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映画のはなし シネピック

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新しい映画と出会える。映画をより深く楽しめる。そんなコンテンツをお届けしていきます。担い手は、映画ライターSYOさんなど個性豊かな面々。それぞれの感性が作り出す映画愛は必見です!… もっと読む
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#アカデミー賞

圧倒的に低い日本の難民認定率――アカデミー賞候補となったドキュメンタリー・アニメから考える

文=安田菜津紀 @NatsukiYasuda  今回取り上げるのは、第94回アカデミー賞で3部門にノミネートされるなど高い評価を受けたヨナス・ポヘール・ラスムセン監督作『FLEE フリー』('21)。 (※4/9(日)後10:45、ほかリピート放送あり)  アフガニスタンから脱出した青年アミン(声:アミン・ナワビ)が自らの経験を語るドキュメンタリーだ。主人公や周囲の人々の安全を守るため、実写ではなくアニメーションを用いて制作された。この映画と今の日本社会を重ね、SDGsの

「アカデミー賞授賞式」の生中継と字幕版、どちらも現場は「生」の緊張感。ギリギリまでこだわる番組制作の舞台裏を担当プロデューサーに聞いた。

受賞式の“すべて”を楽しんでいただくために —アカデミー賞授賞式当日、放送に向けて大垣さんのスケジュールを教えてください。 大垣「まずは前日に(日本のスタジオの)リハーサルがあるので、そこからスタートしています。早朝から美術セットの建て込みが始まります。セットが出来てくるとやっぱりテンション上がりますね。お昼過ぎから技術周りの打ち合わせとスタジオのリハ。また、現地と中継をつなぐテストも行なっています。だいたい夕方には終わるんですけど、その後、そのリハを受けての修正や調整、

暴力には毅然と「NO」と言える輪を――映画から考えるロシアによるウクライナへの軍事侵攻

文=安田菜津紀 @NatsukiYasuda  今回取り上げるのは、第79回アカデミー賞で国際長編映画賞の前身となる外国語映画賞を受賞したドイツ映画『善き人のためのソナタ』('06)。  東西冷戦末期の東ドイツを生きる表現者たちには、常に権力者たちの監視の目がつきまとう。言論の自由が奪われる危機感は、現在のウクライナとロシアを巡る動きにも重なるものがある。SDGsの「目標16:平和と公正をすべての人に」「目標5:ジェンダー平等を実現しよう」を切り口に、この映画から今、世界

長年アカデミー賞の行方を追い続ける“オスカーウォッチャー”Ms.メラニーが提案! 異例尽くしのアカデミー賞を100倍楽しむ!

 いよいよ3月28日(日本時間)に開催予定の「第94回アカデミー賞授賞式」。今回は、この授賞式の見どころを、長くアカデミー賞を追い続け、「なぜオスカーはおもしろいのか? 受賞予想で100倍楽しむ『アカデミー賞』」の著者でもあるMs.メラニーさんが解説します。 文=Ms.メラニー @mel_a_nie_oscar  今年のオスカーは面白い。何が面白いかって、まず濱口竜介監督の『ドライブ・マイ・カー』(’21)が、「作品賞」「監督賞」「脚色賞」「国際長編映画賞(旧・外国語映画

【驚きのビフォー&アフター】歴代受賞作に見るアカデミー賞「メイク・ヘアスタイリング賞」

 いよいよ3月28日(日本時間)に開催予定の「第94回アカデミー賞授賞式」。今回は、アカデミー賞全23部門の中から「メイク・ヘアスタイリング賞」にフォーカスを当てたコラムをお届け。アパレル業界から映画ライターに転身し、『オードリーに学ぶおしゃれ練習帳』などの著作を持つ清藤秀人さんに、歴代の受賞作品について、その驚きのビフォー&アフターをご紹介いただきました。 文=清藤秀人 @hidetokiyotoh 「メイク・ヘアスタイリング賞」のはじまり  アカデミー賞全23部門の中

