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スピッツが歩み続けることのできた30年。“奇跡”という名の“軌跡”について〈特集:スピッツ、バンド史の行間にあるもの 第3回〉

音楽ナタリーとWOWOW公式noteが特集コラボ、スピッツ30年の軌跡を振り返る。現在、バンドの歩みを年表で振り返る記事を音楽ナタリーで掲載中。こちらnoteでは、その年表の‟行間”を綴った連動コラムを3回にわたりお届けします。

第3回となる今回は、2010年以降のスピッツの歩みを振り返ります。

文=石井恵梨子(音楽ライター) @Ishiieriko

2010年からのスピッツの歩み

 2010年~2021年のスピッツについて、音楽ナタリーの年表記事では「安定期が続くスピッツ」と記しました。ただ、こう書いてはみたものの、過去にはメンバーの体調不良があったり、東日本大震災の直後には草野マサムネが急性ストレス障害で倒れてしまうなど、いくつかの事例は起こっています。4人の精神的な絆はすでに揺るぎなく、自他共に認める円熟期に入ったからこそ、今度は体力や健康面のほうが気になるようになってきたともいえます。

 音楽がみずみずしいから普段あまり考えないのですが、現在スピッツのメンバーは全員50代。メンバーチェンジもなく、活動休止もなく、デビューからずっと名曲を書き続けて30年というのは、ひとつの奇跡に近い話です。メンバーもよく口にしていますが「誰か一人欠けたらそれはもうスピッツではない」。当たり前のように名曲が生まれ、当たり前のようにライブツアーが繰り返される。そんな日常が決して永遠ではなかったことを、私たちは2020年に知ることになりました。

『なつぞら』の主題歌、「優しいあの子」

 年齢とともに今までにないチャレンジが増えていくスピッツ。さいたまスーパーアリーナや日本武道館が「あり」になった今、最後の砦はどうなるのか。NHK連続テレビ小説『なつぞら』の主題歌として「優しいあの子」が流れ出した2019年、ファンの頭をよぎったのは、スピッツはついに紅白歌合戦に出場するのか? という疑問だったようです。朝ドラ主題歌は、毎年紅白のハイライトのひとつになるのが恒例ですから。

 結果からいえば、スピッツの紅白出場は「なし」でした。NHKに限らず、昔から有名な晴れ舞台をなるべく避けてきた彼ら。そこにどんなこだわりがあるのでしょう。老若男女が口ずさむヒット曲に多数恵まれながらも、メディア露出は毎回慎重になる。頼もしさと慎ましさ、柔らかいポップさと尖ったロック魂の同居。そのスピッツらしさはデビュー30周年を超えても変わりません。

「猫ちぐらの夕べ」WOWOWスペシャルエディション

猫ちぐらの夕べ番組キーカット

 そんなスピッツが、このたびWOWOWの特別番組に登場してくれます。2020年11月に開催された「スピッツコンサート2020 “猫ちぐらの夕べ”」。ライブシーンはすでにオンライン配信されていますが、こちらは舞台裏の様子、さらには独占インタビューを含むスペシャルエディションです。

 WOWOW独占インタビューは、なんと、南阿佐谷のデニーズにて行われました。デビュー前の4人が最初の一歩を踏み出した場所。夢や希望、不安や悔しさを共有した思い出の店。今あらためてその場所に立ち返った4人が、何を思い、何を語ってくれるのか。デニーズの全面協力を得て始まった企画は、話を振ったデニーズ広報の担当者が大のスピッツファンであった、という偶然からトントン拍子に進んでいきました。

2019年にはYouTubeで「ロビンソン」の再生回数が1億回を突破。これは90年代にリリースされた邦楽アーティストの楽曲としては初の記録となりました。今も時代を超えて愛され、年齢や男女を問わずに口ずさまれているスピッツの楽曲。それは4人のどんな思いによって生まれてきたのか。テレビではほとんど見ることのできなかった「喋るスピッツ」が、間もなくオンエアとなります。

■<特集:スピッツ、バンド史の行間にあるもの>
第1回の記事はこちら
https://note.wowow.co.jp/n/nef2e9833e5ee
第2回の記事はこちら
https://note.wowow.co.jp/n/n77e8b6d1d1d9


■番組情報
スピッツ 猫ちぐらの夕べ WOWOWスペシャルエディション テレビ初出し事前特番
3月27日(土)まで[WOWOWオンデマンド]で配信中

スピッツ デビュー30周年記念MVコレクション
3月25日(⽊)夜6:00 [WOWOWライブ] [WOWOWオンデマンド]
※この番組は放送同配信のみで、見逃し配信はございません

スピッツ 猫ちぐらの夕べ WOWOWスペシャルエディション
3月27日(土)夜7:00 [WOWOWプライム] [WOWOWオンデマンド]