“サメ×フランケンシュタイン” “パペット人形とサメの夢のコラボ”―。今夏に観たくなる異色のサメ映画たち【#エンタメ視聴体験記/ぼる塾・酒寄希望】
文=酒寄希望
こんにちは。ぼる塾の酒寄です。
皆さん、夏がやってきましたね! サメ映画の季節です! 以前、この連載でサメ映画を取り上げたのですが、なんとその後、私の連載と全く関係ないところでぼる塾の田辺さんがサメ映画にハマりました! ちなみに田辺さんがサメ映画にハマったきっかけとなった映画は『MEG ザ・モンスターズ2』です。
田辺さん「あの日の私は何を思ったのか、この映画を映画館に観に行ったの。普段なら絶対にこの手の映画観ないのに。見たらすごく面白かった! 1を観てないのに2だけ観ても面白かった!」
ありがとう!『MEG ザ・モンスターズ2』!
田辺さんは怖い物が苦手であり、ホラー映画に関しては「KAT-TUNの亀梨和也さんが出ないかぎり観ない」と、言っている人物です。そんな田辺さんが、一応ホラー映画のジャンルに属するサメ映画にハマってくれたのです! サメ映画なんて絶対亀梨さん出ないのに!
今回は『MEG ザ・モンスターズ2』を入り口にし、田辺さんにもっといろいろなサメ映画を楽しんでもらえるようにと、あらゆるサメ映画を紹介します! 皆さんもぜひこの機会にサメ映画を知ってください!
①『シャークトパス SHARKTOPUS』
この作品は間違いなく押さえておくべきサメ映画です。
軍が生み出した体はサメ、足はタコというハイブリッド生物“シャークトパス”の大暴れを描く作品ですが、発想が新し過ぎて驚きました。
皆さん「確かに体はサメ、足はタコのシャークトパスというのは新しいけど、“新しさ”ってそれだけでしょ?」
違います! 確かにこの作品はシャークトパスがメキシコで大暴れするというシンプルなストーリーです。しかし、見せ方が今までにないのです。
この作品はなんと言ってもほのぼのしています。
ほのぼのと言っても決して心優しいシャークトパスと人間の友情を描くといった内容ではなく、シャークトパスは殺人兵器であり、がんがん人を襲いまくるのですが、登場人物全員(エキストラ含めて)が監督から、
監督「ほのぼの演じてください」
と、言われているとしか思えないユルさなのです。シャークトパスに食べられるシーンは、
監督「はい! ここで一番のほっこり! ネコちゃんと戯れる感じで!」
そう演技指導されているとしか思えないほど全く怖くないです。ここまでするのは逆に難しいというくらい緊迫感を消しています。文章じゃ表現できないほのぼのなので、本当に観ていただきたいです。
また、この映画はメキシコが舞台なのですが、メキシコの魅力を引き出し過ぎてメキシコに行きたくなります。メキシコの海や観光スポットの映像がこの映画の3分の1を占めています。私は作品を視聴中、
私「なぜ、こんなにメキシコのすばらしさを存分に挟んでくるのだろう?」
ずっと不思議に思っていました。しかし、途中で気が付きました。
私「そうか! この後登場するシャークトパスの恐ろしさを引き立たせるためにメキシコの楽しげな雰囲気を見せたかったのか! そうだとしたらメキシコの魅力の見せ方がうま過ぎる!」
この映画はメキシコの魅力がシャークトパスの恐ろしさに圧倒的に勝っています。この映画の制作チームが本気でメキシコ観光ムービーを撮ったら、世界中からメキシコに旅行者が殺到するのではないかと思います。
ほかにも、バンジージャンプ中にシャークトパスに襲われたり、シャークトパスが人に襲われている姿を目撃した後も平気で釣りを続けるカップルがいたりと、見どころは満載です。
先ほども言いましたが、作品の内容自体はシャークトパスがメキシコで大暴れというシンプルな内容なので、とても見やすいです。「MEG ザ・モンスター」シリーズなどの名作サメ映画にハマった人の、次のサメステップに非常に最適な作品だと思います。
②『シャーケンシュタイン』
サメとフランケンシュタインで、『シャーケンシュタイン』です。
この作品は伝説に残る映画だと思います。
まず、皆さんにシャーケンシュタインの姿を確認していただきたいのですが、この姿を見て「観たい!」と思った方は大満足できるサメ映画ですし、「なにこれ!?」と思った方は新しい扉が開きますので観ていただきたいです。私はなぜこの作品をひとりで観たのでしょうか?
絶対に誰かと一緒に見るべき映画です。決して道連れが欲しかったわけではなく、この1時間ちょっとの体験を分かち合いたいのです。
私「は? 何今の!?」
そう思うシーンが満載で、一緒に観ている人がいたら絶対にその人の反応が気になります。恐らく一緒に観ている人もこちらの反応が気になることでしょう。シャーケンシュタインの変な動き、登場人物の謎の行動、爆破シーンの不自然さなど、一緒に観ている相手の顔を確認して目が合うことになると思うので、「好きな人と目が合いたい」と願う少女がいたら私は「シャーケンシュタインを一緒に観なよ!」と、アドバイスをしようと思います。
うまく言えないのですが、このおばか映画を誰かと観たら、きっとこれから先もふとしたときに、「あの映画ばかだったよね~」と一緒に何度も思い出して笑い合えるはずです。視聴中は人によっては「時間返せ!」と思うかもしれません。しかし、この作品は友人と一緒に観たら一生忘れられない思い出を共有できる気がするのです。もしも、その友人といつか会わなくなってしまったとしても、この映画をその人と観たことは一生忘れない気がします。私はひとりで観てしまったんですけどね!
