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WOWOW本社がドラマのロケ地に!? 「連続ドラマW 誰かがこの町で」撮影現場見学リポート&プロデューサーインタビュー

 皆さまこんにちは、note編集部の島本です。

 12月8日スタート、毎週日曜 午後10:00に放送・配信中の「連続ドラマW 誰かがこの町で」WOWOWオンデマンドでは全4話配信中)はご覧いただいていますでしょうか。
 町の住民たちの同調圧力による、行き過ぎた行動に恐ろしさを感じながら、もしも自分がこの登場人物の立場だったらどう行動するだろうか…と考えさせられます。

 今回、本作のクランクアップ日の撮影現場にnote編集部がお邪魔させていただきました! ドラマファンの方なら、普段見ているドラマの撮影がどのように行なわれているのか、気になるのではないでしょうか?
 この記事では、現場の写真とともに、そのときの様子をお伝えいたします!

※最終話の現場リポートのためネタバレを含みます! ご注意ください。

「連続ドラマW 誰かがこの町で」撮影現場見学リポート

 2024年4月某日。「連続ドラマW 誰かがこの町で」のクランクアップ(撮影終了)の日。

「連続ドラマW 誰かがこの町で」の台本(右)とカット割りが書かれた割本(左)

 この日は、最終話のとあるシーンの撮影を、われわれが普段働いているWOWOW本社で行なうということで、特別に撮影現場にお邪魔させてもらいました。(実は、WOWOW本社はさまざまなオリジナルドラマの撮影で使われており、過去には「連続ドラマW コールドケース3 ~真実の扉」や「連続ドラマW 東野圭吾『ゲームの名は誘拐』」などでも使われています!)

 本作の廣瀬眞子プロデューサーに聞いたところ、ドラマ撮影は通常、以下の流れが一般的とのこと。

① 段取り:監督を含む現場スタッフと出演キャストで、セリフの読み方や動き方をシミュレーション&お芝居をテスト
② カメラテスト:本番と同じように実際にお芝居をし、各部問題がないかチェック
③ 本番:撮影本番。必要に応じて、何度か撮り直すことも

 この日は、2つのシーンを撮影。1シーン目は、江口洋介さん演じる真崎雄一が、自身の過去の罪と向き合うことを決意し、岩田喜久子(鶴田真由さん)と会話するシーン。普段、私たち社員も使っている打ち合わせスペースで撮影が行なわれました。

WOWOW社員の打ち合わせスペースで撮影!

 段取り確認の段階で、このセリフはどの方向を向いて、どこに立って話すのがいいかなど、細かい点までその人物の心情に沿って真剣に監督と俳優さんで話し合われているのが印象的でした。

 その後カメラテストを経て、いざ本番。カット割りごとにカメラの位置を変えて、同じシーンの撮影を何度か繰り返すのですが、同じ演技を何度も繰り返される俳優の皆さんのプロフェッショナルな姿に感動しました…!

 本番中は、監督は別室のモニターでチェックされています。

モニターチェック中の佐藤祐市監督ら

 少しでも本編とは関係のない音が入ってしまうと撮り直しになってしまうため、本番中は現場全体に緊張感が漂っていました。

 2シーン目は、真崎が記者会見の会場に入り、いよいよ会見が始まるというシーン。傍らには、真崎を見守る麻希(蒔田彩珠さん)の姿もあります。最終話のラストで描かれるこのシーンの撮影終了をもって、クランクアップとなりました。

 この記者会見に使用された場所も、普段はWOWOW社員が打ち合わせをしている会議室。マイクなどの小道具が設置されると、いつもの会議室がまるで本物の記者会見場のようでした…!

