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映画のはなし シネピック

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新しい映画と出会える。映画をより深く楽しめる。そんなコンテンツをお届けしていきます。担い手は、映画ライターSYOさんなど個性豊かな面々。それぞれの感性が作り出す映画愛は必見です!… もっと読む
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ボクサーのプロライセンスを取得した横浜流星。「演技」の領域を超えた規格外の進化を1本の映画から紐解く

文=SYO @SyoCinema  僕は独立して4年弱になるが、この仕事の一番の財産はやはり人との出会いだと感じる。恩人であり、この人と巡り合えなければ自分の人生はまったく違ったものになったであろう確信――僕にとって、そのひとりが俳優・横浜流星だ。  初めて彼について書く機会を得たのは、まだ独立前の2019年。この連載の前身となる「WOWOWシネピック」だったかと思う。盟友・藤井道人監督との初タッグ作『青の帰り道』(’18)を中心に、横浜が見せるリアルな“痛み”に着目して

【5月の激レア映画!】浅田次郎の小説を宮沢りえ主演で映画化した『オリヲン座からの招待状』をはじめ、廃盤・未ソフト化など貴重な映画を“レア度”とともにご紹介!

文=飯塚克味 【5月の激レア映画8作品】①[廃盤]『アクシデンタル・スパイ』 レア度…★★★★☆  先日、70歳を迎えたアクションスターの大御所、ジャッキー・チェン。[廃盤]扱いとなっている『アクシデンタル・スパイ』が公開された頃は、ジャッキー主演の『ラッシュアワー』('98)のヒットで、世界に通用する俳優としてハリウッドにようやく地位が認められ、彼は香港とハリウッドを行き来していました。  最近はあまり威勢のある作品が少ない香港映画界ですが、この頃はまだやりたいことが

観る者を“清廉な領域”に引き込む、黒木華。『せかいのおきく』で魅せたその特質を紐解く

文=SYO @SyoCinema  私たちは、物語や役のフィルターを通して俳優を見る。自分は仕事上、比較的彼ら、彼女らに近い場所にいるかもしれないが――。たとえ撮影に立ち会ったり、インタビューで対話しようとも、やはりその本質は分からないものだと思う。僕自身も家族の前以外では濃度の違いこそあれど“人前モード”だし、他者を分かった気になるのは傲慢で怖いことだと思う。だから、なるべく勝手なバイアスをかけないように心掛けている。  ただ――そう意識していても、俳優本人の性格が透け

【4月の激レア映画!】松田優作主演『蘇える金狼』『野獣死すべし』『探偵物語』の4Kリマスター版ほか、廃盤・未ソフト化など貴重な映画を“レア度”とともにご紹介!

文=飯塚克味 【4月の激レア映画10作品】①[廃盤]『教祖誕生』 ★レア度…★★★☆☆  まず[廃盤]作品で紹介したいのが、ビートたけしの小説を映画化した1993年の風刺コメディ『教祖誕生』。新興宗教の布教活動に興味本位で加わることになった青年が主人公です。リアルタイムで観ていない人には、少し分かりづらいかもしれませんが、当時はかなりこうした出来事が社会問題化していました。そこにビートたけしが目を付けたという訳です。映画では新興宗教に対する皮肉やその組織的な裏の顔も描い

綾瀬はるかに宿る、観る者を惹き付ける“エンタメ性”を1本のアクション作品から紐解く

文=SYO @SyoCinema  国民的女優、綾瀬はるか。  彼女には、どの作品で出会うかで、こちらのイメージが変わるところがある。映画『ハッピーフライト』(’08)、『おっぱいバレー』(’09)、ドラマ「ホタルノヒカリ」(’07)、「義母と娘のブルース」(’18)などだったらコメディエンヌだろうし、「八重の桜」(’13)、「JIN-仁-」(’09)、『レジェンド&バタフライ』(’23)ほか時代劇でのイメージもあるだろう。また、「世界の中心で、愛をさけぶ」(’04)、「白

【3月の激レア映画!】廃盤・未ソフト化・4K修復版…なかなか出会えない貴重な映画を“レア度”とともにご紹介!

文=飯塚克味 【3月の激レア映画10作品】 まずは惜しくも[廃盤]となっている作品からいきましょう。 ①『アポカリプト』 レア度…★★★☆☆  まずは現在、ソフトが廃盤になっている『アポカリプト』からご紹介します。「マッドマックス」や「リーサル・ウェポン」シリーズで有名なメル・ギブソンが監督した第4作です。第3作の『パッション』(’04)はイエス・キリストが磔にされる様子をリアルに描き、全米で空前の大ヒットを記録。興行収入は世界中で6億1200万ドル以上を売り上げまし

俳優・長澤まさみの、理想と現実のギャップに苦悩する“淀み”を抱える役を引き寄せる特質を紐解く

文=SYO @SyoCinema  2024年も坂口健太郎、横浜流星らと共演した『パレード』(2月29日(月)Netflix配信)、佐藤健、森七菜と共演した『四月になれば彼女は』(3月22日(金)公開)、三谷幸喜監督作『スオミの話をしよう』(9月13日(月)公開)と、ビッグな出演作が控えている俳優・長澤まさみ。彼女が松山ケンイチとW主演を務めた社会派サスペンス『ロストケア』が、3月2日(日)にWOWOW初放送を迎える。  第16回日本ミステリー文学大賞新人賞を受賞した葉真

【2月の激レア映画!】廃盤・未ソフト化・4K修復版…なかなか出会えない貴重な映画を“レア度”とともにご紹介!

