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映画のはなし シネピック

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新しい映画と出会える。映画をより深く楽しめる。そんなコンテンツをお届けしていきます。担い手は、映画ライターSYOさんなど個性豊かな面々。それぞれの感性が作り出す映画愛は必見です!… もっと読む
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2022年11月の記事一覧

【山里亮太:インタビュー】ゲストの“映画愛”を引き出す対談番組と、年末に見たい映画について、語ってもらった。

取材・文=小田慶子 「この番組は、僕にとっては“新しい眼鏡”をかけさせてもらえるお仕事です」  「フライデーミッドナイトシアター」では、月替わりのゲストと共に、映画のおすすめのポイントについて楽しいトークを繰り広げる山里亮太。第1回の木村佳乃から11月に登場した甲斐よしひろまで、20人のゲストを迎えてきた。そして、12月はロックバンドSUPER BEAVERの渋谷龍太を迎え、『セブン』<12月3日(土)放送>、『われに撃つ用意あり』<12月10日(土)放送>、『CUBE』

“怪優”から“名優”へ――ジョーカーを演じたホアキン・フェニックスの、驚くべき変化を目撃できる1本

文=SYO @SyoCinema 「名優」よりも「怪優」の称号がふさわしく、「名演」より「怪演」と評されることが多いホアキン・フェニックスは、観る者を畏怖させる“圧”をまとうことのできる俳優だ。『グラディエーター』('00)『サイン』('02)『ウォーク・ザ・ライン/君につづく道』('05)『ザ・マスター』('12)『インヒアレント・ヴァイス』('14)など、彼のフィルモグラフィーを軽くなぞっただけでも、とにかく濃い。  特にポール・トーマス・アンダーソン監督と初めて組ん

イラストレーター・信濃八太郎が行く 【単館映画館、あちらこちら】 〜「新潟・市民映画館 シネ・ウインド」(新潟市)〜

文・絵=信濃八太郎 「百年後の町のことを考えなせ」  館内の灯りが落とされた。さあ映画の世界に2時間身を任せるのみと、寒さでこわばった身体をゆるめてゆっくり目を開く。  2020年11月、新潟市の万代シテイという商業地区の一隅にある『新潟・市民映画館 シネ・ウインド』にやって来た。  明日の取材に備え、一日早く来て映画を観ておきたかった。信濃川にかかる萬代橋を渡り、川沿いを歩いているうちにすっかり冷えてしまった。東京から新幹線で2時間、川を渡る風にはもう冬の気配があった

ウクライナからの難民を取材するため訪れた地で、目の当たりにした「命の線引き」――『アンネ・フランクと旅する日記』が教えてくれること

文=安田菜津紀 @NatsukiYasuda  今回取り上げるのは、『戦場でワルツを』('08)のアリ・フォルマン監督がアニメーションで独自の世界観を描き出し、第34回ヨーロッパ映画賞の長編アニメ映画賞にノミネートされた映画『アンネ・フランクと旅する日記』('21)。  第2次世界大戦下のホロコーストによって15歳で命を落としたユダヤ人少女、アンネ(声:エミリー・キャリー)が綴った日記、「アンネの日記」。その日記に出てくる空想上の友達、キティー(声:ルビー・ストークス)が