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笑って泣けるゾンビ映画!? 私の創作意欲が増したとっておきの作品【#エンタメ視聴体験記/ぼる塾・酒寄希望】

 お笑い芸人・ぼる塾の酒寄希望さんが、WOWOWの多岐にわたるジャンルの中から、今見たい作品を見て“視聴体験”を綴る、読んで楽しい新感覚のコラム連載企画「#エンタメ視聴体験記 ~酒寄希望 meets WOWOW~」。 
 今回は、『ゾンビランド』を見た体験を酒寄さんならではの視点で綴ります。

 ネタや文章を書いていると、たまに不安に襲われます。

 これは果たして面白いのか?
 世界でこれを面白いと思っているのはわたしだけなのではないか?
 そもそもわたしもこれを面白いと思っているのか?

 そうなるとどんどん悪い方向に思考が進んでいき、最終的に、

 わたしは一体なにがしたいんだ?

 全てを見失い、途方に暮れます。

 わたしは一体なにがしたいんだ?

 目の前は真っ暗です。暗闇です。この状況のときは大変苦しいです。そしてとても怖い。ですが、わたしはこの暗闇から脱出できます。私を照らして進むべき道を教えてくれる映画があるからです。

『ゾンビランド』

 作品を見て、「感動した!」「面白かった!」「出会えて良かった!」など、いろんな感情を抱くことがありますが、この作品に対して思ったことはひとつ。

 「わたしもこんな作品を作りたい!」

 いわば、わたしの創作における目標です。

 ゾンビ映画は絶大な人気コンテンツでありながら見る人を選ぶ特殊なジャンルです。わたしは大好きですが、苦手な人がいる理由も見ているとなんとなくわかります。しかし、個人的にゾンビランドは視聴した全ての人が面白いと感じるゾンビ映画だと本気で思っています。

 この作品は謎の新型ウイルスに感染した者がゾンビと化して人類のほとんどが絶滅状態となった世界が舞台です。ゾンビ映画ではおきまりのパターンです。人間の登場人物は非常に少なく、物語のほとんどがほぼ4人で進行していきます。

 主人公はアメリカに住む大学生のコロンバス。ひきこもりで臆病者で嫌いなものが多く、本来ならゾンビに真っ先にやられてしまうタイプです。そんな彼が生き残れた理由は彼が作った「ゾンビの世界で生き残るための32のルール」を守り続けているからです。このルールが非常によくできており、ゾンビファンなら「あるある」として楽しめますし、ゾンビを全く知らない人も「なるほど確かに!」という絶妙な内容になっています。
 
 一例を挙げると、【ルール3、トイレに用心】無防備になるトイレはゾンビに非常に襲われやすいのです。

Ⓒ 2009 Columbia Pictures Industries, Inc. and Beverly Blvd LLC. All Rights Reserved.

 主人公が旅の途中で出会うワイルドな男、タラハシー。わたしが今までに見た映画作品の中で一、二を争う大好きなキャラクターです(関係ないですが一、二を争っている相手は『少林サッカー』のシンです)。
 タラハシーには悲しい過去があり、ゾンビを心底憎んでいます。戦闘狂で、「俺の特技はゾンビ狩りだ!」と、ゾンビをバンバンやっつけます。暴れん坊の彼ですが、お菓子のトゥインキーが大好きという可愛い一面があり、ゾンビランドはタラハシーにとってはトゥインキーを探す旅でもあります。

 そこにさらに仲間に加わるウィチタとリトルロックの美人姉妹。この2人は世界がゾンビに染まる前からプロの詐欺師として活躍しており、悪事を働くし、平気で主人公とタラハシーを裏切ります。実際に自分の周りにいたら困りますが、映画の世界において詐欺師の美人姉妹という存在は非常に惹きつけられます。他人に容赦はないですがその分姉妹の絆は固く結ばれており、姉ウィチタの妹に対する愛情はグッときます。そして2人とも悪さはするけど根が優しいので、主人公のコロンバスは姉のウィチタと恋に落ちます。

Ⓒ 2009 Columbia Pictures Industries, Inc. and Beverly Blvd LLC. All Rights Reserved.