 文=飯塚克味 【2月の激レア映画10作品】①『四月怪談』 レア度…★★★★☆  最初は大島弓子原作の『四月怪談』。  本作を監督した小中和哉監督は、新作『Single8』(’23)に描かれるような自主映画で脚光を浴びた監督です。ですが、何をおいても本作の魅力は主演の中嶋朋子に尽きるでしょう。ドラマ「北の国から」の螢役で有名な彼女ですが、思いがけず死んでしまい幽霊になった女子高生をキュートに演じています。ちょうどこの頃、子役から脱皮を図っていた時期で、『あさってDANC

鈴木亮平と宮沢氷魚の疑いようのない“運命”を『エゴイスト』の中に見る

文=SYO @SyoCinema  「ニコイチ」という言葉がある。  二つで一つ、ワンセットという意味だが、心に残る映画には多くの場合「この2人しか考えられなかった」というキャスティングと芝居の妙が掛け合わさった「ニコイチ」が存在する。  それがラブストーリーならなおさらだろう。クサい言葉を使ってしまい少々恥ずかしいが……恋愛ごとには少なからず“運命”というものが作用していて、運命の意味は「目に見えない力で決定づけられている」であり、そう信じる自己暗示も相まって心酔・夢見

【1月の激レア映画!】廃盤・未ソフト化・4K修復版…なかなか出会えない貴重な映画を“レア度”とともにご紹介!

 文=飯塚克味 【1月の激レア映画10作品】①『寝ずの番』(’06) レア度…★★★☆☆  まず、映画ソフトが廃盤になっている作品から行きましょう。名優・津川雅彦が監督に挑んだ『寝ずの番』(’06)。彼は日本映画黎明期の巨匠、牧野省三の孫にあたる人物なのですが、当時、監督デビューにあたって、マキノ雅彦と名前を改めています。以前、発売されたDVDは既に廃盤なんです…。HD画質の放送は、保存用には打ってつけです! ②「ミレニアム[完全版]」三部作(『ミレニアム ドラゴン・

“ネガティブ”なキャラクターを“ポジティブ”に反転させる、岡田将生の「人間力」を紐解く

文=SYO @SyoCinema  デリカシーがない、ひねくれ者、神経質、口が悪い……。実生活ではあまり付き合いたくない他者が、この上なく魅力的に見えてくるのが、映画の魔法。脚本や演出によるところも大きいが、やはり“人”――つまり俳優の力が最重要に感じる。「嫌われ者役」という属性を背負ったマイナスのスタートながら、人間的な面白みや深みに変換し、あろうことか観客に愛されてしまう。そうした特長を遺憾なく発揮させているのが、岡田将生だ。  美しく、爽やかで、人気者。最近開設した

いつだって誰かのうれしいことをうれしいって思える人間でいたい――西島秀俊と内野聖陽W主演の『劇場版「きのう何食べた?」』を観てスピードワゴン・小沢一敬が心撃ち抜かれたセリフとは?

(※初回放送 12/16(土)後8:00、以降リピート放送あり) 取材・文=八木賢太郎 @yagi_ken ──今回は、人気漫画を原作にしたTVドラマの続編として映画化された作品ですが。小沢さんは、原作やTVドラマをご覧になったことは? 小沢一敬(以下、小沢)「いや、どっちも知らなくて。だから、まったく何も知らない状態でこの映画を観させてもらったんだけど、ちょっと驚いたのは、何の予備知識もなく観たのに、最初のシーンの会話だけで物語の設定が全て理解できたのよ」 ──最初

岸井ゆきのの“頼もしさ”—独自性の高いキャラクターに命を吹き込む彼女を紐解く

文=SYO @SyoCinema  表現者にとって、“代表作”に出合えるかどうかは活動上の生命線ともいえる。ブレイクするきっかけにもなるだろうし、転機や原点にもなり、時には越えなければならない壁にもなるだろう。何にせよ、代表作は必殺技みたいなもので、あるのとないのとではその後の人生が大きく異なる。往々にして代表作は自分だけでなく他者も含めた得票数で決まるため、ある種の総意ともいえるだろう。  俳優・岸井ゆきのにおいては、やはり『ケイコ 目を澄ませて』がそれにあたるはずだ。

【投票受付中!】教えてください、あなたのベスト3「W座映画賞」開催!

 はじめまして! 「W座からの招待状」5代目プロデューサー・Tです。  今年「W座からの招待状」では、「W座映画賞」を開催することになりました。noteでは、番組と映画賞の内容をお伝えできたらと思います。 ▼【W座からの招待状】「W座映画賞」ランキング投票大募集! まずは「W座からの招待状」のご紹介から…!  この番組は、WOWOWが3チャンネル開局をするタイミング(2011年10月)に誕生し、WOWOWが自信をもってオススメする珠玉の作品を放送している日曜午後9時の映画