8月11日(日・祝)放送・配信「槇原敬之 Concert 2024 “TIME TRAVELING TOUR” 2nd Season ~Yesterday Once More~」WOWOW収録チームのこだわりをお届け!【後編】
8月11日放送・配信『槇原敬之 Concert 2024 “TIME TRAVELING TOUR” 2nd Season ~Yesterday Once More~』特集、後編は松井菜穂さん(プロデューサー/ディレクター)、勝田正志さん(撮影監督)、渡邉研司さん(カメラマン)、山田尚彦さん(テクニカルプロデューサー/チーフビデオエンジニア)の座談会をお届けします!
──このチームで槇原さんを撮るのは『宜候』ツアーからですか?
松井 槇原さんとは以前からお付き合いがあり、『宜候』のときに「ぜひ撮らせてください」とお話をしてOKをいただき、今回は「前回がよかったから」と先方から早々にお話をいただきました。今回のツアーテーマが1990年代と聞いていたので、当時の恋とか愛とか切ない気持ちを思い出しながら撮ってもらって、最終的には切なくて温かい作品にしたいな、と。そうカメラマンさんたちに話したら、みんなシーンとしちゃったんですけど(笑)。
勝田 たぶん、それを僕が言ったからです。
渡邉 そうです(笑)。でも、基本的にはいつも監督と撮影監督の意図を自分なりに消化して臨むようにしていますね。
松井 目に見えない、形のないものを私はテーマにすることが多いので、カメラマンさんは大変だろうなといつも思ってるんですけど……。
渡邉 僕の場合は抽象的なほうが好きなので、「どういうのが恋っぽいだろう?」とか考えました。
勝田 それがわかるカメラマンを集めています。きょとんとしちゃう人は来ていませんね。いまナベちゃんが言ってくれたような「じゃあ僕はこう表現しよう」っていう表現者の集まりなんで。
──プロですね!個人的にお客さんのいろんな表情や仕草が印象に残りましたが、それも「恋」や「愛」といったテーマに沿って?
渡邉 僕が撮るときに一番大事にしているのは歌詞なんです。そうすると映像から音が聞こえてくる感じになりやすくて。歌詞のエッセンスをお客さんに混ざった目線から表現したのが僕の画(え)かもしれないですね。例えば「二人」って聞こえたら二人の背中がいいなとか、「重なる」って言ったらお客さんと槇原さんを重ねようとか。
──お客さんの後ろ姿にピントが合っていて、そこからステージ上の槇原さんにフォーカスしていくところとか……。
渡邉 冒頭は、お客さんのドキドキと一緒に動いて、最後に槇原さんに目線が集まる、みたいなストーリーを表現するために、最初はステージをあえてボカしているんです。かなり感覚的ですけど、そういうことをやっても怒られないチームなんで(笑)。
松井 しっかりそのシーン、つながせていただきました。勝田さんは「他の監督ならたぶん1回ぐらいはステージの幕をちゃんと見せて説明すると思うけど、それをしないのが松井さんだね」って。
勝田 見事でしたね。過去の槇原さんのアルバムジャケットを配した幕は裏から撮った画を使って、光とお客さんで入っていったのが、まさにTIME TRAVELINGだな、と思いました。
山田 幕の裏側を見せたのにはほんとうにびっくりしましたね。そっちいった、って(笑)。
松井 せっかくお客さんが入れないポジションをもらって、カメラマンが撮ってるんだから、見る人の心を動かすストーリーを撮ってもらいたいし、それを見せたいな、と。
──松井さんがつないだ、すなわち松井さんが作ったストーリーということですか?
松井 というよりは、カメラマンのみなさんが撮るストーリーのある画を集めて、いいところをつなぐ。演出をしている感覚はなく、「キュレーションをする」感覚に近いですね。ただ、好きなものしかつながないっていう偏りはあります(笑)。
渡邉 本当に隅から隅まで、僕たちが撮った映像を見てくれているなといつも思います。僕は遊軍カメラなんで、自由に動ける分、いろんなところに目を光らせて、自分にしか撮れないものを撮りたいし、使ってもらえるとうれしいし。松井さんは1カットが長くて、すごく画を大事にしてくれているのがめちゃめちゃ伝わってきますし、ちょっとしたつなぎにもちゃんと意味があるんですよね。
山田 世界観が強いですよね。他の監督と比べると説明カットが少なくて、例えばギターソロのときはギタリストの手元を映す人が多いと思うんですけど、そうしなかったりね。
松井 「俺、いま活躍のシーン!」って思っていない人こそ見せたいんですよね。それって素じゃないですか。ドキュメントですよね。活躍している人を見ている隣の人の優しい表情に感動したりします。
勝田 なので、主となるひとたち以外も見ることができる広い画を撮るように指示をしていますね。
──どこを見るかは視聴者に選んでもらうぐらいの?
