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安田菜津紀「観て、学ぶ。映画の中にあるSDGs」

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SDGs(Sustainable Development Goals)とは、2015年9月の国連サミットにて全会一致で採択された、2030年までに持続可能でよりよい世界を目指す1… もっと読む
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#ウクライナ

ウクライナからの難民を取材するため訪れた地で、目の当たりにした「命の線引き」――『アンネ・フランクと旅する日記』が教えてくれること

文=安田菜津紀 @NatsukiYasuda  今回取り上げるのは、『戦場でワルツを』('08)のアリ・フォルマン監督がアニメーションで独自の世界観を描き出し、第34回ヨーロッパ映画賞の長編アニメ映画賞にノミネートされた映画『アンネ・フランクと旅する日記』('21)。  第2次世界大戦下のホロコーストによって15歳で命を落としたユダヤ人少女、アンネ(声:エミリー・キャリー)が綴った日記、「アンネの日記」。その日記に出てくる空想上の友達、キティー(声:ルビー・ストークス)が

クラウス・バルビーがののしった、性的マイノリティーの人々やロマの人々は、その後、どうなったのか――マルセル・マルソーの実話を、「知る」ための入り口に

文=安田菜津紀 @NatsukiYasuda  今回取り上げるのは、ナチスドイツにあらがった一人の若者の実話を基に描かれた『沈黙のレジスタンス~ユダヤ孤児を救った芸術家~』('20)。  SDGsの「目標10:人や国の不平等をなくそう」「目標16:平和と公正をすべての人に」を軸に、第2次世界大戦や今起きている戦争で、よりかき消されがちな声のことを考えます。 (SDGsが掲げる17の目標の中からピックアップ) 当時、ナチスドイツの迫害の対象になったのはユダヤ人だけではな

核兵器が再び現実の脅威として突きつけられている今、考える――人の声には、世界を数センチずつでも、着実に前に進める力があるはずなのだ

文=安田菜津紀 @NatsukiYasuda  今回取り上げるのは、太平洋戦争中、日本で実際に進められていた“原爆研究”を基にした『映画 太陽の子』('21)。  若き研究者たちは葛藤しながらも、「この研究で戦争が止められるかもしれない」と実験に邁進した。核兵器が再び現実の脅威として突きつけられている今の社会に何を投げかけるのか。SDGsの「目標16:平和と公正をすべての人に」と共に考えたい。 (SDGsが掲げる17の目標の中からピックアップ) 核兵器廃絶へ新たな一歩

暴力には毅然と「NO」と言える輪を――映画から考えるロシアによるウクライナへの軍事侵攻

文=安田菜津紀 @NatsukiYasuda  今回取り上げるのは、第79回アカデミー賞で国際長編映画賞の前身となる外国語映画賞を受賞したドイツ映画『善き人のためのソナタ』('06)。  東西冷戦末期の東ドイツを生きる表現者たちには、常に権力者たちの監視の目がつきまとう。言論の自由が奪われる危機感は、現在のウクライナとロシアを巡る動きにも重なるものがある。SDGsの「目標16:平和と公正をすべての人に」「目標5:ジェンダー平等を実現しよう」を切り口に、この映画から今、世界