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映画ライターSYOの「#やさしい映画論」

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※WOWOWプログラムガイド12月号にてお知らせした連載コラムは、11月28日(木)ごろにアップ予定です。 映画ライターSYOさんによるコラムをまとめたマガジンです。SYOさんな…
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#綾野剛

綾野剛が『カラオケ行こ!』の“歌がうまくなりたいヤクザ”役で魅せた「スマートな違和感」を紐解く

文=SYO @SyoCinema  2024年も、綾野剛の快進撃が止まらない。 『花腐し』(’23)での激賞、Netflixシリーズ「幽☆遊☆白書」(’23)の衝撃が冷めやらぬまま、今年1月に映画『カラオケ行こ!』が劇場公開し、スマッシュヒットを記録。Netflixシリーズ「地面師たち」(’24)では豊川悦司とW主演を務め、『ラストマイル』(8月23日(金)公開)、『まる』(10月公開)、『本心』(11月8日(金)公開)と新作映画が多数待機中。いずれも話題作であり、彼の演技

「動」と「静」の演技を突き詰めた究極の表現者、綾野剛の到達点

文=SYO @SyoCinema  綾野剛という役者には、“謎”がある。  「動」にも「静」にも振り切った演技を見せられる希代の実力者だが、作品数を重ねても一つのイメージにとらわれることがない。映画やドラマはもちろん、恐らく“素”に近いであろう、バラエティ番組の出演時も、自身のSNS上にいる彼も、演じている「役」の誰かではないのか?――という疑念を抱かせるのだ。  己の全容を悟らせない表現者。「この人の本質には到底たどり着けない」と思わせてしまう、かげろうのごとき揺らめ