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いよいよNODA・MAP「兎、波を走る」が登場! 加藤拓也 作・演出の「いつぞやは」も。充実の12月の必見舞台!

こんにちは。WOWOW社員の福井です。今回は12月に放送される、WOWOWでしか見られない舞台、番組5作品(※)を取り上げます。
すごく見たい舞台でも、チケットが取れなかったり上演会場が遠かったりして生で見られないことってありますよね。WOWOWはそういった作品も映像で全国の方にお届けする存在でありたいと思っています。
本コラムも、舞台好きな皆さんの鑑賞をさらに豊かにする一助になれれば幸いです。(注:見どころに触れている箇所もあります!)コメント欄もご利用いただけまーす♪
(※執筆時点でDVD等は確認できない、放送時期に字幕ありで見られるのはWOWOWだけである作品、など)
表紙の画像:NODA・MAP「兎、波を走る」作・演出 野田秀樹
11月の必見舞台・番組5本はこちら
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【Don't miss out! 12月のWOWOW舞台・番組5選】

①「いつぞやは」 作・演出 加藤拓也 12月9日(土)午後9:00

撮影:宮川舞子

 「第67回岸田國士戯曲賞」を受賞した気鋭の劇作家・演出家の加藤拓也の書き下ろしの新作。
 物語の発端は、若くしてがんを患った友人との過去のSNSのやりとり。彼のリアルな言葉をどう扱うのか、ドキリとしてしまう投げかけから始まります。

劇団活動をしている松坂(橋本淳)が、ある男の思い出を語っている。それは、かつて劇団仲間だった一戸(平原テツ)の物語だ。数年前、ふらりと松坂の芝居を観にやって来た一戸は、健康上の理由から故郷の青森に帰ることにしたと言う。淡々と語られる一戸の近況報告をきっかけに、昔の劇団仲間が集まることになった。

 視点の作り方が新鮮でした。松坂が客席に話しかけるようにして始まるのですが、一戸の心理へ引き込むようなアプローチもありましたし、松坂や一戸が属する劇団仲間のひとりとして会話に加わっているような感覚になることもありました。
 劇場に入った瞬間から舞台美術に心を奪われました。薄い木で囲まれている空間は、シンプルなのですが質感が生かされていて、語りかけてくるような確かな存在。そこに唐突に絵や物が現われてくる演出もあり、美術や空間がドラマを作る重要な一要素であることを感じました。
 会話劇なのですが言葉や反応が非常にリアルです。余命宣告された友人を前にどんな言葉をかけるか戸惑う若者たちが描かれた時、自分だったらどうするだろうかと心がざわざわしました。
 静かなトーンのお芝居なのですが、いくつかの音楽が要所要所で登場します。ちょっと驚かされると同時に、その意外性(この曲がくるのか!みたいな)から「ここに解釈を深めるヒントがあるんじゃないか?」と歌詞の意味を追ってしまいます。皆さんがご存じの曲もあるかもしれません。
​ 新世代をリードする29歳の劇作家・演出家の加藤拓也が贈る今見るべき作品。親近感を覚える言葉のやりとりの中から突き出てくる鋭い言葉や事実、立体感のある美術や衣装、すべてに注目です!

「「いつぞやは」 作・演出 加藤拓也」の詳細はこちら

②NODA・MAP「兎、波を走る」作・演出 野田秀樹 
 12月23日(土)午後8:00

撮影:篠山紀信

 野田秀樹2年ぶりの書き下ろし最新作。
 『フェイクスピア』(2021年)で、読売演劇大賞最優秀男優賞を受賞した高橋一生、昨年の『「Q」:A Night At The Kabuki』のワールドツアーで国内外の観客を魅了した松たか子、NODA・MAP初参加となった多部未華子に加え、秋山菜津子、大倉孝二、大鶴佐助、山崎一ら豪華な出演者が集結しました。とても印象的なタイトルと宣伝美術に惹かれて観劇日が待ちきれなかった作品です。

舞台は“つぶれかかった遊園地”。迷子になった娘を捜す母親の妄想が、遊園地でリハーサル中の“不思議の国のアリス”のショーと交錯していく。“世界的な劇作家”の末裔たちも絡んで、物語は展開していく。母は“兎”と出会い、娘の行方を求めて“兎”を追いかけるが……。