“赤狩り”から“ダイバーシティ”の流れまで――アカデミー賞は「時代を映す鏡」だ。

 いよいよ3月28日(日本時間)に開催予定の「第94回アカデミー賞授賞式」。アカデミー賞はシンプルに素晴らしい作品、映画人に賞を授与することが名目だが、その歴史を振り返れば、各時代の“鏡”になっていることがよく分かる。その時々の社会問題にハリウッドが敏感に反応し、受賞者や受賞作、さらに授賞式に大きな影響を与えてきたからだ。今回は映画専門ライター/ジャーナリストの斉藤博昭さんに、授賞式をもっと深く楽しむために、アカデミー賞はいかに時代の“鏡”であり続けたかという側面で歴史を振り

経済成長だけが進むべき道なのか――「現代のノマド」から考える

文=安田菜津紀 @NatsukiYasuda  今回取り上げるのは、2017年にジェシカ・ブルーダーが発表したノンフィクション『ノマド ――漂流する高齢労働者たち』が原作となった『ノマドランド』('20)。  第93回アカデミー賞で作品賞、監督賞(クロエ・ジャオ)、主演女優賞(フランシス・マクドーマンド)の最多3部門を受賞。第77回ヴェネチア国際映画祭でも金獅子賞を受賞した。人々が「現代のノマド=遊牧民」になるまでの背景から、SDGsの「目標10:人や国の不平等をなくそう

作品賞&俳優賞だけがオスカーじゃない! 映画ライターが勧めるアカデミー賞の「通」な楽しみ方

 いよいよ4月26日(日本時間)に開催される「第93回アカデミー賞授賞式」。今回は、作品賞や監督&俳優賞に比べて脚光を浴びることの少ない3つの部門賞にフォーカス。アパレル業界から映画ライターに転身し、『オードリーに学ぶおしゃれ練習帳』などの著作を持つ清藤秀人さんに、衣装デザイン賞、音響賞、そして国際長編映画賞から読み解く「通」な楽しみ方をお勧めしてもらいました。 文=清藤秀人 @hidetokiyotoh 「時代劇」に偏らない衣装デザインが近年のトレンド  アカデミー賞授

この映画の大切な問いは、「あなたは何をしてきたのか」――『スポットライト 世紀のスクープ』から考える

文=安田菜津紀 @NatsukiYasuda 今回取り上げるのは、第88回アカデミー賞で作品賞と脚本賞を受賞した『スポットライト 世紀のスクープ』(’15)。  実際に起きた神父たちによる性虐待と、長年それを組織的に隠蔽(いんぺい)してきたカトリック教会の問題を報じ、世に知らしめたボストン・グローブ紙の調査報道チーム「スポットライト」を描いた作品を、SDGsの「目標16:平和と公正をすべての人に」の観点から紐解いていきたい。 (SDGsが掲げる17の目標の中からピックア

長年アカデミー賞の行方を追い続ける“オスカーウォッチャー”Ms.メラニーが今年ならではの楽しみ方を解説

 アメリカ映画界の祭典、アカデミー賞。新型コロナウイルスの影響で例年よりも遅い4月26日(日本時間)に授賞式が行なわれる「第93回アカデミー賞授賞式」の見どころを、長くアカデミー賞を追い続け、「なぜオスカーはおもしろいのか? 受賞予想で100倍楽しむ『アカデミー賞』」の著者でもあるMs.メラニーさんが解説します。 文=Ms.メラニー @mel_a_nie_oscar  2カ月遅れて、今年もオスカー・シーズンがやってきました。私は長年、オスカーの受賞結果を全部門で予想して競

いつもと違うアカデミー賞は今回だけじゃない! 過去にもあったアカデミー賞授賞式のさまざまな“例外”

マガジン「映画のはなし シネピック」では、4月26日(月)にWOWOWで生中継する「第93回アカデミー賞授賞式」に合わせたコラムをお届けしていきます! 今回は、過去のアカデミー賞での知られざる“例外”をご紹介。これを読めばあなたもアカデミー賞授賞式通! 文=前田かおり 開催延期されたアカデミー授賞式と消えたオスカー盾  新型コロナウイルス感染症の影響で当初予定されていた2月から約2カ月延期され、日本時間の4月26日(月)に開催されることになった「第93回アカデミー賞授賞式