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#エンタメ視聴体験記

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WOWOWの多岐にわたるジャンルの中から、書き手が今見たい作品を見て“視聴体験”を綴る、読んで楽しい新感覚のコラム連載。お笑い芸人の中山功太さんとぼる塾・酒寄希望さんを書き手にお…
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記事一覧

いつまでも少年漫画に心惹かれる中年芸人の僕が、傑作アニメを観て思い出す中二の初夏の出来事【#エンタメ視聴体験記/中山功太】

文=中山功太  幼い頃からずっと、少年漫画が大好きだ。  中年実写となった今でも、少年漫画を読んでいる時だけはあの頃の気持ちに戻れる。  4つ歳上の兄の影響もあり、特に週刊少年ジャンプが好きだった。  四半世紀以上も前のことだが僕が中学生の頃、月曜日に発売されるジャンプを土曜日に読める謎のルートを持った、S君という野球部の同級生がいた。  中学二年の初夏。  誰もが楽しみにしていた「DRAGON BALL」の最新話を読んだ彼は、街中を自転車で練り走りながら叫んだ。 「

自分の考える“やさしさ”を、ぬいぐるみのようにすべて受け止めてくれる不思議な映画【#エンタメ視聴体験記/ぼる塾・酒寄希望】

 文=酒寄希望  皆さんこんにちは。ぼる塾の酒寄です。  『ぬいぐるみとしゃべる人はやさしい』  私がこの映画のタイトルを見て最初に思ったことは、  私「私って優しいの?」  私はぬいぐるみとしゃべります。私の4歳の息子はぬいぐるみが大好きで、中でも“こねこちゃん”というぬいぐるみは彼の相棒です。  息子「ママ! こねこちゃんやって!」  私は息子にこねこちゃんの声を頼まれ、こねこちゃんとして彼と会話をします。  私「そろそろママとお風呂入ろうね!」  息子

何度でも観たくなるカッコいいシーンが満載!“最強”の韓国アクション映画を芸人の僕が全力でプレゼン!【#エンタメ視聴体験記/中山功太】

文=中山功太  断言してしまうが、男はみな最強が好きである。  幼い頃からおびただしい人数の男と会話をしてきたが、統計学的に見ても間違いない。 「○○しか勝たん」や「○○で優勝してきた」といった日本語の乱れを憂いている僕も、最強だけは大好物だ。  格闘技において「相撲立ち技最強説」という仮説がある。  最強の正しい使い方ではあるが、こんなにロマンに満ちた言葉はそうそう無い。格式高い大相撲こそがバトルにおいても最強である、なんてあまりにも格好良すぎる。  また、Y

一生くだらないことだけ考えて生きていきたい私にとって、映画『少林サッカー』は財産だ。【#エンタメ視聴体験記/ぼる塾・酒寄希望】

 文=酒寄希望  皆さんこんにちは。ぼる塾の酒寄です。    私「一生くだらないことだけを考えて生きていきたい」  私はそう言って、夫の前で本気で泣いたことがあります。そんな私に夫は言いました。  夫「頼むから『少林サッカー』を見てほしい」  夫は言いました。  夫「頼むから『少林サッカー』を見てほしい。吹き替え版で」  私「字幕ではなく?」  夫「吹き替え版で見てほしい。字幕が悪いわけではない。『少林サッカー』の吹き替えが良過ぎる」  夫は言いました。  

ファッション大好きだけどダサい僕をとりこにしたデザイナーたちの華麗なる“デスゲーム”【#エンタメ視聴体験記/中山功太】

文=中山功太  僕にはファッションセンスがない。  おそらく芸人でもトップクラスのダサさだと思う。  僕の事を知って下さっている読者に「いやいや、そんな事ないですよ」と言って欲しいから書いてる訳ではなく、正式にダサい。色や柄の組み合わせもわからないし、流行にも疎い。  面倒臭いからという理由だけで、10年前からパンツの裾直しもやめた。  ではファッションに興味がないのかと言われるとそうではなく、服も靴もめちゃくちゃ好きだ。  多分、オシャレな人と同じぐらいか、それ以上に