松井 本当にそうです。見るたびに新しい発見をしてほしいな、と思ってつないでいますし、槇原さんサイドがそれを許してくださっているのが幸せですね。「松井ちゃんがいいと思うものを作ってほしいからお願いしたんだ」と言ってくださるからできていることなので。
──コンサートの映像を見るのは、客席に身を置いてステージを見るのとはまったく別の体験だと思います。そういう側面が極限まで出た、ドキュメンタリー性の強い映像だと思いました。
勝田 お客さんのカットを入れたのにも意図があって。30年前にみなさんが聴いて愛していた曲を2024年のいま聴くわけじゃないですか。この30年、みんないろいろあったと思うんですよ。槇原さんやメンバーはもちろんすごいけど、聴いているお客さん、あなたたちも一所懸命生きてきて、同じくらいすごいんだよ、と。そういう思いを込めてお客さんにフォーカスしたところはあるかな。
松井 お客さんも一緒にコンサートを作っているのを感じますしね。私にとっての遠い遠い、最終的なゴールは、見た人が槇原さんのことを好きになって、コンサートに行ったり音楽を聴いたりしてくれることで、そのきっかけになれればいいな、そして良い画にはその力がある!と思っています。
──すばらしい言葉ですし、私も勝手に共感します。
松井 本当にすごいプロばかりが関わってくださった映像を見れば感じるものが誰しもあると思うので、それを「絶対に世に出したい」という執念みたいなものがあります。『宜候』のとき、ご覧になった方が「あまり見たことのないカットが多かった」と言ってくださって、すごくうれしかったんですけど、たぶんいままでも撮っていたと思うんですよ。世に出せていないだけで。それを私はなかったことにしたくないんです。カメラ18台ということは、ひとつのカットを使うと、17人が泣いているってことなんですね。「これだったら、自分の画が使われなくても仕方ない」とカメラマンさん全員が納得するぐらい説得力のある画を選ばないとダメだと思っていますし、そうして選んだ画、作ったものは絶対にたくさんのひとの心を動かす、と信じています。
──素敵なお話で楽しかったです。もうすぐ放送ですが、とくに注目してほしいところは?
松井 前回エンドロールの反響をたくさんいただいたので、今回の曲が何か予想していただけると嬉しいですね。サビの歌詞が今回にぴったりだな、と選びました。あと、映像では表現しづらい「紫陽花色」なども含め全体的な色調も素晴らしいので、槇原さんの世界に没入して繰り返し見て、いろいろな発見をしていただき、SNSで感想をつぶやいてほしいです。文句でも受け入れます(笑)。
取材・文:高岡洋詞
【番組情報】
槇原敬之 4カ月連続特集
槇原敬之 Concert 2024 “TIME TRAVELING TOUR” 2nd Season ~Yesterday Once More~
8月11日(日・祝)午後8:00~ WOWOWライブで放送/WOWOWオンデマンドで配信
※放送・配信終了後~2週間アーカイブ配信あり
コンサートではあまり披露されなかった楽曲を中心に構成した「TIME TRAVELING TOUR」の第2弾!
今回のテーマは「1990年代」。
槇原敬之 Music Video Collection
9月放送・配信予定
およそ2年ぶりの全国ツアーをスタートするなど精力的に活動する槇原敬之。
彼の楽曲の中からえりすぐりのミュージック・ビデオをお届けする。
槇原敬之 CONCERT TOUR 2002 ~Home Sweet Home~
10月放送・配信予定
2002年3月に東京厚生年金会館で行なわれた
槇原敬之のライブの模様をアンコール放送・配信する。
【槇原敬之×WOWOWのオリジナルグッズの発売が決定!】
槇原敬之 4カ月連続特集を記念して槇原敬之×WOWOWのオリジナルグッズの発売が決定いたしました。
“TIME TRAVELING TOUR”をご自宅で再現できるアクリルスタンドです。
詳しくはこちら
https://bit.ly/3ymjfOE
■発売日時:8/11 00:00~
■発売店舗:wowshop
※WOWOW会員限定の販売となります。
※数量に限りがあります。