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映画のはなし シネピック

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新しい映画と出会える。映画をより深く楽しめる。そんなコンテンツをお届けしていきます。担い手は、映画ライターSYOさんなど個性豊かな面々。それぞれの感性が作り出す映画愛は必見です!… もっと読む
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2023年3月の記事一覧

皆さまの「#映画にまつわる思い出」をご紹介! 担当者が選ぶ、読むとちょっと前向きになれる作品10選

 こんにちは! 現在開催中の「#映画にまつわる思い出」投稿企画を担当している、WOWOW公式noteの担当者Nです。  募集開始から2週間が経過し、皆さまからたくさんの投稿をいただいており、とてもうれしいです! すでにご投稿いただいた皆さま、本当にありがとうございます。一つ一つ、大切に読ませていただいております。  まだ何を書こうか迷われていらっしゃる方のご参考になればと思い、今回は、皆さまから寄せられた投稿の中からいくつかの作品をピックアップしてご紹介させていただきます

圧倒的に低い日本の難民認定率――アカデミー賞候補となったドキュメンタリー・アニメから考える

文=安田菜津紀 @NatsukiYasuda  今回取り上げるのは、第94回アカデミー賞で3部門にノミネートされるなど高い評価を受けたヨナス・ポヘール・ラスムセン監督作『FLEE フリー』('21)。 (※4/9(日)後10:45、ほかリピート放送あり)  アフガニスタンから脱出した青年アミン(声:アミン・ナワビ)が自らの経験を語るドキュメンタリーだ。主人公や周囲の人々の安全を守るため、実写ではなくアニメーションを用いて制作された。この映画と今の日本社会を重ね、SDGsの

東京の街と映画館の記憶をたどる。映画とともに右往左往しながら、私は成長してきたんだろう。

文=中村佑子 @yukonakamura108  今、街の映画館はどんどん失われ、シネコンとなって同じような顔になり、それぞれの街で、それぞれの映画館が発していた表情はなくなっていくばかりだ。思い出して言葉にしてあげないと、大気中に消えてなくなってしまうような、映画館の風景。  私はここで、街と映画館の記憶を書いていきたいと思う。それも、1990年代の映画館の記憶だ。  私は1977年生まれ、23歳で2000年のミレニアムを迎えた世代。つまり13歳から23歳という、どんな

20年前の出来事をありありと思い出せるのは、映画と父との思い出が紐づいていたからだ

文=よしひろまさみち @hannysroom  忘れられない映画は、映画そのものの出来栄えやストーリーの素晴らしさだけでなく、その時の自分の思い出に紐づいている。例えば、生まれて初めて映画館に連れて行ってもらった映画は、映画よりもその後で両親と一緒に行った焼き肉店の思い出と紐づいているし(ちなみにその時観た映画は『ザ・ディープ』('77)。なぜ幼稚園児にこれを見せようとしたのかいまだ理解不能なのだが……)、それと同じくらいの時に観に行った『スター・ウォーズ エピソード4/新

北村匠海の絶妙なバランス感覚を考察。演技の中で発揮する“翳り”の存在感のすごさ

文=SYO @SyoCinema  俳優として、ダンスロックバンド「DISH//」のメンバーとして幅広く活躍を続ける北村匠海。2017年の映画『君の膵臓をたべたい』や、2020年にYouTubeの人気チャンネル「THE FIRST TAKE」で披露した「猫」でその実力を多くの人が知るところとなり、ヒットシリーズ『東京リベンジャーズ』('21/続編『~2 血のハロウィン編』2部作は4月21日(金)と6月30日(金)に連続公開)では主演として牽引。今クールのドラマ「星降る夜に」

イラストレーター・信濃八太郎が行く 【単館映画館、あちらこちら】 〜「あまや座」(茨城・那珂市)〜

文・絵=信濃八太郎 閉店したスーパーマーケットの駐車場にある映画館  あなたが東京で暮らしているとして、どうして茨城県は水戸の先、1時間に1本しか列車(そう、電車ではなく、ディーゼルエンジンで動く気動車だ)がなく、Suicaも使えない無人駅、どう読むのかさえいまいちわからない「瓜連」まで映画を観に行く必要があるのだろう? ちなみに「うりづら」と読むこの駅を降りても誰も歩いていない。動くものといえば真っ青な夏の空を悠々と飛んでいくカラスくらいだ。太陽に照らされて、ひとりとぼ

生まれてからずっと、僕のそばにいてくれたもの

文=SYO @SyoCinema  映画との思い出。そもそも自分が映画にハマったのは、いつ頃からだっただろうか。明確に「このタイミング」といえないほど、幼少期から当たり前の存在として「映画」はそばにいた。それは今思うに、環境によるところが大きい。  まず、時代。僕は1987年生まれで、ケータイを持ったのは高校生、インターネットもまだまだ縁遠い時代だった。大学に入ってパソコンを個人で持つようになってからネットに日常的に触れ始めたような感じで、最後のアナログ世代といってもいい

「#映画にまつわる思い出」をテーマに投稿を募集します! 【優秀作品の5名様にAmazonギフト券1万円分を贈呈】

 こんにちは!WOWOW公式noteの中の人Nです。 普段は“映画ライターSYOの #やさしい映画論”や、“スピードワゴン小沢一敬の「このセリフに心撃ち抜かれちゃいました」”など、映画関連のマガジンを担当しています。  今年もいよいよ、日本時間3月13日(月)には、アカデミー賞授賞式が開催されます!WOWOWでは、その熱気と感動を生中継でお届け。  さらに、3月のWOWOWは『トップガン マーヴェリック』『キングダム2 遥かなる大地へ』をはじめ、放送・配信ともに映画が大充実

観ることのない映画の絵を描いて遊んでいた子どもの頃のこと

文・絵=信濃八太郎  「W座からの招待状」という映画番組の案内人役を、放送作家の小山薫堂さんと一緒に担わせていただいて、間もなく7年目となる。元々は薫堂さんと、ぼくの師でもあるイラストレーター・安西水丸先生のお2人で、2011年から始まった番組だ。  毎週冒頭には、その日に放映される作品へといざなうための、1分間ほどのショートアニメーションが流れる。安西先生からも「映画好きが映画の絵を描けばいいんだもの、最高だよ」と聞かされていたのだけれど、この絵を描くのが、今ぼくも楽しく

WOWOW『PLAN 75』放送&配信記念 早川千絵監督×安田菜津紀:特別対談――無知・無関心が一番の問題。この映画が少しでも関心を向けるきっかけになれば

構成・文=よしひろまさみち 撮影=中川容邦 自己責任論や生産性で人を測ることの恐ろしさ安田菜津紀(以下、安田)「長編版はもちろんですが、長編のもとになったオムニバス映画の『十年 Ten Years Japan』('18)(※3/12(日)後11:15放送)に収められた同名短編も拝見しました。自分がもし<プラン75>を勧めるあの役所に勤めていたら…、または、もうすぐ子どもが生まれる立場で、認知症の母親を介護しているときに<プラン75>を提示されたら…、と1日中、映画のシーンを