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映画のはなし シネピック

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新しい映画と出会える。映画をより深く楽しめる。そんなコンテンツをお届けしていきます。担い手は、映画ライターSYOさんなど個性豊かな面々。それぞれの感性が作り出す映画愛は必見です!… もっと読む
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2021年10月の記事一覧

菅田将暉×有村架純主演の『花束みたいな恋をした』は“超・共感型”の映画だ

文=SYO @SyoCinema  2021年が始まって、すぐのこと。1本の映画がブームとなった。菅田将暉と有村架純がW主演し、人気脚本家の坂元裕二が脚本を務めた土井裕泰監督作『花束みたいな恋をした』('21)だ。1月29日に封切られたこの映画は、なんと約半年間にも及ぶ異例のロングランを記録。リピーターが続出し、興行収入も40億円に迫るヒットとなった。  「はな恋症候群」とでも呼ぶべきフォロワーを多数生み、ロケ地への“聖地巡礼”を行なうファンも後を絶たなかった本作。コロナ

周りの人をハッピーにするために、『やっぱり俺も、いつでもヘラヘラしていたいな』と思ってさ――『くれなずめ』を観てスピードワゴン・小沢さんが心撃ち抜かれたセリフとは?

取材・文=八木賢太郎 @yagi_ken ──今回は『くれなずめ』ですが、小沢さんが以前から楽しみにされていた作品だと聞きました。 小沢一敬(以下、小沢)「そう。これさ、今年の春に公開されたばかりの映画でしょ。そのときに観てきた友人たちが、『不思議な映画だから、みんなで観た後に、それぞれの感想を話し合って、答え合わせしてみたくなる』って言ってたの。だから興味を持ってたんだけど、劇場では見逃しちゃって。そうしたら、こんなすぐにWOWOWさんで観られるってことで、すごく嬉しか

経済成長だけが進むべき道なのか――「現代のノマド」から考える

文=安田菜津紀 @NatsukiYasuda  今回取り上げるのは、2017年にジェシカ・ブルーダーが発表したノンフィクション『ノマド ――漂流する高齢労働者たち』が原作となった『ノマドランド』('20)。  第93回アカデミー賞で作品賞、監督賞(クロエ・ジャオ)、主演女優賞(フランシス・マクドーマンド)の最多3部門を受賞。第77回ヴェネチア国際映画祭でも金獅子賞を受賞した。人々が「現代のノマド=遊牧民」になるまでの背景から、SDGsの「目標10:人や国の不平等をなくそう

イラストレーター・信濃八太郎が行く 【単館映画館、あちらこちら】 〜「新文芸坐」(東京・池袋)〜

 名画や良作を上映し続けている全国の映画館を、WOWOWシネマ「W座からの招待状」でおなじみのイラストレーター、信濃八太郎が訪問。それぞれの町と各映画館の関係や各映画館の歴史を紹介する、映画ファンなら絶対に見逃せないオリジナル番組「W座を訪ねて~信濃八太郎が行く~」。noteでは、番組では伝えきれなかった想いを文と絵で綴る信濃による書き下ろしエッセイをお届けします。今回は東京・池袋の「新文芸坐」を、白石和彌監督とともに訪れたときの思い出を綴ります。 文・絵=信濃八太郎 白