあるが、会場にいるお客さんに丁寧に話しかけ、大所帯のイベントを進行させていく手際は見事だ。また、ゲスト参加ステージの間に挟まれるメドレー・コーナーもいい感じのアクセントになっている。ここで再びメドレー・コーナーに。PART3の「ALFAレーベル編」、幸宏が"高橋ユキヒロ"名義でリリースした時代の「キングレコード編」を続けて演奏。ボーカル・ゲストにはLEO今井が参加。新たに立花ハジメも加わり、矢口博康とWサックス競演を披露する。
本編のラスト・パートはSANDIIが自身のアルバム「イーティン・プレジャー(1980)」収録の幸宏曲「Drip Dry Eyes」を、ラストに再登場した原田知世はpupa曲ではなく高橋ユキヒロの1stソロ「サラヴァ!(1978)」に収められた「PRESENT」を歌って本編を締めた。気がつけばスティーヴ・ジャンセン以降の演奏された曲はすべて80年代。YMO時代から応援している古参ファンにとっては溜まらない選曲が続いた。

<幸宏50周年の原点、ミカ・バンド・メンバー結集!>
高橋幸宏の音楽家生活50周年の起点となったのは、1972年に加入したサディスティック・ミカ・バンド。本編ラストにはミカ・バンドのベーシスト小原礼と、ミカ・バンド三代目ボーカリストの木村カエラが登場。思えば三代目のサディスティック・ミカ・バンド(英表記:Sadistic Mikaela Band)唯一のライブは 2007年3月8日のここNHKホール。カエラにとってもファンにとっても思いはひとしおの会場だ。ミカ・バンドのレコーディングの際、ラジオで流れていた「ライディーン」をカエラは『あ!運動会の曲だ!』と話すと、幸宏が『おいカエラ、これは俺の作った曲だよ!』と返され、そこで初めて同曲が一緒にレコーディングしている人が作ったのを知ったというエピソードを披露。小原は数年前、一緒に食事をした際、『お互い、70歳を過ぎたら一緒に曲つくってレコーディングしようね』と話しており『その約束はまだ果たせてないから、待ってるよ!』と幸宏にエールを贈った。曲は『タイムマシンにおねがい』。場内も総立ちとなって大盛り上がり。ここで本編は終了。

<細野晴臣に小山田圭吾が入って遂にYMOナンバーを披露>
アンコールでは細野晴臣と小山田圭吾が表れる。これから演奏されるYMOの「CUE」は、細野と幸宏で作った曲。完成したときはふたりで記念写真を撮影したほど、気に入った曲だそう。意外だが、本日演奏されたYMOナンバーは、冒頭メドレー内で演奏された「中国女」、「Rydeen」以降は初めて。『いつも幸宏と一緒にやってたので(幸宏不在は)緊張します』と演奏に入る。ボーカルは細野に小山田、高野も参加。そして「高橋幸宏 50周年記念 ライブ LOVE TOGETHER 愛こそすべて」のラストは本イベントのテーマソング「LOVE TOGETHER」。レコーディングに参加した鈴木慶一、坂本美雨、大貫妙子も加わり幸宏の復帰を願って全員で演奏。3時間超にも及んだコンサートは終了した。

【番組情報】
高橋幸宏 50周年記念 ライブ LOVE TOGETHER 愛こそすべて
11月5日(土)午後5:30 [WOWOWライブ][WOWOWオンデマンド]
※放送終了翌日~2週間アーカイブ配信あり

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