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THE YELLOW MONKEYは永久に不滅だと、東京ドームで確信した夜【#エンタメ視聴体験記/中山功太】

 お笑い芸人の中山功太さんが、WOWOWの多岐にわたるジャンルの中から、今見たい作品を見て“視聴体験”を綴る、読んで楽しい新感覚のコラム連載企画「#エンタメ視聴体験記 ~中山功太 meets WOWOW~」。今回は特別編として、4月27日に東京ドームで開催されたTHE YELLOW MONKEY SUPER BIG EGG 2024 “SHINE ON”を実際にライブ観賞した体験を、思う存分語ります。

文=中山功太

<本文でライブのセットリストや具体的な内容に触れています。ご注意ください>


 自分にとっての初めてのロックスターは、THE YELLOW MONKEYだった。

 高1の頃にカラオケ店のロビーで流れていたライブ映像を観て、一瞬でとりこになった。
本連載の『デヴィッド・ボウイ ムーンエイジ・デイドリーム』の回でも書かせていただいたが、僕にとってTHE YELLOW MONKEYは特別なバンドであり、唯一無二の存在だ。

 2024年4月27日、僕は東京ドームにいた。

 3年半ぶりに行われるTHE YELLOW MONKEYの東京ドーム公演を観る為に。
チケットが取れずに半ば諦めており、それでもライブが近付くにつれてやきもきし、最終的にはスマホで「ダフ屋 チケット買う 合法」で検索するまで追い詰められていたのだが、この連載での執筆が急きょ決まり、関係者席で観させていただける事になったのだ。

 ライブ開始までのカウントダウンの表示が60秒を切った。

 THE YELLOW MONKEY史上最多動員数を記録した、約5万人のボルテージが一気に上昇する。
表示が0になり、興奮が最高潮に達した瞬間、舞台が明転し、キーボードの音が鳴り響いた。

 一曲目は「バラ色の日々」だった。

 ファンの人気投票で一位になった事もある、アンセム中のアンセムだ。

 僕は普通に泣いていた。

 ふと関係者席の関係者の皆様の方をチラ見したが、やはり関係者だけあって真剣に観ている。
普通に泣いてしまうと、関係者席にただのガチファンが紛れ込んでいるのがバレ、最悪つまみ出されるかも知れないと恐れた。
涙がこぼれない様にこらえる小学生の様に真上を向き、眼球内に涙を戻す。マッチポンプ永久機関目薬。

 そしてこの奇行はライブが終わるまで定期的に続ける事となる。

 Vo.吉井和哉さんのMCの後、吉井さんと会場の5万人、そしてコロナ禍でライブでの声出しが出来なかった2020年に録音された2万人の録音による合唱がドームに鳴り響いた。

 僕は普通に嗚咽おえつした。

 関係者席にガチファンが紛れ込んでいるのがバレるとつまみ出されるかも知れないので、爆音に紛れて、咳とくしゃみがどっちも出ているフリをした。

 ライブでは定番となっている吉井さんの「ビューティフォー!」というシャウトとともにDr.菊地英二さん、Ba.廣瀬洋一さん、Gt.菊地英昭さんの演奏が重なる。

 小便が漏れるかと思った。

 死ぬほど憧れて、一度解散して、誰もが予想しなかった再集結をしたTHE YELLOW MONKEYが演奏している。

 ライブ中盤にわかる事だが、キーボードは再集結後のライブのサポートメンバーである鶴谷崇さんと、解散前のサポートを務めていた三国義貴さんの二人体制であった。ステージ上の6人は、現在と過去のTHE YELLOW MONKEYを聴かせる為の完璧な布陣だった。

 二曲目はこの時点で発売前であったニューアルバムからの「SHINE ON」。

 新曲であるにもかかわらず、オーディエンスのクラップが綺麗に揃っており、メンバーとファンの繋がりの強さを感じた。
この曲もそうだが、THE YELLOW MONKEYは再集結後の曲もめちゃくちゃカッコいい。洋邦問わず、再結成後は全く新曲を作らなかったり、作っても普通に残念だったりするバンドが多い中、しっかりと「らしさ」は残しつつ「新しい曲」をバンバン作ってくれる。

 そして、メンバーが誰も太ったりハゲたりしない。
ずっとカッコいい。

 続く「Romantist Taste」はメジャーデビュー曲であるにもかかわらず、古さを感じない。いや、そもそもTHE YELLOW MONKEYは古いとか新しいでやってるロックじゃないからだろう。最新曲の後に演奏しても何の違和感もない。 

