“生”の井上芳雄を堪能できる50分—7月10日の「芳雄のミュー」生放送の現場に、note担当者が密着取材!【番組潜入レポ&プロデューサーインタビュー<前編>】
第15回「芳雄のミュー」のスタジオに潜入!
オープニングのリハーサルに潜入!
ミュージカル界の“いま”を井上芳雄が“生放送”でお届けするトーク&ミュージックショーである「芳雄のミュー」。井上芳雄とWOWOWが送り、そしてミュージカルファンと“つながる”、ライブ・エンターテインメントショーとは…。
謎に包まれた(!?)そのベールを剝がすべく、7月10日、午後10:00から生放送された「芳雄のミュー」の裏側に密着してきました!
初めまして、note編集部の社員Aです!
生放送を見学するのは今回が初めてのこと。
きっと現場はバタバタしているだろうし、邪魔にならないだろうか…と不安に思っていたところ、番組スタッフの皆さんに和やかな雰囲気で出迎えていただき一安心。
しばらくすると、「今からオープニング(以下、OP)のリハーサルを行ないますが、見学しますか?」とスタッフさんからお声がけいただきました。
「芳雄のミュー」のOPといえば、OPソングを歌唱されている井上芳雄さんがお客さまにお花を順番に渡していくという恒例のもの。
恐る恐るスタジオに足を踏み入れると、そこに広がる「芳雄のミュー」のスタジオセットに感動。(ここから生放送されているんだなぁ)と想いを巡らせていたところ…なんと、リハーサルのお手伝いとして、お客さま役のスタンドイン(代役)をすることに!
突然の出来事にド緊張の私でしたが、井上さんからお花を手渡され、(ミュージカル界のプリンスからお花をいただけるなんて、なんという豪華な演出なんだろう…!)と、お客さまの気持ちを体感させていただきました。
そして、無事にOPのリハーサルは終了。
配信限定の「芳雄のスー」の収録に潜入!
続いては、ゲストからのお土産を紹介するWOWOWオンデマンド限定ミニ番組「芳雄のスー」の収録。(「スー」とはスーベニアの略で「お土産、記念品」という意味だそうです!)
いつも、その回のゲストならではの「スー」と、井上さんの率直な(?)コメントが楽しめるミニ番組です。
今回の「スー」は、城田優さんからの「スー」で、「ドライフリット」というポテトのスナックでしたが、お菓子のみをアップで映すインサートの撮影に、井上さんがご協力されていた姿が印象的でした! (お菓子の味を分けてお皿に移してくださっていました)
▼城田優さんからの「スー」を紹介する「芳雄のスー #15 」はこちら!
歌のリハーサルに潜入!
リハーサルは、着々と進んでいきます。
ゲストの京本大我さんの歌リハーサルが始まりました。
京本さんのソロ歌唱曲は「サンタフェ」(ミュージカル『ニュージーズ』より)。TVでは初歌唱となる楽曲で、人前での歌唱は、「ディズニー・ブロードウェイ・ヒッツ」以来、約1年ぶりとのこと。
続いて、井上さんと京本さんのお2人で歌う、「明日への階段(THE STEPS OF TOMORROW)~ルドルフ・The Last Kiss~」の歌リハーサル。
お2人での歌唱はこの時が初めてとのことでしたが、最初から息がぴったりで、あっという間にリハーサルは終了しました。
井上さんも“ダブル・ルドルフ”(※)での歌唱をとても喜んでいるご様子で、リハーサル後はお2人で談笑されていたのも印象的でした。
プロデューサーによる“前説”に潜入!
その一方で、金山麻衣子プロデューサーには当日欠かせないお仕事が。観覧に来てくださったお客さまへのごあいさつです。
お客さまへの感謝のごあいさつや番組観覧についての説明をした後は、プロデューサーとお客さまとが、ざっくばらんなお話ができる時間が設けられています。
番組制作スタッフへのご意見やご質問をお聞きする質疑応答では、たくさんのお客さまが挙手してくださいました!
この日は、「芳雄のミュー」に出演してほしいゲストのご要望から、テロップの位置についてのご質問まで多岐にわたっており、私も聞いていて「なるほど…!」と思わされるものばかりでした。また、お客さま同士で意気投合されている様子も見受けられてうれしくなりました!
やはりファンの皆さまの着眼点はすばらしく、この場でいただいたご意見は、後の番組の参考にすることも多いそうです。
本番の舞台裏に潜入!
さて、いよいよ本番の時間が近づいてきます。
観覧のお客さまは、演出スタッフからOPについての説明を受けた後、いつも見ているスタジオのセットの中へ…お客さまから続々と感動の声が上がります。
そしてしばらくすると、またしても興奮の声が…。
スタジオに井上芳雄さんが入られました!
かなり至近距離にいらっしゃる井上さんにも、あと5分で始まる生放送にも緊張されているご様子のお客さま。そんなお客さまの緊張を和らげるかのように、井上さんの方からお客さまに話しかけられました!
