観る者を“清廉な領域”に引き込む、黒木華。『せかいのおきく』で魅せたその特質を紐解く
文=SYO @SyoCinema
私たちは、物語や役のフィルターを通して俳優を見る。自分は仕事上、比較的彼ら、彼女らに近い場所にいるかもしれないが――。たとえ撮影に立ち会ったり、インタビューで対話しようとも、やはりその本質は分からないものだと思う。僕自身も家族の前以外では濃度の違いこそあれど“人前モード”だし、他者を分かった気になるのは傲慢で怖いことだと思う。だから、なるべく勝手なバイアスをかけないように心掛けている。
ただ――そう意識していても、俳優本人の性格が透け