 「Tactics」ではお馴染みの観客とのコールアンドレスポンスもあり、本当にコロナが明けたんだなぁとしんみり感じた。
これぞTHE YELLOW MONKEYという、グラマラスなロックナンバーで「他のバンドにはない魅力」しかない。

 少しの間が空いた後、菊地英昭さんの荘厳なギターソロが始まる。
再集結後、菊地英昭さんがバンドを引っ張っている様に感じる部分が多々あった。ライブのみならず、楽曲においても作詞作曲を務めたり、本当に頼もしい。

 ギターソロから流れる様にイントロに入った「聖なる海とサンシャイン」。
この曲を作った頃、吉井さんが気に入ってずっと口ずさんでいたという、本当に美しいロッカバラードだ。
「バラ色の日々」も「聖なる海とサンシャイン」も、この日は聴けなかったが「パール」も収録されている、アルバム『8』は傑作だと思っている。その後の活動休止からの解散はショックだったが、ご本人達にしかわかり得ない事情があったのだろう。

 だけど十数年後の今、こうして活動してくれている事が本当に嬉しいし、メンバーの皆様も本当に楽しそうだ。

 ロック×東北の民謡という無茶苦茶な偉業を成し遂げた大ヒット曲「BURN」に続き、コーラスが印象的なライブの定番曲「ROCK STAR」、オリエンタルな雰囲気からのサビの開放感が奇跡にも感じる「楽園」、問答無用のロックナンバー「SPARK」が、立て続けに演奏される。

 吉井さんがMCで「代表曲のオンパレードで行きます」とはおっしゃっていたが、気絶するかと思った。

 その後、菊地英二さんのドラムソロに入る。
再集結後の菊地英二さんは、誰よりもバンドを楽しんでいる様に見える。終演時は一番最後までステージに残り、お客さんに何度も両手をあげ、お辞儀をし、名残り惜しそうにしている。この日、ライブ中ガムを噛んでいたと思うが、貫禄の様なものを感じて凄いカッコよかった。

 ドラムに絡み合う様に廣瀬洋一さんのベースソロが始まる。
この方のベースはTHE YELLOW MONKEYの「らしさ」を決定づけていると思う。ニューアルバム『Sparkle X』でもそうだが、グラマラスにうねり狂っている。

 ドラム、ベースソロから流れる様に演奏されたのは新曲「ソナタの暗闇」。
相変わらず新曲がしっかりカッコいい。しっかりTHE YELLOW MONKEYだ。シリアスな歌詞がスクリーンに映し出される演出も、楽曲にマッチしていて素晴らしかった。

 続く「天道虫」も再集結後のアルバム『9999』からの楽曲だが、もはやキラーチューンと化していた。
そして、ブレイクの大きなキッカケとなった「太陽が燃えている」を披露し、ドームが多幸感に満たされた直後、スクリーンにドキュメンタリー映像が流された。

 ライブが始まって一度も言及してこなかった、吉井和哉さんのご病気に関する生々しい映像。
そして、想像を絶する闘病であったという事実。

 普段の話し声が変わっていたのは、ファンは気付いていた。だけどこの日のライブでも、若干、声が擦れる場面はあったが、歌い出すと完全にTHE YELLOW MONKEYだった。
そもそもご病気の前や、解散前も声が出ない事はあったし、3時間近くぶっ続けで歌うのだから、他のアーティストでも当たり前の事だ。

 ドキュメンタリー映像のラストに、日本のロック史に残る名盤であり、吉井さんが最高傑作だと自負する『SICKS』のラストナンバーの演奏が始まった。

 「人生の終わり(FOR GRANDMOTHER)」。

 「続く どこまでも続く この生命力
  僕は死神に気に入られた旅人」

 今の吉井さんが歌い上げると、歌詞の意味合いが全く違う。
紛れもなくハイライトだと感じた。泣いているお客さんも沢山いた。

 僕は膝から崩れ落ちそうになったがギリギリ椅子に座って、顔をクシャクシャにして2秒だけ泣いた。 

 続いてはライブの超定番曲であり、メンバー紹介を挟む「SUCK OF LIFE」。
僕はこの曲こそがTHE YELLOW MONKEYそのものだと思っている。グラマラスでエロティックでアンドロギュノス的で歌謡曲でロックだ。

 そして「LOVE LOVE SHOW」。
再び、みたび、何度でもオーディエンスを最高潮に持って行ってくれる。

 シリアスなMCの後に披露されたのは新曲「ホテルニュートリノ」。
何度でも言うが、THE YELLOW MONKEYは新曲がとにかくいい。バンドとしては初めてスカを取り入れた楽曲だが、いい意味で、この4人が何をやろうが絶対にTHE YELLOW MONKEYになる。

