私の知っている“マリオ”じゃない…!? 観ると元気になる、異色のマリオ実写版映画【#エンタメ視聴体験記/ぼる塾・酒寄希望】
文=酒寄希望
皆さんこんにちは。ぼる塾の酒寄です。
皆さんは任天堂のキャラクター「スーパーマリオ」を知っていますか?
街角アンケートをしたら恐らく「知っている」と、99%の方がこう答えると思います。もしかしたら100%かもしれません。赤い帽子と紺色のオーバーオールを着用し、鼻の下に口ひげを生やしているあの人です。私が今さらこんな質問をしなくても誰もが知っている、世界中で愛されるキャラクターです。では、皆さんはそのスーパーマリオが映画になっていることは知っていますか?
2023年に公開され、もちろん私も映画館に観に行きました。しかし、今回私が質問したのはこちらの作品ではありません。実写映画のマリオです!
皆さん「そんなものはないのでは…?」
実はあるんです! 信じてください! 『スーパーマリオ 魔界帝国の女神』は存在するんです!
『スーパーマリオ 魔界帝国の女神』は、1993年にアメリカで製作されたマリオの実写映画です。アニメーションではありません。私はこの映画に対して苦い思い出があります。子どもの頃にこの作品を観た私は、友人に「人がやっているマリオの映画を観た」と話しました。すると、友人は言いました。
友人「そんなものはない」
私「本当だよ! 本当に観たんだよ!」
友人「そんなものはない」
私はほかの友人にも同じことを言いましたが、全員決まって「そんなものはない」とマリオの実写映画の存在を否定してきました。まだインターネットも今のように普及していなかった時代なので調べることもできず、段々と、
私「もしかしたら、マリオの実写映画は私がつくった幻想なのかもしれない…」
マリオの実写映画は自分の願望が生み出した幻想かもしれないと思うようになり、こうしてこの作品は、私にネッシーを見た人のような体験をさせてくれました。
苦い経験と言いながらもすっかりこの事件は忘れ、大人になった私は、2023年のアニメーション映画化を相方のはるちゃんと一緒に観に行きました。映画館で急にこのマリオの実写映画を思い出し、
私「そういえばマリオの実写映画があるの知ってる?」
はるちゃん「え! そんなのあるんですか?」
はるちゃんはその場ですぐにスマホで検索を始め、
はるちゃん「あ! 本当にあるんですね!」
私「え! 本当にあった!?」
はるちゃん「ほら! 『スーパーマリオ 魔界帝国の女神』!」
マリオの実写映画はちゃんと存在していたのです!
まず、この作品を楽しむに当たり大事なことが一つあります。それは、マリオだけどあのマリオだと思って観てはいけない、ということ。
この点だけ守ればすばらしい時間を過ごすことができます。この映画はお笑い好きな人は抱き締めたくなるほど最高に面白い作品です。
まず、クッパ大魔王が人間です。実写にしたとき、マリオの永遠のライバルであるクッパ大魔王(本家は怪獣のような見た目)をどうするんだろうと考えた方もいると思うので先にお伝えしておきます。
この物語では、隕石衝突によって滅んだと思われた恐竜が、実は別の世界で人類と同じように進化を続けていたという設定になっています。マリオとルイージが暮らす世界(アメリカや日本がある世界)とクッパが支配している世界(恐竜が進化して人になった世界)の2つに分かれて存在します。
クッパはこの2つの世界を支配することを長年の夢にしています。2つの世界を融合させる力を持つ女子大生のデイジーをマリオの世界からさらい、すべてを自分のものにしようと企みます。
なぜ、ただの女子大生のデイジーがそのような力を持っているのか? 実はデイジーはクッパの世界のプリンセスだったのです。クッパの企みに気付いた女王が、マリオの世界にデイジーをあらかじめ逃がしていたのです。しかし、デイジーはそのことを知らないので自分がまさかプリンセスだと思わず、親に捨てられた子どもだと思って暮らしています。
ややこしく感じるかもしれませんが、簡単に言うとクッパにさらわれたプリンセスを、マリオとルイージが助けに行くというゲームのマリオと同じ設定です。
マリオとルイージは異世界にプリンセスを助けに行くことになったのですが、クッパが支配するこの世界はとんでもないです。一見、マリオの世界の人間と同じように見えるんですが、とにかく治安が悪いです。優しそうなおばあちゃんがレーザー銃で撃ってきたり、ルイージがデイジーから託されたペンダント(2つの世界を融合する為の重要アイテム)をただの金目のものと間違われ、空飛ぶジャンピングシューズを履いたマツコ・デラックスさんのような人に奪われたりします。