 そんな4人が出会い、ゾンビがいないと噂されている「遊園地パシフィック・プレイランド」に一縷いちるの望みをかけて向かいます。ゾンビランドはゾンビ映画ですが、ロードムービーでもあるのです。

 生き残りが最優先の世界の中で、彼らは車の中でくだらない雑談をし、人間が誰もいなくなったお土産屋さんで悪ふざけをし、侵入した家でボードゲームをします。彼らには生き残るための緊張感もこの世界を救う使命感もありません。人間の彼らはゾンビと真逆の生活感があるのです。

 そして旅を続けていく中で、彼らはほかに選べないから一緒に行動をともにする集団から、運命の出会いをした新しい家族へと徐々に変化していきます。

 出会った瞬間から運命だと感じるのではなく、運命を育てていくのです。

 コロンバスとタラハシーは正反対の性格ですがかけがえのない相棒になり、コロンバスとウィチタにはほのかな恋心が芽生え、コロンバスとリトルロックはお姉ちゃんに恋をする冴えない男とそれに呆れるしっかり者の小さな妹としてしっかりと距離が縮まります。タラハシーとウィチタは2人になると地元の悪友のような悪ふざけをし、タラハシーとリトルロックは本当の父と娘のようなかけがえのない存在になっていくのです。

 【ルール32、小さいことを楽しめ】

 ゾンビが蔓延した世界で、ひとりもヒーローがいない4人組が、生きている人間ができることのかぎりをつくす。それがゾンビランドです。

 【ルール17、英雄になるな】

 物語の終盤、辿り着いた遊園地で大量のゾンビに対してたった4人で立ち向かう彼らは、絶望の中の希望をわたしに見せてくれました。このラストの遊園地シーンはひとりでも多くの人に見てもらいたいです。この4人が出会える場所はこの世界だけ。ですからゾンビランドは絶対にゾンビ映画でなくてはならないのです。ゾンビランドは笑えて泣けて何度も見たくなる作品です。わたしもいつかこんな作品を生み出したいです。

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おわりに・・・

 今回取り上げることはありませんでしたが、酒寄さんが気になった作品を酒寄さんならではの視点でご紹介します。

『ゾンビランド:ダブルタップ』
 10年ぶりとなるゾンビランドの続編です! 好き過ぎる作品は続編を見るのが怖いのですが、やはり最強の映画は続編も最強でした! 冒頭を見た瞬間から、「あの世界に戻って来た!」というワクワク感が止まりません! 今作から新しく登場するキャラクターもとても魅力的で、「あの4人だから良かったのに…」という気持ちも一切感じません。わたしもぼる塾の活動に途中参加したので勇気をもらいました。確実にパワーアップしています。ただし順番を守り、絶対にゾンビランドから見ていただきたい!

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『ファイブ・ナイツ・アット・フレディーズ』
 世界的ヒットを記録した同名ホラーゲームの映画化作品です。元のゲームが大変怖いので、「あれを一体どうやって映画に!?」と気になり視聴しました。映画オリジナルの要素が強く、ミステリー要素が満載で、「この後一体どうなるの!?」とずっとドキドキしながら見ていましたが、中盤以降でどんどん今までの謎が解き明かされていき、最後に全てがわかり「そうきたか!」と映画版ならではの展開に膝を打ちました。映画版の『ファイブ・ナイツ・アット・フレディーズ』はホラーでありながら人間ドラマがある作品です。

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『アナと世界の終わり』
 ゾンビ映画は星の数ほどあるので全てを追うことはできていないのですが、新たに知らなかったゾンビ映画に出会えました! こちらはなんと青春ゾンビミュージカルなのです! そんな単語は初耳です! まだ本編は見ていないのですが、気になって仕方ありません。きらきらしたミュージカルとゾンビって真逆な感じがするので、どのような化学反応を起こすのかこれから確認しようと思います! ゾンビ映画って発想に終わりがなくて作品探しが非常に楽しいです。

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合わせて読みたい! お笑い芸人の中山功太さんによる「#エンタメ視聴体験記 ~中山功太 meets WOWOW~」のコラムはこちら

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トップ画像(クレジット)/『ゾンビランド』:ⓒ 2009 Columbia Pictures Industries, Inc. and Beverly Blvd LLC. All Rights Reserved.