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映画のはなし シネピック

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新しい映画と出会える。映画をより深く楽しめる。そんなコンテンツをお届けしていきます。担い手は、映画ライターSYOさんなど個性豊かな面々。それぞれの感性が作り出す映画愛は必見です!… もっと読む
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2020年9月の記事一覧

若者のリアルな心情をファンタスティックに描く、超平和バスターズの世界

文=横森文 「あの花」で正式結成された超平和バスターズ  “超平和バスターズ”とは、もともとは「あの花」という略称で呼ばれるTVアニメ「あの日見た花の名前を僕達はまだ知らない。」(’11)に出てくる6人の男女が子どもの頃に名付けたチーム名。  そのチーム名が「あの花」以降、同作を作り上げた監督の長井龍雪、脚本の岡田麿里、アニメーターでキャラクターデザインを手掛ける田中将賀が集う作品で原作としてクレジットされるようになった。  そもそもこの3人がメイン・スタッフとして組ん

連休をおうちで過ごすあなたへ。目利き3人が“偏愛映画”を全力プレゼン!

① 親に捧げたい、贈りたい、一緒に観たい3本『空母いぶき』(’19) 『アンストッパブル』(’10) 『万引き家族』(’18) 文=横森文 捧げたい:『空母いぶき』  最も近くにいながら、実は分かっていない。それが“家族”だ。例えば年齢によっては祖父や祖母の時代になってしまうが、第二次世界大戦を体験した両親が、どんな思いをしながら青春を過ごしたか。それを少しでも理解させてくれるのが『空母いぶき』だ。  舞台は過去ではなく20XX年。国籍不明の武装集団が日本の領土の一部

スピードワゴン・小沢さんが「ずっと終わらないでほしい」と思った映画。心を撃ち抜かれたセリフとは?

取材・文=八木賢太郎 @yagi_ken ──今回は『フォードvsフェラーリ』ですが、この映画は初見でしたか? 小沢一敬(以下、小沢)「そう。公開当時は話題になってたけど、観てなかった。俺は実話ベースの作品はあまり観に行かないから。ただ、この映画は実話といっても全然知らない話だったから、十分に楽しめたよ」 ──映像の迫力もすごいですからね。 小沢「映画館で観たらもっと楽しめたかもしれないけどね。でも、家のテレビでもその迫力は伝わったし、ストーリーもすごくよくできてたか

「女性はこうあるべき」という押し付けについて、ある台湾映画から考える #観て、学ぶ。映画の中にあるSDGs from安田菜津紀

文=安田菜津紀 @NatsukiYasuda 今回取り上げるのは、台北郊外の幸福路という町を舞台に、主人公チーと、そこに生きる人々の半生を描いた『幸福路のチー』('17)です。 登場人物たちの歩みからは、激動の台湾の歴史が見えてきます。その中でもジェンダーに焦点を当て、「目標5:ジェンダー平等を実現しよう」について考えていきたいと思います。 (SDGsが掲げる17の目標の中からピックアップ) 子どもがいてこそ一人前。それって当たり前?  「お子さんいらっしゃるの?」「