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映画のはなし シネピック

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新しい映画と出会える。映画をより深く楽しめる。そんなコンテンツをお届けしていきます。担い手は、映画ライターSYOさんなど個性豊かな面々。それぞれの感性が作り出す映画愛は必見です!… もっと読む
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2020年10月の記事一覧

監督との最良の出会いで、佐藤健は変わり続ける  #シネピック映画コラム

マガジン「映画のはなし シネピック」では、映画に造詣の深い書き手による深掘りコラムをお届け。今回は映画ライターのSYOさんが「佐藤健×実力派監督」をテーマに、その“進化”を紐解くコラムです。 文=SYO @SyoCinema  近年ますます覚醒した感がある、人気実力派俳優・佐藤健。映画・ドラマ・CMはもちろん、YouTubeや公式LINEなどなど、多方面に活躍の幅を広げている。自身の代表シリーズである「るろうに剣心」最終章の公開は、新型コロナウイルスの影響で2021年に持

ポン・ジュノ作品の助監督を務めた、ただひとりの日本人 片山慎三監督が語り尽くす“ポン・ジュノの世界”

【片山慎三監督が語る】ポン・ジュノ監督の魅力  僕が最初に観たポン・ジュノ作品は、『殺人の追憶』(’03)です。DVDで初めて観た時に、ものすごい衝撃を受けたんです。「でもこれ、日本でも作れるな」って思ったんですよね。もちろん、いざ撮るとなったら難しいカットもあるんですけど、きっと頑張れば日本でも撮れるくらいの予算で撮っているし、「日本でもやれたはずなのに、どうして日本ではできないんだろう?」って、正直悔しさもありました。『シュリ』(’99)とか『JSA』(’00)みたいなス

ミニシアターに愛をこめて。極私的90年代青春記

文=よしひろまさみち @hannysroom 東京生まれ東京育ち、映画観るならだいたい銀座  1990年代、ミニシアター・ブームの頃、あたしは高校生~大学生という、自発的に興味のあることをガツガツやり始めた時期。情報源といえば、映画雑誌や女性誌のカルチャー特集、それに情報誌の細かい番組表で、毎週のように出版されるそれらを読み込んで、どこで何が上映されているかをチェックしたものです。  幸い、東京生まれ東京育ち、高校は渋谷という、今にして思えば映画を観るための好条件がそろっ

スピードワゴン・小沢さんが絶賛する製作費300万円の低予算映画。心を撃ち抜かれたセリフとは?

取材・文=八木賢太郎 @yagi_ken ──今回はインディペンデント映画の『メランコリック』です。 小沢一敬(以下、小沢)「この監督、これがデビュー作なんでしょ?」 ──田中征爾監督の長編映画デビュー作ですね。しかも、かなり小規模に作られた映画らしく。撮影期間も10日間、製作費は300万円らしいです。 小沢「え~っ!? 300万円でこんな映画が作れるんだ。クラウドファンディングで予算を集めたっていうのは見たけど、そんなに低予算で。すごいね」 ──ホント、いろいろす

子どもが笑えない社会は、豊かな社会とは言えない―― 1本の映画から今、切に思うこと

文=安田菜津紀 @NatsukiYasuda  今回取り上げるのは、韓国映画『幼い依頼人』('19)です。  壮絶な虐待と、子どもたちを守る術の乏しさを、この映画は鋭く突き付けます。日本でも虐待死の事件が起きる度に、「なぜ防げなかったのか、何が足りなかったのか」と議論がなされます。「目標16:平和と公正をすべての人に」「目標5:ジェンダー平等を実現しよう」とともに、子どもたちを守るために求められていることを考えます。 (SDGsが掲げる17の目標の中からピックアップ)