私が特にこの映画で大好きなシーンは、シャーケンシュタインに牛を殺された村人たちが怒ってシャーケンシュタインを追い詰めるシーンです。村人たちが強過ぎます。逃げるシャーケンシュタインに対し、村人たちはゆっくりと歩きます。
ゆっくり歩いて追い詰めるのは強い人がやる追い方です。その村人の中に後輩芸人のオダウエダの植田(紫帆)ちゃんにそっくりな人がいて、途中から私は「頑張れ植田ちゃん!」と思いながら観ました。
③『パペットシャーク』
タイトルの通り、パペット人形を使ったサメ映画です!
セサミストリートの世界観でサメ映画を観られる日がくるとは! ちなみにサメもパペットです! なんならこの作品の中でサメの見た目が一番かわいいです。サメに襲われるシーンがサメ映画至上最も怖くない作品です。
私「これなら4歳の息子でも観られる」
しかし、見た目はかわいいのですが、中身が大人向きのブラックジョーク満載なので4歳児には不向きです。人食いザメの伝説がある湖畔の森を訪れた2人の少年がキャンプをしながら人食いザメの伝説を語り合うという内容で、少年たちの話す物語で映画は進みます。
少年たちは交互にいろいろなサメの話をするのですが、大麻を欲するカップルがサメに襲われる話だったり、森でサメ映画を撮る話だったりとサメ映画あるあるを取り入れたお話もあれば、客に「毎日フロスをしろ!」と言うのが嫌になった歯医者がサメの歯を掃除することになった話など、ぶっ飛んだサメの話も登場します。とにかくたくさんのサメの話を一気に摂取することが可能です。
夜な夜なサメの話をし続ける少年2人にラスト驚くべき展開が待っているのですが、この映画の見どころは、映画内で登場人物が、
「なぜすべてに意味を求める。誰もが意味に固執する 。人生に意味などない。ただ楽しめばよい。変なことは変なままでいい。大切なことは意味を忘れることだ」
まさに、すべてのサメ映画に通じるメッセージだと思いますし、現代人への警告のような気もしました。日々インプットやアウトプットに追われている人はぜひ一度、頭をリセットするのに最適な作品だと思います。
個人的には、B級サメ映画入門には『シャークトパス』、誰かと一緒に観るなら『シャーケンシュタイン』、疲れているなら『パペットシャーク』がお薦めです!
田辺さんも皆さんも、この夏はサメ映画で決まりですね!
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おわりに・・・
『ムーンシャーク』
ついにサメは月まで行ってしまいました。なぜ月にサメがいるのか? それは冷戦時代にロシアが作ったハイブリットシャークが脱走してしまい、科学者たちは地球が襲われないようにとロケットで彼らを宇宙に連れて行ったからです! なるほど、納得! この作品は月に降り立った人間とハイブリットシャークのバトル映画です。ハイブリットシャークは言葉を話し、見た目も顔を見てやっと、「もしかしてサメが親戚にいる?」と分かる感じです。シャークトパスとシャーケンシュタインを疑問に思わなかった私が「ハイブリットシャークって何?」と、視聴中ずっと感じたすごい作品です。この映画は「どこまでがサメ映画なのか?」というぎりぎりのラインを攻めています。サメ映画を見ていることを忘れます。ビーチで水着美女がサメに襲われる王道サメ映画が苦手な人はぜひ!
『スノーシャーク/悪魔のフカヒレ』
日本語タイトルが最高です。悪魔のフカヒレ! 「悪魔の」と付けられたフカヒレもびっくりしたことでしょう。雪山にサメが現われます。
なぜ? それは地震によって伝説の雪を泳ぐサメが目覚めてしまったからです。もうサメに行けないところはありません。雪の中から背びれだけ見せて近づいてくるサメの姿は恐怖シーンのはずなのに、「ふふふ…」と力が抜けてしまいます。「最初はなんだこれ!」と雪を泳ぐサメ(とてもチープ)に突っ込んでいましたが、気付くとこのシーンを求めている自分がいました。襲われた人が情報共有していないのに「雪ザメだ!」と同じネーミングセンスを持っているところなども大好きです。市長が連れてきた調査団が、頼りない人たちオーディション最終審査に残った人たちみたいに頼りなさ過ぎて大好きです。ちなみにこの映画はサメ映画でありクリスマス映画でもあります。
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『シャークトパス VS 狼鯨』
なんと! 今回メインで取り上げたシャークトパスには続編があるのです!ちなみにこちらは3作品目であり、『シャークトパス VS プテラクーダ』という2作品目があります。3作品目ですが、サメ映画あるあるで、この作品から見ても特に問題はありません。問題はないのですが、こちらの方が内容はぶっ飛んでいます。シャークトパスに「VS」が付けられている狼鯨とは、シャチとオオカミの遺伝子操作をされた野球選手です。イギー・ポップもなぜか出演しています。狼鯨が妙にかわいかったり、カンフーが登場したり、好き嫌いは恐らくはっきり分かれると思うのですが、ラストの、シャークトパスVS狼鯨のバトルシーンを観るころには、現世でこの映画にたどり着いたという達成感を得られました。出会えたことに感謝。そしてこの映画で私の中のマッドサイエンティストのイメージが覆されました! セクシー!
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トップ画像(クレジット):『シャークトパス SHARKTOPUS』:ⓒ2010 Rodeo Productions All Rights Reserved.