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映画のはなし シネピック

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新しい映画と出会える。映画をより深く楽しめる。そんなコンテンツをお届けしていきます。担い手は、映画ライターSYOさんなど個性豊かな面々。それぞれの感性が作り出す映画愛は必見です!… もっと読む
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2023年6月の記事一覧

『ザリガニの鳴くところ』から、ウィシュマさん死亡事件を考える――社会を前に進めるために

文=安田菜津紀 @NatsukiYasuda  今回取り上げるのは、全世界で1,500万部以上を売り上げたディーリア・オーエンズの同名ミステリー小説を映画化したオリヴィア・ニューマン監督作『ザリガニの鳴くところ』('22)。 (※7/16(日)後9:00、ほかリピート放送あり)  リース・ウィザースプーンが自ら映画化権を獲得し製作を担当。テイラー・スウィフト自ら楽曲参加を懇願した作品だ。湿地帯の自然の中、たった一人で生き抜いてきた主人公カイアの半生から、SDGsの「目標5

奈緒の芝居の“深度”に触れ、僕はどうしようもない感情に押しつぶされてしまった。

文=SYO @SyoCinema  役者に対して「すごい」と感じる瞬間は多々あるのだが、この人においては不遜にも「一緒に仕事をしたい」と思ってしまった。ひとりの物を書く人間として「この人に演じてもらえたら、幸せだろうな」と夢想してしまう存在であり、「物語を書きたい」とインスピレーションをかき立てられる存在でもあり……。  創作の世界ではそれを「ミューズ」と呼ぶのだろうが、まだ実績のない自分においてはその言葉が当てはまらなくとも――似たような感覚を抱いてしまったのは確かだ。

「THE SECOND」出場のあの芸人に見えてきて――尾上松也、安田顕、A.B.C-Z河合郁人らによる吹替版、映画『バッドガイズ(2022)』を観てスピードワゴン・小沢さんが心打ち抜かれたセリフとは?

(※初回放送 6/18(日)後1:00、以降リピート放送あり) 取材・文=八木賢太郎 @yagi_ken ──今回はオオカミ、ヘビ、サメ、ピラニア、クモが集まった怪盗チームが活躍する冒険コメディアニメ『バッドガイズ(2022)』です。 小沢一敬(以下、小沢)「うん、すごく面白かった。まあ、よく言われてることだろうけど、『オーシャンズ11』('01)的であり、ルパン三世的であり。いわゆるクライム・ムービーの要素もあるし、ポップに楽しめるポップコーン・ムービーでもあって、退