「皆さん、『ムーラン・ルージュ!(ザ・ミュージカル)』にはお越しいただけましたか?」
「『モーツァルト!』を観劇される方はいらっしゃいますか?」
などなど…!
当日の『ムーラン・ルージュ!』の昼公演を観劇されたお客さまもいらっしゃったようで、「今日は、僕と同じスケジュールですね(笑)」と談笑したり、生放送の本番前ということを忘れるほど、和気あいあいとした雰囲気で盛り上がっていました。
お客さまの緊張がほどけたところで、いざ本番スタート!
目の前で井上さんの“生歌”を聴き、さらに井上さんからお花のプレゼント…! お客さま全員が最高の笑顔でOPを終えました!
井上さんの穏やかな雰囲気や、その場を変えるパワーに感銘を受けた様子のお客さまは、その後別室の試写室へ移動し、モニターでの観賞となります(私もスタジオ内ではなく外のモニターで観賞していました)。
ゲストの京本大我さんを呼び込み、トークが順調に進みます。
そして、番組中盤でいよいよ「PREMIUMEW STAGE」(歌唱パート)の始まりです。
直前まで、京本さんがハマっているという「食品サンプル」のお話で盛り上がり、明るい雰囲気だったスタジオですが、照明が暗くなった瞬間にスイッチが切り替わり、顔つきも変わった京本さん(…はまさに仕事人そのものでした!)。
ご自身にとってたくさんの想いが詰まった「サンタフェ」をかみ締めながら大切に大切に、そして伸び伸びと歌唱されている姿には、目の前には多くの観客がいて、ここは劇場なのではないかと錯覚してしまうほどでした。
あの場にいた誰もが心の中で大きなスタンディングオベーションをしていたと思います。それほどまでに心に染み入る歌唱でした。
そして、いよいよクライマックスの「明日への階段」の歌唱です。
こちらもトーク後すぐの歌唱でしたが、何度見ても歌唱パートへの切り替えには感動します…。
お2人で目を合わせながら生き生きと歌われる姿に、ライブ・エンターテインメントショーの神髄を見た気がしました。
潜入取材の終わりに…
無事に生放送は終了。スタジオも達成感にあふれ返っていました!
観覧のお客さまだけでなく、視聴者の皆さまからも多くの反響をいただいた今回の生放送。1日密着させていただき、私も満ち足りた気持ちになりました。
…その一方で、まだまだ「芳雄のミュー」についてお聞きしたいことがたくさんある! という好奇心から、この放送の2日後、番組担当の金山麻衣子プロデューサーと、後藤花鈴プロデューサーに直撃インタビューをさせていただきました!
「芳雄のミュー」の番組プロデューサーにインタビュー!<前編>」
「芳雄のミュー」誕生までの道のり
―改めて、先日は生放送のスタジオにお邪魔させていただき、ありがとうございました! 貴重な体験をさせていただきました。
まずは、お2人の仕事内容を教えていただけますか。
金山「こちらこそ、こうして番組を取り上げてもらえることで、多くの方に番組を知っていただける機会が増えるのはとてもうれしいです。私は『芳雄のミュー』の立ち上げの企画から現在まで制作を担当しています」
後藤「私は主に『宝塚』関連番組を担当しているのですが、3年ほど前からWOWOWミュージカルを総合的に盛り上げようという取り組みがあり、金山プロデューサー(以下、P)と一緒に『芳雄のミュー』をはじめ、ミュージカル全般の制作を担当しています」
金山「『芳雄のミュー』では、井上芳雄さんのスケジュール調整、エピソードごとのゲストのキャスティングからテーマの立案や交渉から、トーク内容、歌っていただく楽曲について演出スタッフと想定し、芳雄さんやゲストの方々へのご提案、楽曲の権利確認、SNSを主とした宣伝施策、当日の進行まですべて一つのチームとして番組制作を行なっています。
プロデューサーが2人体制というのがとてもいい形で展開できているんですよね。後藤Pとは世代も取り組んできたジャンルも違うこともあって、お互いの感覚に照らして多角的に自分たちの仕事を確認していくというか、『これはどう思う?』など相談しながら進めることで“さまざまな世代のファンの方に見ていただく番組”という意識を大切に制作しています」
後藤「生放送の当日も、番組の責任者としてサブ(サブ・コントロール・ルーム:音声などを調整する操作室)にいて生放送の進行状況を確認してさまざまな判断をしたり、一方、出演者の方々への対応もあり…。われわれの仕事は同時多発的にあるので、それぞれの持ち場でしっかりと生放送の番組を進める必要があります」
―そうでしたね。生放送の本番中なのに金山さんが別室で打ち合わせされていて驚きました。
金山「生放送ではさまざまな想定外の状況が発生することもあり、プロデューサーが対応しています。後藤Pとは“あうんの呼吸”というか、お互いの状況を察知して臨機応変に支え合う、信頼のチームワークができている思います」
後藤「そう言っていただけるとうれしいです…! ありがとうございます!」