 いくつかの世界の登場人物たちが交錯し、虚実ないまぜの世界が繰り広げられます。最初は別々の物語や世界が描かれているように見えていますが、時間とともに境目が分からなくなっていきます。
 例えば、ある言葉が場面を進むと別のストーリーラインでも使われ始める、しかしそこでは違う意味を持つ…というような、野田戯曲・演出ならではの仕掛けや見立てが満載です。一度聞いただけでは自分の頭でぱっと意味が浮かばないワード、繰り返し使われているワード、印象が強いワードほど覚えておきながら見ると後で驚きの発見や解釈があるかもしれません。
 今回は、現代社会が直面する、仮想現実やAIと人間の関係性なども作品に盛り込まれていています。虚実の交錯はお芝居の中だけのこととは思えません。一方で、紙や布といった身近な素材が使われた美術、個性的なキャラクターとアンサンブルによるさまざまな声、身体、人形劇師・沢則行による人形の数々、そして上田大樹による映像がシンクロしたり一つの大きな絵に見えたりと、舞台でしかできない表現にたくさん出合えます。
 虚実入り混じるその奥に行き着いたときに見るある現実。詰まっている思いや事実が大き過ぎて涙が止まらなかったです。
 考えながら見るとさまざまな解釈を重ねることができると思いますが、私は今回、壮大なアートのコラボレーションと物語に身を委ねて最後に自分なりにメッセージを受け取ったという感覚です。どんなジャンルのステージ好きさんにもお薦めしたい1本です。
 さらに高橋×松×多部×野田によるスペシャルインタビューもお届け! 野田が作品に込めた想いや、俳優たちの稽古場での印象的なエピソードなど、作品をより深く多角的にお楽しみいただきたいです。私も見るのが楽しみです♪

「NODA・MAP「兎、波を走る」作・演出 野田秀樹」の詳細はこちら

 このほかにも「2023年版 漫才 爆笑問題のツーショット」(12月16日(土)午後11:00)、「NODA・MAP「フェイクスピア」」(12月23日(土)午後5:30)、「「2020」高橋一生×上田岳弘×白井晃」(12月23日(土)午後10:30)ほか、多くの作品の放送・配信が予定されています。

また、NODA・MAPロンドン公演『Q』: A Night At The Kabuki をWOWOWオンデマンドPPVでご覧いただける…
という胸高鳴る情報もご案内させてくださいませ!

放送は予定していないため要チェックの情報です!!

NODA・MAPロンドン公演『Q』: A Night At The Kabuki
■出演
#松たか子 #上川隆也 #広瀬すず #志尊淳
#橋本さとし #小松和重 #伊勢佳世 #羽野晶紀
#野田秀樹 #竹中直人
■配信期間
2023年11月17日(金)12:00~11月30日(木)23:59
┗視聴可能期間も11/30 23:59:00までとなっています。
■配信チケット
<発売期間>発売中です!
2023年11月6日(月)12:00~11月30日(木)18:00
<配信チケット料金>
¥4,000(税込)
┗PPV作品のため、ご視聴いただくには別途料金が必要です。
<配信プラットフォーム>
WOWOWオンデマンドPPV ほか
<チケット販売URL>
WOWOWオンデマンド
https://wod.wowow.co.jp/content/154224

【WOWOW舞台全一覧】

以下からご覧いただけます!

【終わりに】

 最近プライベートで見た作品の中で印象に残ったのは、「KOTATSU」、太陽劇団(テアトル・デュ・ソレイユ)「金夢島 L’ÎLE D’OR Kanemu-Jima」。久々にロンドンへの観劇旅にも行きましてー。ケネス・ブラナー演出・出演「KING LEAR」、「Cabaret」、ナショナル・シアター「The Witches」、RSC「Hamnet」、「Guys & Dolls」、「Back to the Future: The Musical」などなど拝見しました!
 今月も、もう一度見たい作品がある皆さまも、劇場に見に行けなかった作品がある皆さまも、WOWOWステージをお楽しみいただければ幸いです。

【福井プロフィル】
入社5年目。
「ガラスの仮面」よろしく学校劇でお芝居が好きになり、高校ではミュージカル部、大学では舞台演出と劇場の仕事を勉強しました。アイルランドとロンドンへ留学をしたり、今も劇団での活動をしたりしています。観劇数は年に80~100本ですがまだまだ勉強中ジャンルもたくさんです。
<Key words>
#アーサー・ミラー #iaku #イキウメ #CATS #木ノ下歌舞伎 # Kバレエ カンパニー #コナー・マクファーソン #ダンス・ダンス・ダンスール #鄭義信 #東京03 #東京芸術劇場 #ナイロン100℃ #ナショナル・シアター・ライヴ #二兎社 #ノゾエ征爾 #野田秀樹 #平田オリザ #Billy Elliot #宮城聰 #レ・ミゼラブル #RENT #RSC #ローザス #笑の大学
最近のベスト>
『千と千尋の神隠し』、イヴォ・ヴァン・ホーヴェ演出の『ガラスの動物園』、『笑の大学』、SPAC『天守物語』、『兎、波を走る』
<お勉強中>
オペラ、宝塚、2.5次元舞台、落語など

舞台好きが高じて、このようなコラムに挑戦します。「まぁやってみなさい」と言ってくださった先輩方に感謝…。WOWOWをご覧の舞台好きな皆さんと共感し合えることがあれば、という願いを込めて。お楽しみいただければ幸いです!

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