WOWOW本社の会議室を記者会見の会場にアレンジ
記者会見シーン(最終話場面写真より)

 そして、このシーンの撮影終了後、「クランクアップです!」の声を合図に、現場スタッフから江口さん、蒔田さん、鶴田さんに花束をプレゼントし、皆さんからごあいさつがありました。

 それを聞いているスタッフさんたちの表情も柔らかく、長い準備期間・撮影期間でさまざまなことを一緒に乗り越えてきたチームならではの、温かい空気に包まれていました。

クランクアップの記念撮影

 完成したドラマ本編を見ていて、真崎と麻希の2人の間に流れる空気感がまるで本物の親子のようだな、と感じましたが、カメラが回っていない、素の状態の江口さんと蒔田さんの姿にも、親子のような絆を感じました。

 ここまで、撮影現場の様子をお伝えしましたが、後日、廣瀬プロデューサーに改めて本作の見どころや現場の裏話について、さらに掘り下げてお聞きしましたので、ここからはその内容をお届けしたいと思います! こちらもぜひお楽しみください!

『町』を主役として見せたい—プロデューサーが語る“こだわり”とは?

真崎雄一役の江口洋介(左)と望月麻希役の蒔田彩珠(右)

―今回のドラマは『町』が重要なテーマでしたが、ロケ場所はどうやって探したのでしょうか?

廣瀬「この作品は『町』が主役だと思っていたので、福羽地区のロケ地にもこだわりたく…ただ、われわれのイメージ通りかつ撮影OKなロケ地を探すのが本当に大変でした…。制作部さんがいろいろな地域を回ったのですが、作品の中で“怪しい町”として映る面もあるので、撮影でその地域の住民の方のご理解や賛同をいただくのに時間がかかりましたね。
 ご協力いただける地区が決まり、大塚寧々さん演じる木本千春の家とその隣の望月家が2軒隣り合わせた家で、なおかつ、すぐ近くに公園があるという設定を探すのがなかなか大変だったんですけど、住民の方はもちろんのこと、近隣の皆さまのご協力も得て、撮影させていただきました。
 ちなみに、木本家や望月家の内装は、また別でハウススタジオをお借りして撮影させていただきました。たとえ撮影場所が異なっても、屋外と室内で印象が変わらないようにする工夫が随所にちりばめられています」

福羽地区のロケ地では、木本家・望月家の外観や玄関を撮影

―この作品ならではの“こだわり”を教えてください。

廣瀬「現代と過去の描写が構成として大きく分かれているのではなく、交互に入り交じりながら見せていく作品なので、それぞれの違いを色調で出せるよう意識しました。また、『町』を主役に見せたかったので、第1話の冒頭やエンドロールでの、ドローンを使って町全体を引きで見せるという映像演出は、佐藤監督もわれわれも最初から考えていました。江口さんが最初に車で町に入っていくカットでも、都会から少し離れたところにある町の“ひっそり感”が伝わるように意識しましたし、『どこかにこんな町が本当にありそう』とリアリティーをもって遠過ぎない、身近な場所にも感じてもらえるといいなと。
 あと、さまざまなカメラやレンズで撮影したのもこだわりの一つですね。撮影の高田陽幸さんのこだわりや技量も随所に見受けられます。国内で初めてドラマ撮影で使うレンズもありました。例えば、第1話で真崎が初めて「美しが丘ニュータウン」に足を踏み入れて入った古本店では、その新しい超広角レンズを使用しています。狭い書店の中にたたずむ書棚たちの威圧感が強調され、その“不穏な雰囲気”は外から来た真崎が感じる不安や圧迫感を表わしているかのよう。また、対極ともいえるズームレンズを使用した町中のシーンも印象的でした。
 最終話の望月一家への襲撃シーンから、千春が麻希を養護施設に預けるシーンまでは“オールドレンズ”といわれる特殊なレンズを使っているんです。こちらは回想シーンでもあるんですが、その時は現在軸では千春は亡くなっていて、もう語り部が誰もいない…ともすれば“神視点”にもなってしまうんですね。なので、ここから逆望遠鏡のような“オールドレンズ”を使用しています。撮影素材は画面の四隅が丸くうっすら影になっていて、さらにレトロな雰囲気が醸し出るノイズもいいあんばいでのっていて。第3話で亡くなってしまった千春が残した“想い”を表わすような映像になったのではと思います。このような繊細な表現をしていただけた、高田さんや佐藤監督にも感謝です。視聴者の皆さまにもぜひ、こういった映像の違いを楽しんでご覧いただければと思います」