 「人生の7割は予告編で 残りの命 数えた時に本編が始まる」という歌詞は、吉井さんの中でも屈指のパンチラインだと思う。

 本編が終了し、アンコールはライブでお馴染みのカバー「東京ブギウギ」で幕を開けた。
明確に問題がある下ネタの替え歌は今回は封印していて、少し安心した。

 そして、本気で売る気で作ったと公言していた初期のシングル曲「アバンギャルドで行こうよ」。
確かに贔屓目なしで、は難しいが、売れてもおかしくないほどポップでカッコいい。

 そして再集結直後に発表された「ALRIGHT」。
「何よりもここでこうしてることが奇跡と思うんだ」という歌詞も、やはり今日は意味合いが違う。

 続く「悲しきASIAN BOY」。
こちらもライブではお馴染みでファンの思い入れが強い曲だ。会場が完全に一体化していた。

 そしてバンドの代表曲である「JAM」。
THE YELLOW MONKEYを知らない人でも知ってるであろう名曲であり、ファンにとっても特別な、至極のバラードだ。

 それにしても凄まじいセットリストだった。
そしてまだ吉井さんの喉が万全ではないにもかかわらず、凄まじい曲数だ。それをメンバーとオーディエンスでやってのけた。

 感動という言葉ですら生ぬるい。

 メンバーがステージを降りると、スクリーンにニューアルバム『Sparkle X』収録曲「復活の日」のMVの様なものが流れた。
ストレートな歌詞と力強いメロディ。ライブでシンガロングできそうな真っ直ぐなコーラス。アルバムへの期待が膨らむ中、ライブは幕を閉じた。

 かの様に思えたが、メンバーがみたび、ステージに現れた。

 予定にはなかったそうだがもう一曲、披露してくれたのだ。激しいアコースティックギターが心地よい、インディーズ時代の名曲「WELCOME TO MY DOGHOUSE」。

 そして吉井さんはいつかの東京ドーム公演以来にこう言った。

 「我がイエローモンキーは永久に不滅です」

 長嶋茂雄さんの引退時の言葉をオマージュしたこの言葉。
巨人軍の本拠地で放ったこの言葉。

 いつかの東京ドーム公演では、活動休止が決まっていたので、辛く、虚しく感じてしまった言葉。

 だけどこの日は違った。

僕達ファンにとってもTHE YELLOW MONKEYは不滅だと確信した夜だった。


 THE YELLOW MONKEYファンではないという方、ぜひ、このライブ映像を観て欲しい。あなたも絶対にTHE YELLOW MONKEYが好きになる。

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おわりに・・・

 今回取り上げることはありませんでしたが、中山さんが気になった作品を中山さんならではの視点でご紹介します。

コンスタンティン

2005年の作品だが、この映画は凄く斬新に感じた。キアヌ・リーヴスは当然格好良いし、「エクソシスト探偵」という設定が素晴らしい。現代の日本の漫画的だと思う。漫画アプリで適当に読んでみたら大当たりだった感覚に近い。僕の様な、いわゆる現役の中二病にもオススメしたい。

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ネイチャーズ・キッチン #1 水上温泉郷と熊肉のロースト

WOWOWオンデマンドに「食ドキュメンタリー」という、たまらない項目があったので、そこからこれを見つけて観させていただいた。お食事が何よりも好きなのと、最近ジビエ料理に興味を持ちだしたので、こりゃたまらん。美味しんぼの海原雄山もよだれ垂らして喜びそうな程、美味そうだった。

▼「ネイチャーズ・キッチン #1 水上温泉郷と熊肉のロースト」を今すぐ視聴するならコチラ!

 ドラマW 山のトムさん

思い切った発言になるが、僕が観た小林聡美さんが出てる作品は全部良い。映画もドラマも全部、異常に良い。本作ももちろん良い。小林聡美さんが凄いのか、小林聡美さんが良い作品だけを選んで出ているのか、またはその両方なのか。小林聡美さんに詳しい方、教えて欲しい。

▼「ドラマW 山のトムさん」を今すぐ視聴するならコチラ!

合わせて読みたい!お笑い芸人のぼる塾・酒寄希望さんによる「#エンタメ視聴体験記 ~酒寄希望 meets WOWOW~」のコラムはコチラ

「THE YELLOW MONKEY SUPER BIG EGG 2024 “SHINE ON”」音楽ライターによるライブレポートもチェック!(写真多数)

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