こんな危ない場所に迷い込んだマリオとルイージは大丈夫なのかと心配する声も上がると思います。実写版マリオはゲームと違い、普通のおじさんです。戦うときは商売道具の配水管工の道具で戦います。ファイヤーを使ったり、きのこで大きくなったりできません。しかし、レンチなど配水管工道具は修繕だけではなく結構武器になるものも多く、視聴者に、配水管工を敵に回してはいけないという気持ちを植え付けてきます。
そして、マリオ自身がクッパの世界出身なのではないかと思うほどに気性が荒いのです。デイジーをさらった悪党二人組に対し、
マリオ「やつらを痛めつけて全身の骨を折ってから殺す」
任天堂のマリオからは想像できない言葉が飛び出してきます。マリオは盗んだパトカーでカーチェイスをし、
マリオ「これこそ運転だ! 最高!」
と、マリオカートでは見せない一面を見せます。そして、工具をうまく使えないルイージに
マリオ「工具は友達! 常におまえの味方!」
と、キャプテン翼を感じさせる名言を突然放ったりし、もう目が離せません。
マリオに負けず、実写版のルイージも素敵です。マリオがおじさんなのに対しルイージは大学生くらいでとても若いです。気弱なところは私たちが知っている任天堂のルイージを感じさせますが、実写版ルイージは腕にタトゥーがあります。ルイージはいつでも自分の直感を信じて地図と真逆の方向を教えてくるのでマリオと視聴者をイライラさせます(そして直感は必ず外れます)。しかし、毎日ビデオゲームをしているからという理由で、異世界で初めて触れるコンピューターを普通に扱えたりと仕事ができる一面を見せたりします。
“本気のおじさんVS人間になった大魔王”
もう、皆さん大分この作品が観たくなってきていると思います。声に出して笑う映画です。この映画の魅力は語り尽くせないのですが、あえてひとつ選ぶとしたら、「観ると元気になる」作品です。マリオとルイージはどんなにピンチなときでも常にちょっと楽しそうなのです。マリオとルイージは二人でいれば最強なんです。私はこの映画を観る直前まで悩み事があり落ち込んでいたのですが、どんな困難にも楽しそうに立ち向かう二人を見て、観終わるころには元気になっていました。
私「この映画は私の知っているマリオではないけど、間違いなくマリオだ。マリオはプリンセスと一緒に私も救ってくれるヒーローだ」
あ、最後にもうひとつ! この作品のヨッシーはかわい過ぎます。
おわりに・・・
「プロジェクト・ランウェイ20」
オシャレに疎いせいか、ハイファッションの良さが分かりませんでした。『プロジェクト・ランウェイ』は世界的人気のファッション・リアリティ・ショーです。今回私が見たシーズン20は過去に番組に出場した各世代のえりすぐりの14人がニューヨークに再結集して究極のファッションコンペをするというものです。いきなりとんでもない回から観てしまいましたが、デザイナーたちの熱きバトルに順番は不要でした。気付くと興奮し、感動していました。テレビなどで目撃したハイファッションの一瞬を切り取り、「理解できない」と遮断している方はこの番組を観ると180度世界が変わると思います!
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『ゾンビーバー』
私はゾンビ作品が大好きです。今までに数々のゾンビを観てきましたが、ついにビーバーがゾンビになるところまで来てしまいました。謎の薬品によってゾンビ化してしまったビーバーたちがイケイケの若者たち(+α)を次々に襲っていくのですが、今まで私が観た中でダムを作って人間たちの行動を封じてくるゾンビは今回が初めてです! さすがビーバー!ゾンビーバーに襲われるさなか、浮気した彼氏と実はその彼氏の浮気相手だった自分の友達と三人きりになるヒロインなど、ゾンビ以外のところも内容てんこ盛りです!ラストにNGシーン集があり、出演者さんみんな仲良しなんだなとほっこりしました。
「SF超大作『三体』」
前回もこちらで紹介したのですが、今私の生活が「三体」中心になるほどハマってしまったので今回も紹介させてください。世界的な大ヒットを記録した劉慈欣によるSF小説『三体』のドラマ化作品です。回を追うごとにどんどん面白くなり、自分がSFというジャンルに苦手意識を持っていたのが嘘のようにとりこになっています。私の中の面白いドラマ歴代一位かもしれません。最初は全30話あったことに対し、「多いな」と思っていたのですが、今は「30話もある! うれしい! 50話くらいあってもいいのに!」と、大切に一話、一話を観ています。好き過ぎてラストを早く観たいけど観たくないという心境です。
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