最終話での回想シーンは必見

—作品全体を通して伝えたかったことは何でしょうか。

廣瀬「集団コミュニティでの同調圧力や忖度そんたくが行き過ぎてしまった究極の例がこの作品ですが、例えば、同じ教室や職場、マンションの管理組合だったり、ご近所付き合いだったり…コミュニティの規模は問わず、人と人とが触れ合うことで起きる人間関係から発生する同調心理は、誰にでも当てはまると思うんです。なので、視聴者の皆さまにも必ずこの作品の登場人物の中の誰かには共感ができるポイントがあるのではないかと思っていて。視聴者の皆さまの生活に落とし込める、意外にも身近なテーマの作品だと考えています。
 そしてもう一つのテーマは『親と子』です。真崎は子どもを亡くしており、一方の麻希は『自分は親に捨てられた』と思いながら孤独に育ってきた子で、もうひとりの主人公ともいえる千春は愛する子どもを殺害され失ってしまう。そして鶴田真由さん演じる喜久子も、親の圧力によって自らの行動を変え、友人を助けることができなかった…など、本当にいろいろな“親子像”が出てくるんです。
 真崎と麻希も本物の親子ではないけれども、特別な絆を感じてもらえるように、2人の距離感には本作りの時からかなり意識をして制作していました。過去の傷や罪と向き合って前に進む人たちが、自分たちの未来のために胸を張って一緒になって一歩踏み出すその姿に、パワーをもらえる視聴者の方々も多いはずです。そして、特別な体験や感情で結ばれた真崎と麻希の姿から、親と子を超えた関係性を何か感じてもらえたらと思います」

—ほかにもここは見てほしい! という見どころはありますか?

廣瀬「主人公の江口さん自身はとてもエネルギッシュな方なんですが、今回の役はとても複雑で難しい役を演じ切っていただけたと思います。現場では佐藤監督と江口さんが、例えば歩き方だったり、飲み物やおしぼりをテーブルに置く所作まで一つ一つ細かく話し合って主人公像を作り込んでいたことが印象的でした。いつもと違う主人公ですが、“一歩引いた”江口さんが見られるのも、この作品の見どころの一つですね。
 それに対して、町の異様なキャラクターをWOWOWドラマにはたびたびご出演いただいている、宮川一朗太さんや尾美としのりさんらが、ベテラン俳優さんならではの空気感で演じてくださっているので、江口さんとのお芝居のバランスも楽しんでいただければと思います」

—貴重なお話をありがとうございました!

終わりに…

 このコラムでは、初めてのドラマ撮影現場見学リポートをお届けしましたが、いかがでしたでしょうか?

 ドラマには多くのスタッフの方々が関わっていて、多大な準備を経て、作品が出来上がるということは何となく知っていましたが、今回、実際に撮影現場にいらっしゃる多くのスタッフさんの姿を目にし、本番に向けて、当日もそれぞれの役割をまっとうして準備をされていることを知り、こんなに多くの人の仕事の上にドラマが作られているのか…と肌で感じて、いち視聴者としても感動を覚えました。

 そんな現場の熱量を伝えるお手伝いがこれからもできたら何よりです。
 2025年以降も、WOWOWオリジナルドラマは皆さまにお楽しみいただける作品を続々放送・配信予定です! 今後も、さまざまなドラマの撮影現場の様子をお伝えできたらと思っておりますので、お楽しみに!

【島本プロフィール】
入社6年目。
幼い頃から大のドラマ好きで、好きなセリフはノートに書きためています。
いろいろなテイストのドラマを見ますが、ちょっと生きづらい人の背中を押してくれるような温かいドラマが特に好きです

▼「連続ドラマW 誰かがこの町で」の詳細はこちら

▼「連続ドラマ 誰かがこの町で」をWOWOWオンデマンドで今すぐ見る!(2025年1月14日(火)まで、第1話無料配信中!)

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