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安田菜津紀「観て、学ぶ。映画の中にあるSDGs」

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SDGs(Sustainable Development Goals)とは、2015年9月の国連サミットにて全会一致で採択された、2030年までに持続可能でよりよい世界を目指す1… もっと読む
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#ヴェネチア国際映画祭

国境が運命の線引きになってはならない――ヴェネチア国際映画祭で問題提起されたドキュメンタリーから考える

文=安田菜津紀 @NatsukiYasuda  今回取り上げる映画は、ジャンフランコ・ロージ監督が3年以上の月日をかけ、イラク、シリア、レバノン、クルディスタンの国境地帯で撮影し、第77回ヴェネチア国際映画祭でユニセフ賞など3冠に輝いた秀作ドキュメンタリー『国境の夜想曲』('20)だ。  国境により引き裂かれ、テロや侵略、圧政に直面してきた人々がこれ以上未来を絶たれないよう、何が求められているのか。SDGsの「目標10:人や国の不平等をなくそう」とともに考えます。 「ク

経済成長だけが進むべき道なのか――「現代のノマド」から考える

文=安田菜津紀 @NatsukiYasuda  今回取り上げるのは、2017年にジェシカ・ブルーダーが発表したノンフィクション『ノマド ――漂流する高齢労働者たち』が原作となった『ノマドランド』('20)。  第93回アカデミー賞で作品賞、監督賞(クロエ・ジャオ)、主演女優賞(フランシス・マクドーマンド)の最多3部門を受賞。第77回ヴェネチア国際映画祭でも金獅子賞を受賞した。人々が「現代のノマド=遊牧民」になるまでの背景から、SDGsの「目標10:人や国の不平等をなくそう