「フランス映画か!」という“ありがちなツッコミ”について、フランス映画の傑作を観て深く考える【#エンタメ視聴体験記/中山功太】
文=中山功太
今の今までフランス映画を観た事がなかった。
厳密に言うとテレビで深夜に観た事があるのかも知れないが、たまたまチャンネルを合わせていただけの「推定フランス映画」をチラ見した程度だと思う。
お笑いにおいて「フランス映画か!」というニュアンスのツッコミが昔から重宝されている。大抵、ボケの人がダラダラと長尺で難解な発言をした後に放たれる事が多い。
その事実からも分かる様に、よほどの映画好き以外は、以前の僕も含めてフランス映画に良い印象を持っていないのではないかと、あえて言わせていただきたい。
実際、今までの僕がイメージするフランス映画は、曇りの日にカフェのテラスで文学青年ふたりがニヤニヤ討論してる内に薄っすらケンカになったり、女性がお化粧を直している鏡に映ったシーツ包まり胸毛男が哲学者の言葉引用して約10分喋ったり、山場ゼロのまま信じられないタイミングでエンドロール流れたりする退屈なモノだと決めつけていた。
ただテレビでチョイ見しただけで、本当はイタリア映画かも知れないのに、我ながら失礼な話だと思う。
今回視聴した『最強のふたり』はフランス映画である。
人生で初めて「これはフランス映画だ」と確信した上で観たフランス映画だ。
観ようと思ったキッカケは、YouTube LIVEで「一番好きな映画はなんですか?」というテーマで生配信をした際に、チャット欄で最も多く名前が挙がったのが本作だったからだ。皆様、フランス映画だという説明もして下さった。
その時も「おっ...渋いと思われたい人が多いな...」と、根腐れした気持ちでいたが、せっかくWOWOWさんで観られるのならばと思い、選ばせていただいた。
結論から言うと、傑作どころの騒ぎではなかった。
早く他のフランス映画も観てみたいし、好きな国ランキング圏外から現在フランスが3位に浮上した。
予定はないが新婚旅行はフランスに決めた。
本作は、不慮の事故で首から下が麻痺した大富豪のフィリップと、彼を介護する事になったスラム街暮らしの黒人青年ドリスの絆を描く、実話に基づいた作品である。
僕は個人的に、実話に基づかれると弱い。
同じだという方もおられると思うが、2割増しで感動できる。
だが本作に詰め込まれているのは感動だけではない。事実「コメディ」にカテゴライズされる事も多い様だ。Wikipediaには「バディコメディドラマ」と記されていた。
初めて耳にした、そしてもう耳にしなさそうなジャンルだが、大富豪とスラム街暮らしという異色のバディの友情を描いている本作にはピッタリだと感じた。
とにかくこの映画は、コメディ部分が抜群に面白い。
怪しいと思い調べてみると、黒人青年ドリスを演じるオマール・シーは俳優であり、コメディアンだそうだ。
どうりで面白すぎると思った。会話の間合いや表情、動き、どれをとっても一流芸人だ。
大富豪フィリップを演じるフランソワ・クリュゼをはじめ、他の俳優さんも滅茶苦茶コントが上手い。言葉がわからないのにこれだけ面白いと感じるのだから、フランスの映画館ではバチバチにウケたはずだ。
そして、コメディ部分が面白ければ面白い程、シリアスなシーンや切ない展開が際立ってくる。そこのメリハリが本当に素晴らしい。
展開も早すぎず遅すぎず、丁度良く、冒頭のシーン以外は時間軸通りに綺麗に進んでいくため 、非常に観やすい。
冒頭のシーンが後半に訪れる場面は、物語ではなく、映画としての感動があった。
フランス映画は抑揚がなくてずっとAメロだと思っていた自分をエッフェル塔でシバきたい。
話は戻るが、なぜ自分は観た事もないフランス映画に良いイメージを持っていなかったのか、答えが出た気がする。
それはすでに冒頭で書いていた。
お笑いにおいて「フランス映画か!」というニュアンスのツッコミが昔から重宝されているからだ。
恐らく、ほとんどの芸人さんがフランス映画をちゃんと観ずに何となくで発した言葉なのだろう。
お笑いの悪しき功罪の一つとして、自戒の念も込めて、胸に叩き込みたい。
大傑作のこの映画の邦題が『最強のふたり』 なのも完璧だと思う。
相当に訳しにくいであろうフランス語の原題『Intouchables-アントゥシャーブル-』(触れられない人や物)をかなぐり捨てて「最強のふたり」は英断だ。
この映画を観た日本の配給会社の方が「このふたり 、最強だね!」とか話して決めたのかなと想像できる。
「最高」ではなく「最強」なのが最高だ。
話は変わるが、僕はお笑いが好きだ。
時として「フランス映画か!」というニュアンスのツッコミがフランスを傷付けてしまう事があっても、僕は心底お笑いが大好きだ。
自分はコンビではなくピン芸人なので「最強のふたり」にはなれないが、いつか「最強のひとり」になりたいなと夢想してペンを置かせていただく。
厳密に言うとスマホで書いているので、自分はコンビではなくピン芸人なので「最強のふたり」にはなれないが、いつか「最強のひとり」になりたいなと夢想してスマホの電源を切ってポケットに入れさせていただく。
おわりに・・・
「矢沢永吉 CONCERT TOUR 2023『Welcome to Rock'n'Roll』」
(※配信は終了しました)
先日の、「生中継!矢沢永吉 CONCERT TOUR 2023『Welcome to Rock'n'Roll』」はシビれた。僕は世代ではないが、矢沢永吉さんは幼少期からずっと好きだ。矢沢永吉さんはYAZAWAであり続けるために気を張っているから絶対にハゲないのだと思う。
「ゾン100~ゾンビになるまでにしたい100のこと~」
前回コラムを書かせていただいた「マイホームヒーロー」同様、人気漫画のアニメ化作品だ。コントに近い逆転の発想で、なぜか爽やかに描かれるゾンビもの。飽和したテーマへのアンチテーゼにも感じる。日本のアニメは本当にレベルが高く、そりゃあ外国の方々も夢中になるよなぁ、と納得した。
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「NBAバスケットボール」
八村塁選手見たさに「NBAバスケットボール レイカーズvsスパーズ」も観た。バスケの試合を初めてフルで観たが、全編スリルしかなくめちゃくちゃ興奮した。運動神経が悪く、回ってきた全ボール、トラベリングかダブルドリブルだった功太少年にも観せてあげたい。
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