―少し話が戻りますが、金山さんは「芳雄のミュー」の前からミュージカル番組に携わっていらっしゃいましたよね。
金山「2014年に初めてWOWOWで『トニー賞授賞式』の生中継を開始したのですが、一番の課題ははっきり分かっていて。日本では、映画の『アカデミー賞』、音楽の『グラミー賞』と比較して、ミュージカル・演劇の『トニー賞』には認知度がほぼありません。この『トニー賞』をどんなふうに皆さまにお伝えして知ってもらうか…。
“ミュージカル界のプリンス”である井上芳雄さんが、スペシャル・サポーターとしてご出演いただけることになり、うれしかったことを覚えています。それから10年間、トニー賞授賞式に関わってくださって。芳雄さんが舞台だけでなく映像やさまざまな場所でのご活動を通してミュージカルを広めてくださって、それが『トニー賞』にも波及してきていると思いますし、手応えを感じています」
後藤「『芳雄のミュー』というタイトルは、芳雄さんが最終的に決めてくださいました。たくさんのタイトル候補があったのですが、われわれの中では『芳雄のミュー』は、正直なところ一番ダークホースな案でした…!」
金山「タイトルの覚えやすさや音の響きのかわいらしさ、親しみやすさが芳雄さんの中での決め手になったのかなと思います。その後、あっという間にいろいろな方から『「芳雄のミュー」見ていますよ!』などお声がけいただくこともあって、タイトルが浸透しているのを実感して、芳雄さんの先見の明だなと思いました」
後藤「第1回放送の時に、芳雄さんが番組タイトルについて『ミュージカルの“ミュー”と、フランス語で“素敵・より良い”という意味の“ミュー”、あと英語でネコの鳴き声』と説明されていましたが、このタイトルを出したスタッフの想いとしては、芳雄さんがミュージカル俳優を志すきっかけが、小学生の時にご覧になったミュージカル『キャッツ』だったという“ネコつながり”というのもあるようですよ(笑)」
―スタジオにもテーブルの上にネコのオブジェがあったり、壁にネコの絵も飾っていましたよね。時折入る効果音もネコの鳴き声ですね。
金山「演出スタッフさんの遊び心です(笑)」
“生放送”であることの意義
―これまでのミュージカル番組は収録でしたが、「芳雄のミュー」を生放送にした理由を教えてください。
金山「生放送でいきたいというのは、芳雄さんからのアイデアでした。WOWOWとしては2017年から制作していた『グリーン&ブラックス』が終了することになり、コロナ禍にあって、この3年くらいのミュージカルファンの方々の鬱屈とした想いを突破していく…より楽しくミュージカルをお届けしたい、そこにどんな番組が必要なのかと議論したときに、芳雄さんからいただいたのが、『僕は生放送をやりたい』という言葉でした。芳雄さんはいつでも一歩先を見通していて、われわれを一歩先に連れて行ってくださるんです」
後藤「芳雄さんに導かれてここまで来た、という感覚はありますよね。ただ、その後が大変でしたね…社内でも『ミュージカル番組の生放送!?』と驚かれたり(笑)。『トニー賞授賞式』などアワードやスポーツの中継で、生放送番組の放送はしていますが、毎月約1時間のミュージカル番組の生放送というのはWOWOWでも初めての試みでした」
金山「でも、こういった新しい試みを面白がって挑戦させてくれて、応援してくれるWOWOWの体質は、本当にありがたいなって思います」
―生放送は井上さんからのご提案だったんですね! あと、午後10時からのスタジオでの生放送は観客に一部参加していただいていますよね。これは番組の企画段階から想定されていたんでしょうか。
後藤「はい。最初から想定していました。お客さまの満足度の向上というところだったり、2016年の『トライベッカ』のときからWOWOWのミュージカル番組をずっと見てくださっているミュージカルファンの方も多くいらして、その恩返しという意味もありました」
金山「ミュージカルを見に行かれる方は、その日その時その場所でしか体験できない生のエンターテインメントを好んでいると思うので、生放送はもしかしたらそれに近いんじゃないかと。ミュージカルファンの方に実際に生放送を“体験”していただく機会になるのではと思ったんです。毎回限られた人数で、スタジオに入れるのはオープニング演出部分だけなのですが、少しでも“体験”を提供しようと、お招きすることになりました」
後藤「オープニングは、芳雄さんの“プリンスロード”がヒントになっていましたよね」
金山「コロナ禍以前、芳雄さんのファンの方が公演後に出待ちの列を作るんですけど、数百人の花道になって。芳雄さんがその間を通りながらファンの方と握手したり交流されていたのを、“プリンスロード”と呼んでいたんです」
―オープニングの観客の花道はその流れなんですね!
では、ゲストや歌唱する楽曲はどのように決めているんでしょうか?
・・・
【インタビュー<後編>へ続きます!】
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