「パンドラの鐘」一挙放送、荻野清子コンサートにエリザベート。そしてミュージカル版「北斗の拳」がやって来た! 10月の必見舞台!
【Don't miss out! 10月のWOWOW舞台・番組7選】
① ミュージカル「フィスト・オブ・ノーススター~北斗の拳~」(2022)
[大貫勇輔×平原綾香×福井晶一 Ver] 9月23日(土・祝)午後8:00
[大貫勇輔×May'n×永井 大 Ver] 10月7日(土)午後4:00
※アーカイブ配信あり
今も全国のファンを魅了する本作の原作漫画「北斗の拳」。今年40周年を迎えました。最終戦争により文明社会が失われ、暴力が支配する世界となった世紀末を舞台に、北斗神拳の伝承者・ケンシロウが、救世主として成長していく姿が描かれます。一子相伝の北斗神拳、断末魔の叫び・悲鳴(「ひでぶ」や「あべし」)、そして「おまえはもう死んでいる」に代表される名ぜりふの数々…まだお読みになっていない方も、聞けば「ああ!」となるキーワードが並ぶのではないでしょうか。
楽曲を手掛けるのは、「ジキル&ハイド」「デスノート THE MUSICAL」などで知られるフランク・ワイルドホーン。一度聴いたら忘れられないメロディーとダイナミックなコーラスで、弱肉強食の時代を生き抜く人々の魂を描きます。
ダンサー・俳優として舞台でも映像でも活躍する大貫勇輔がケンシロウを演じます。回し蹴りや「あたたたーっ!!」でアクロバティックな動きを見せる体は美しく、ケンシロウは攻撃力があるだけでなく、愛と悲しみを背負い戦っていることを思わされます。
この舞台で描かれるのは主に原作の第1部に当たるストーリーです。9月23日(土・祝)に放送・配信されるバーションでは、ユリア役を平原綾香、ラオウ役を福井晶一が演じます。一方、10月7日(土)放送・配信のバージョンでは、ユリア役はMay’nが、ラオウ役は永井大が演じます。このほかに、トキ役の小西遼生、レイ役の三浦涼介、ジュウザ役の伊礼彼方と上川一哉…と豪華キャストがそろっています!
中盤のあるシーンで、荒廃した土地で恐怖におびえている人々が、少女リンの一言から少しずつ希望を見出して顔を上げていく大合唱があります。強く印象に残りました。振動が客席の後方まで伝播するようでした。舞台が描く“生命力”に触れたい、という方、必見です!
▼「ミュージカル「フィスト・オブ・ノーススター~北斗の拳~」(2022)」の詳細はこちら
② パンドラの鐘 一挙放送 10月12日(木)
昨年放送して話題となった「パンドラの鐘」。昨年10月号でも紹介しましたが、今回もイチオシさせていただきます! 1999年の2バージョンと2022年のバージョンの合計3本をお届けします。
「パンドラの鐘」成田凌×葵わかな 作・野田秀樹 演出・杉原邦生 成田凌 葵わかな 前田敦子 玉置玲央 大鶴佐助 柄本時生 片岡亀蔵 南果歩 白石加代子 10月12日(木)午後7:00
1999年に野田秀樹が蜷川幸雄に書き下ろし、2つの劇場で同時期に上演された伝説の戯曲。NINAGAWA MEMORIALと題し23年ぶりに東京・Bunkamuraシアターコクーンで上演されました。
演出を務めたのは、プロデュース公演カンパニー・KUNIOの主宰として、アングラ、古典、シェイクスピアとさまざまな作品に独自の解釈で息を吹き込む杉原邦生。今回も大胆な色彩の変化で2つの世界を創り上げていました。私は劇場に入った瞬間、吸い寄せられるような空白遣いのセットに圧倒されました。
成田凌演じるミズヲのモノローグで息遣いや気迫がビンビン伝わります。この顔触れだからこそ生み出せる新しい「パンドラの鐘」との出合いをお楽しみください。
そして!
NODA・MAP版「パンドラの鐘」(1999年) 10月12日(木)午後9:25
蜷川幸雄演出「パンドラの鐘」(1999年) 10月12日(木)午後11:25
NODA・MAP版は東京・世田谷パブリックシアターで、蜷川幸雄演出版は東京・Bunkamuraシアターコクーンで同時期に上演されました。昨年、こちらの放送について書いた際、本当に多くの演劇ファンの皆さまから「胸アツ」な共感のお声をいただきました。
私はNODA・MAP版→蜷川幸雄演出版と放送順に拝見したのですが、そのままもう1周したくなりました。それぐらい、鐘を巡る言葉と壮大な物語にのみ込まれます。
NODA・MAP版では、表現の解釈をいろいろと想像しながら深く古代と現代を行き来する物語の世界に取り込まれていく感覚を覚えました。笑ってしまうシーンと、演出の点と点が線でつながり(「この素材がシーンが変わるとこういう意味を持つんだ!」と気付くみたいな)衝撃を受けるような瞬間がありました。
蜷川幸雄版では、熱のこもった感情の表現に圧倒されました。特に後半のミズヲとヒメ女のせりふ表現では、彼らがおなかの底に抱えていた願いや祈りが時代を超えて劇場に響いていると感じました。
どちらも演劇表現でできることは無限なんだなと思わせる世紀末の名作です。
▼パンドラの鐘 一挙放送の詳細はこちら
③ ミュージカル「エリザベート」コンサート in シェーンブルン宮殿 10月18日(水)午後11:45
こちらも昨年初放送の際に紹介いたしましたが、見逃せない作品なので再度紹介させてください! 昨年、初演から30周年を迎えたウィーン生まれの世界的ヒット・ミュージカル「エリザベート」(作:ミヒャエル・クンツェ&シルヴェスター・リーヴァイ)。本作は、昨年の6月、7月にシェーンブルン宮殿にてコンサート形式で行なわれた公演です。
