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【山里亮太:インタビュー】ゲストの“映画愛”を引き出す対談番組と、年末に見たい映画について、語ってもらった。

山里亮太がエンタメ界で活躍する多彩なゲストを迎え、映画について語り合う「フライデーミッドナイトシアター」。年代やジェンダーを問わず、誰とでもオープンマインドで話せる山里ならではの対談が面白いと好評だ。番組開始から1年8カ月を経て、あらためて山里に話を聞いた。
※本コラムは、WOWOWプログラムガイド12月号掲載のインタビュー「あなたにつなぐ、シネマ」の完全版となります。

取材・文=小田慶子

「この番組は、僕にとっては“新しい眼鏡”をかけさせてもらえるお仕事です」

 「フライデーミッドナイトシアター」では、月替わりのゲストと共に、映画のおすすめのポイントについて楽しいトークを繰り広げる山里亮太。第1回の木村佳乃から11月に登場した甲斐よしひろまで、20人のゲストを迎えてきた。そして、12月はロックバンドSUPER BEAVERの渋谷龍太を迎え、『セブン』<12月3日(土)放送>、『われに撃つ用意あり』<12月10日(土)放送>、『CUBE』<12月17日(土)放送>、『アメイジング・スパイダーマン』<12月24日(土)放送>について語る。

山里「もちろんSUPER BEAVERというかっこいいバンドのことは知っていましたし、渋谷さんとは音楽番組でも話したことがありました。とても話の面白い人で、今回は改めて、その渋谷さんから映画の楽しみ方を教えてもらいました。渋谷さんはかなりの映画好きだから、例えばデヴィッド・フィンチャー監督の『セブン』にしても、カルト映画として有名な『CUBE』にしても、『監督の意図を推測しながら見ると、こんな味わいが加わる』という見方をするんですよね。やっぱり映画に詳しい人に話を聞くのは楽しいなということを、心から感じました」

 ゲストの多くは俳優やミュージシャン。映画に出る側であって評論家ではないが、それだけに、映画への愛を素直に表現してくれる。

山里「好きなものについて語っているときって、心が裸になりますよね。映画について語ってもらうと、その人の脳みその中が見えるような気がして。今回の渋谷さんなら、音楽を語る場合はやっぱりロックバンドのボーカルという立場を背負って語るんでしょうけど、映画の話題ならおそらく素の自分がむき出しの語りになる。だから、『そんなこと考えてるんだ』という発見がありました。例えば『あなたってどういう人ですか?』と質問されると答えにくいことがあるものだけれど、『どんな映画が好きでした?』と聞かれると、ブレーキをかけずに本音が言いやすくなる。だから、そのとき出てくる答えって、『どういう人?』の答えとほぼ同じなんじゃないかなと。そんな風に映画について語っている人の素顔が見えてくる瞬間は、すてきだなと思います」

 「本数はそれなりに見ていますけれど、僕はそんなに映画通じゃない」と言う山里。この番組を担当するまでは、どんな映画を見るかはシンプルな理由で決めていたという。

山里「ヒーローものというか、とにかく勧善懲悪の物語が好き。悪いやつがいて、それを正義の味方がやっつけるという展開のものしか見ませんでした。主人公がどうやって勝つのか、どうやって逃げ切るのか、ということしか注目してなかった。悪人にも罪を犯した事情があるんじゃないかとか、そういうのはどうでもよかったんです(笑)。でも、この番組でゲストの話を聞くと、皆さん、そういった映画の“分からなさ”までも楽しんでいるんですよね。理解できない展開にも『なぜこうなったんだろう』って深く考えてみたり、時代背景を調べてみたり…。僕なんか、ついツッコミ気質で見てしまうので、『説明が全然ないじゃん』と思ったりするんですが、そういうところにも意味があるんだと、ゲストの方から教えてもらいました。映画に説明がないのは欠点じゃなく、どう理解するかをあえて受け手に委ねている。そういうことが分かってくると、もっと脳を動かしてワクワクしながら映画を見られるようになりました」

 興味がなかった分野の映画も、そのジャンルを愛する人からおすすめされると気になってくるもの。

山里「甲斐よしひろさんとショーン・コネリー主演の『薔薇の名前』(’86/フランス)について話したとき、『フランス映画の見方が分からなくて…』と相談したら、『描かれている社会状況、監督の背景など、理解しやすくなるポイントがあるから、そこに注目すると、楽しめるよ』と教えてくださって、納得がいきました。フランス映画は食わず嫌いで避けてきたけれど、これからは見てみようかなと思いましたね。この番組はそんなふうに、僕にとっては“新しい眼鏡”をかけさせてもらえるお仕事です」 

 そんなときに、同じ映画をリピート放送やアーカイブ配信で繰り返し見られるWOWOWのメリットを感じているという。

山里「ひとつの映画を繰り返し見られるのが醍醐味だいごみでしょう。WOWOWオンデマンドならスマホでも見られるから、気になった作品を自分の都合のいいタイミングでチェックできますしね。僕もこの番組を担当してから、見たことのある映画をもう一度見ることもあります。ゲストの方がおっしゃっていたことを思い出して、その目線で見てみると新鮮に見えるので感動しますよ」

 しかし、ゲストから面白いコメントを引き出せるのは、芸人として司会者として腕を磨いてきた山里の話術があるからこそだろう。そんな山里が、番組ホストとして収録中に心がけていることは?

山里「いや、そんな意識していることなんてないですよ。ゲストの皆さんはお忙しい中、わざわざこの番組に出てくださっているわけで、もう感謝しかない。そして、映画について教えてくれるわけで、僕にとってはひたすらありがたいこと。この番組の収録は、まるで楽しい塾に来ているような感覚なんです」

「あれは僕でもやりますね、クモ男になったら絶対にやる(笑)」

 12月に放送される映画の中で特におすすめしたいのは、アンドリュー・ガーフィールド主演の『アメイジング・スパイダーマン』だという。

山里「『スパイダーマン』シリーズといえば、主人公のピーターが特殊能力を手に入れたとき、何をするかという描写があるわけですが、『アメイジング・スパイダーマン』のピーターは自分をいじめていた、いわゆる“1軍”のフラッシュという同級生をバスケットボールのコートでからかう。能力を使ってボールを奪い、ボコボコに圧倒するじゃないですか。あれは僕でもやりますね、クモ男になったら絶対にやる(笑)。そんなふうにピーターのエゴが見えるというか、人間をちゃんと描いているところがいいんですよ。あと片想いの相手と会話がうまく弾んだ後、うれしくて天井を仰いでスキップする、そんな一つ一つの動きにも共感しちゃいます」

 12月は「年末映画祭!300時間スペシャル」という映画の一挙放送も。年末に、もしも時間があったら見たいものは?

山里「『ゴーストバスターズ』シリーズなどメジャーなシリーズをイッキ見するのも楽しそうだけれど、僕は『由宇子の天秤』(‘21)がおすすめ。去年、映画館で見たんですが、早くも放送されているんですね」

 『由宇子の天秤』は、正義感の強いTVディレクター(瀧内公美)が女子高校生の自殺の真相を探るドキュメンタリー番組を作っていたところ、塾を運営している自分の父親の驚くべき事実を知り究極の選択に向き合うという社会派ドラマだ。

山里「見終わったときにはぐったりしちゃうかもしれないけれど、すごく面白い作品だし、『正義とは?』と考えるきっかけにもなると思うので、ぜひ見てみてください」

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▼『アメイジング・スパイダーマン』の放送情報はこちら

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