【2月の激レア映画!】廃盤・未ソフト化・4K修復版…なかなか出会えない貴重な映画を“レア度”とともにご紹介!
文=飯塚克味
【2月の激レア映画10作品】
①『四月怪談』
レア度…★★★★☆
最初は大島弓子原作の『四月怪談』。
本作を監督した小中和哉監督は、新作『Single8』(’23)に描かれるような自主映画で脚光を浴びた監督です。ですが、何をおいても本作の魅力は主演の中嶋朋子に尽きるでしょう。ドラマ「北の国から」の螢役で有名な彼女ですが、思いがけず死んでしまい幽霊になった女子高生をキュートに演じています。ちょうどこの頃、子役から脱皮を図っていた時期で、『あさってDANCE』(’91)など、少々際どい映画にも出演していた彼女の魅力が存分に発揮された作品になっています。DVDにはなっているものの、かなり高額な値が付いていて[廃盤]となっている作品。この機会にぜひWOWOWのオンエアでお楽しみください。
②『アダマン号に乗って』
レア度…★★★★★
続いて紹介するのは、第73回ベルリン国際映画祭で金熊賞を受賞した心温まるドキュメンタリーです。監督は『パリ・ルーヴル美術館の秘密』(’90)や『ぼくの好きな先生』(‘02)などで知られるニコラ・フィリベール。今回はセーヌ川に浮かぶ船・アダマン号で精神疾患のある人々を受け入れるという、少し変わったデイケアセンターの様子を描きます。日仏共同製作という点も大切なポイントですが、何とDVDにもなっていない[未ソフト化]の作品です。今回の放送をぜひチェックしてほしいです。
③『ジョージア、白い橋のカフェで逢いましょう』
レア度…★★★★☆
続いても、[未ソフト化]の一本。
ドイツで映画制作を学んだジョージア出身のアレクサンドレ・コベリゼ監督による長編第2作です。ジョージアの古都クタイシで、魔法をかけられ、偶然のように出会いが続く1組の男女。再会する約束をしたものの、謎の呪いで外見が変わってしまい、お互いが誰だか分からなくなってしまいます。本作は私自身も毎年通っている映画祭、東京フィルメックスで、第22回最優秀作品賞と学生審査員賞をダブル受賞しています。
それでは後半に行きましょう。
後半は独自の路線で映像作品を発表し続けるヤン ヨンヒ監督3作品をご紹介します。在日朝鮮人というヤン ヨンヒ監督の視点で描かれる人々の姿は、ぜひとも目にしてほしいところです。安藤サクラ、井浦新が出演しキネマ旬報ベストテンで日本映画1位に選ばれた『かぞくのくに』(’12)の放送もありますが、なかなか見ることが難しいドキュメンタリー作品をまとめて見ることができるのはかなり貴重だと思います。
④『スープとイデオロギー』
レア度…★★★★☆
まずは、単館系の映画館で大ヒットを記録したにもかかわらず[未ソフト化]の『スープとイデオロギー』。タイトルには「思想や価値観は違っても一緒にご飯を食べよう、殺し合わずにともに生きよう」という監督からのメッセージが込められています。アルツハイマーを患う母親が語る、過去の出来事は聴き逃せません。
⑤『愛しきソナ』/⑥『Dear Pyongyang ディア・ピョンヤン』
レア度・・・★★★★☆
帰国事業により北朝鮮に移り住んだヤン ヨンヒ監督の3人の兄と、その子どもたちにスポットを当てた『愛しきソナ』、ヤン ヨンヒ監督が自身の家族を10年にもわたって追い続けた『Dear Pyongyang ディア・ピョンヤン』。この2作品は今回[デジタル・リマスター版]での放送となるので、この機会にまとめてドキュメンタリー作品を見るのはいかがでしょうか。
⑦『ペインテッド・デザート タフ劇場版』
レア度…★★★☆☆
『燃えよ剣』(’21)などの時代劇大作を手掛けつつ、『ヘルドッグス』(’22)や『BAD LANDS バッド・ランズ』(’23)のような現代劇も制作する原田眞人監督。そんな原田監督が90年代前半をかけて作り続けたのが「タフ」シリーズです。Vシネマとして5作品作られ、6作品目は『ペインテッド・デザート タフ劇場版』として劇場用作品にスケールアップしています。アメリカに舞台を移し、現地のスタッフが多く加わり、映画作りをアメリカで学んだ原田監督の本領が発揮されています。今回、[初HDテレシネ]ということで、画質面にも期待できそうです。
いよいよ最後の作品となるのは「インファナル・アフェア」シリーズです。
⑧『インファナル・アフェア』/⑨『インファナル・アフェア 無間序曲』/⑩『インファナル・アフェアⅢ 終極無間』
レア度…★★★★★
香港映画の枠を超えて、映画ファンを大いに沸かせた「インファナル・アフェア」シリーズ。
犯罪組織に属するアンディ・ラウが、警察学校を出て長らく犯罪組織に身を置くトニー・レオンとW主演した大型潜入サスペンスアクションです。アンドリュー・ラウ監督とアラン・マック監督のダイナミックな演出に酔いしれ、ハリウッドでは『ディパーテッド』('06)としてリメイクされたほど大ヒットを記録。二人の青春時代を描く第2章、事件の意外な結末を描く最終章まで、すべてが傑作です。今回放送される[4Kリマスター版]では、昔の香港映画特有のザラっとした感じがなくなり、非常にクリアで見やすい映像になっています。既に見たことがある方も、まだ見ていない人にとっても必見の三部作です!
次回、3月号激レア映画もレアな映画が盛りだくさんです。
どうぞお楽しみに!
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