宝塚版(1996年初演)では、小池修一郎がトートを主役に潤色・演出をしました。ウィーン版、宝塚版、東宝版ほかそれぞれに演出の違いがあるのも「エリザベート」の特徴ですね。
今回、シシィ役を務めるのはマヤ・ハクフォート(オーストリア皇妃)とアブラ・アラウィ(エリザベートの少女時代)。アブラ・アラウィは声やちょっとした仕草含めて少女の表現が非常に豊かでした。マヤ・ハクフォートは、年齢を重ねて抱えるものが深くなったエリザベートの緊迫感を歌声や目つき、背中と全身で表現していました。1,000回以上シシィ役を演じていて来日もしていますね。日本にもたくさんファンがいらっしゃる方です。この2人が演じるのを見られるのはとてもぜいたくです。
トート(死)を演じるマーク・ザイベルトは声色が多様かつ本当によく伸びていて、「最後のダンス」も「闇が広がる」も何度も見てしまいました。しばらく歌声が離れなくなります。「エリザベート」でいつも楽しみなのが狂言回しの役回りも担うルイジ・ルキーニ。今回演じるダフィット・ヤーコプスのパワフルなパフォーマンスは、市民の足元からふつふつと湧き上がってきた熱と恐ろしさが合わさったような印象的なものでした。
エリザベートのキャラクターには概念や歴史などが込められていて、見るたびに考察が変わり楽しいです。本場ウィーンでの演奏を心ゆくまでお楽しみください。
▼「ミュージカル『エリザベート』コンサート in シェーンブルン宮殿」の詳細はこちら
④ 荻野清子GoGoコンサート~三谷幸喜を歌おう~ 10月28日(土)午後7:15
数多くの三谷幸喜作品を音楽で彩ってきた、作曲家でピアニストの荻野清子のアニバーサリーコンサート。荻野は三谷が手掛けた映画『ザ・マジックアワー』『ステキな金縛り』『清須会議』ではそれぞれ日本アカデミー賞優秀音楽賞を受賞。三谷作品には欠かせない存在となっています。「ショウ・マスト・ゴー・オン」の声の小さなピアニストという役どころほか三谷作品に出演していたこともありますよね。
荻野による音楽は、それぞれのドラマに寄り添いながらも、常にほっとする感じ、朗らかさのようなものがあるな、と思います。三谷作品が幕を開けて最初の音楽が聞こえてくると「あぁ、また楽しい世界が始まるんだな」とドキドキします。
私が特に好きなのは、2017年に上演された「子供の事情」の楠小学校の校歌であり「東京サンシャインボーイズ『returns』」にも登場した楽曲です。見ていらっしゃる方なら、聴けばすぐに分かるのではと思います。とても印象的な曲です。
三谷作品はたくさんの笑いの後で心温まるエピソードが待っていて最後には少し泣いてしまうことが多いのですが、荻野楽曲はそれを包み込む存在です。「子供の事情」は、天海祐希、大泉洋、吉田羊、小池栄子、林遣都、青木さやか、小手伸也、春海四方、浅野和之、伊藤蘭という豪華キャストが小学4年生を演じるのですが、楽曲がかわいくて10人が歌うと本当に小学校から聞こえてくる歌のようで…。もう一度見たい1本ですよね。コンサートでは演奏されたのでしょうか…? ぜひ確かめてみてください♪ イントロで「ああ、あの作品だ!」と反応するのはこういったコンサートのだいごみですよね。
ゲストは、三谷幸喜はじめ、川平慈英、シルビア・グラブ、堀内敬子、戸田恵子と三谷作品にもよく出演する豪華俳優陣が勢ぞろい。「これはコンサートというよりショウなのでは!?」という愉快な仕掛け満載で、会場は笑いと歓声につつまれていました。
音楽で見ていく三谷作品ジャーニーのような感じになり楽しかったです!
チケットが5分で完売した1日限りのプラチナステージ、お見逃しなく!
▼「荻野清子GoGoコンサート~三谷幸喜を歌おう~」の詳細はこちら
さらに、荻野の生演奏が初めて付いた、三谷作品のターニングポイントともいえる舞台、「コンフィダント・絆」も合わせて放送します(10月28日(土)午後9:30)。
出演は、中井貴一、寺脇康文、相島一之、堀内敬子、生瀬勝久。“果たして芸術家たちの間に友情は成り立つのか”をテーマにした作品です。読売演劇賞はじめ各賞受賞の演劇史に残る金字塔作品をお見逃しなく!!
▼「三谷幸喜『コンフィダント・絆』」の詳細はこちら
この他にも「熱海五郎一座 任侠サーカス ~キズナたちの挽歌~」(10月14日(土)午後11:15)など、多くの作品の放送・配信が予定されています。
【WOWOW舞台全一覧】
以下からご覧いただけます!
【終わりに】
最近プライベートで見た作品の中で印象に残ったのは、果てとチーク「くらいところからくるばけものはあかるくてみえない」、CHAiroiPLIN おどるシェイクスピア「BALLO~ロミオとジュリエット~」、シス・カンパニー「いつぞやは」、アガリスクエンターテイメント「SHINE SHOW!」、「桜の園」、「橋からの眺め」、KPR/開幕ペナントレース「HAMLET|TOILET」などです。
今月も、もう一度見たい作品がある皆さまも、劇場に見に行けなかった作品がある皆さまも、WOWOWステージをお楽しみいただければ幸いです。
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