放送の前に、ぜひ読んでいただきたい長く熱いライブ感想レポート——「宮本浩次 Birthday Concert 2023.6.12 at ぴあアリーナMM『my room』」
【社内スタッフSによる 2023.6.12 宮本浩次「my room」 ライブレポート】
ステージには革張りの黒いソファと、ギターが2本。コップに注がれてテーブルに置かれた水と、花瓶に挿した赤いバラ。10,000人のキャパが超満員となったぴあアリーナMMはこの日、宮本さんと私たちだけの“小さな部屋”でした。
開演時間の19時過ぎ。楽屋からステージまでの道のりを宮本さんが悠々と闊歩するiPhone画面の映像がオープニングで流れ、「通りを越え行く」からライブがスタート。宮本さんのライブは音源とは別物のド迫力に満ちていたこともあり、この日は「生まれて初めて音楽に触れた人間」かのような感動を、終始かみしめていました。
「解き放て、我らが新時代」や「悲しみの果て」など、ソロ名義、エレファントカシマシ(以下、エレカシ)名義こもごものパンチの効いたセットリストが続く中、特に胸が熱くなり、その感動が涙となってあふれてしまったのは、第1部終盤の「夜明けのうた」。序盤はライブタイトルにちなんで「部屋」にまつわる歌詞が多かったように思いますが、この曲では「部屋」ではなく「町」「世界」など、もう一歩自分のテリトリーを広げてなお、丸ごと愛していこう、というような慈しみ深い歌詞。そしてそれらをなぞる力強い宮本さんの歌声に、これでもかというほど心を打たれました。
57歳の誕生日を迎えた宮本さんと同じく、(私事で恐縮ですが)この日新しい年齢になった自分のこの先の未来がどんな形であっても、歩みを止めずにしゃんと背筋を伸ばして生きていこう。そんなふうに、強く背中を押されて、励まされるような気持ちでいっぱいになりました。併せて、今年泣いたシチュエーションの中で、間違いなく一番透明度が高くきれいな涙だ、という謎の自負も生まれました。
さらに感激したのが、前回のライブ「ロマンスの夜」同様に、アンコールぐらいでやるのかな、と思っていた大好きな「冬の花」が、その後すぐ披露されたことです。ギター1本での演奏から始まったので、今回は独奏バージョンかと思いきや。サビが近づくにつれ音色が増え、メインステージから花道にかけてたくさんの赤い花びらが降り注ぐと同時に、フルオーケストラの壮大なバックミュージックに変わり、メインよりも客席に近いセンターステージに、宮本さんが現われました。
「夜明けのうた」の涙がまだ乾き切っておらず、心の準備が…と慌てながらも、目が潤んだままで視界がぼやけてしまうのは非常にもったいないので、何度もまばたきして視界を広げながら、その圧巻のパフォーマンスを目に焼き付けました。熱く、激しく、切なく、愛おしい。ご本人も「やればやるほど名曲ですね」というようなことをその後のMCでおっしゃっていたように、まさに宮本浩次というソロ活動を代表する、「原点にして頂点」の曲だ、と改めて感じさせられました。
いずれ私の命が花と散る日が来るならば、川を渡った向こうの世界でもいつまでも聴き続けられるよう、何とかしてこの曲を持っていきたい。本気でそう思えるくらいの、すばらしい曲だと思います。
ソロでもエレカシでもオリジナルでもカバーでも、この日披露された楽曲はどれも多くの人に知られ、たくさん愛された既存の曲、のはずでした。だけど宮本さんが奏でる音はすべて、今この瞬間に初めて産声を上げ、この世に生まれたばかりのような真新しさとみずみずしさにあふれていたことに驚きを隠せませんでした。
言い換えるとこのバースデーライブは私たちファンにとって、この世に宮本浩次が生まれたことの祝福と同時に、数々の「新しい音楽の誕生」の目撃すら叶う、奇跡のような生誕祭だった、ということなのかもしれません。
今回私が体験したライブは、特に印象に残った2曲へ焦点を絞り、その感想をメインに書かせていただきました。終始興奮しながら観ていて頭の中が空っぽになってしまっていたので、実際の演出と異なる記述がありましたら申し訳ございません。来たる8月27日(日)のオンエアが、この日会場に集まった多くのファンの方々と、会場に行くことができなかった、宮本さんを愛するすべての方に届くのが本当に楽しみです!
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