人間の心情を丁寧に描くドラマ「三体」は、自分の人生に刻むように視聴する作品【#エンタメ視聴体験記/ぼる塾・酒寄希望】

 文=酒寄希望  皆さんこんにちは。ぼる塾の酒寄です。 衝撃的な作品に出合うと、私はその作品に日常を支配されてしまいます。常にその作品のことを頭で考えてしまい、登場人物のことを、私はその人物の親なのか? というくらい考えてしまいます。  今の私は大変です。今、私は地球に住む人類全員のことを考えています。 そして、今回私が紹介するのは「SF超大作『三体』」です。  ドラマ「三体」は、世界累計発行部数2,900万部超え、20カ国以上の言語で翻訳された世界的大ベストセラー小説

嫌味しかない僕の心をすっかり浄化させた、本場フィンランドのサウナを満喫する磯村勇斗の爽やかさ 【#エンタメ視聴体験記/中山功太】

文=中山功太  家の風呂が嫌いだ。  家の風呂に入る意味がわからない。  家庭用バスタブ業者やシャワーヘッド業者の方には本当に申し訳ないが、僕は入りたくない。  よくバラエティ番組で、俳優やタレントが「私ホントお風呂入らないんですよ~」と言って意外性を見せて最速で売れようと張り切ってるシーンを目にするが、厳密に言うとあれは嘘だ。  湯船に浸からないだけでシャワーは浴びているはずだ。  僕は違う。  冬はシャワーも浴びない。  ウェットティッシュで要所を拭き取

私の知っている“マリオ”じゃない…!? 観ると元気になる、異色のマリオ実写版映画【#エンタメ視聴体験記/ぼる塾・酒寄希望】

 文=酒寄希望  皆さんこんにちは。ぼる塾の酒寄です。  皆さんは任天堂のキャラクター「スーパーマリオ」を知っていますか?  街角アンケートをしたら恐らく「知っている」と、99%の方がこう答えると思います。もしかしたら100%かもしれません。赤い帽子と紺色のオーバーオールを着用し、鼻の下に口ひげを生やしているあの人です。私が今さらこんな質問をしなくても誰もが知っている、世界中で愛されるキャラクターです。では、皆さんはそのスーパーマリオが映画になっていることは知っていますか

狂おしいほど猫が好きな芸人の僕が見つけてしまった、誰もが“猫沼”にハマるヤバすぎな番組 【#エンタメ視聴体験記/中山功太】

文=中山功太  猫が好きだ。猫が好きでたまらない。猫の事を考えるだけで口角が上がる時さえある。  僕が小学5年生の頃のとある日、4つ年上の兄が突然野良猫を拾って帰って来た。  白と茶色がまだらになっている雑種丸出しのブチだった。相当な赤子猫だったと思う。 「可愛かったから」というプレーンな理由で連れ帰った兄だったが、両親は飼う事を猛反対した。  無理もなかったと思う。  なぜなら我が家では、今までカブトムシ以外、何も飼った事がなかったからだ。いきなり猫はスキル不足に

私の心の中にずっといる“先生”を呼び起こしてくれた、大人の恋愛ドラマ【#エンタメ視聴体験記/ぼる塾・酒寄希望】

 文=酒寄希望  皆さん、こんにちは。ぼる塾の酒寄希望です。  私には忘れられない“先生”がいます。東京よしもとの養成所時代にお世話になった構成作家の方です。養成所にはネタ見せという授業があり、今現在活躍されている構成作家の方に生徒が作ったネタを見てもらいます。プロの方にアドバイスをもらえるという大変貴重な授業です。  私は養成所時代から現在の相方である田辺さんとコンビを組んでおり、「彼女は才能がある。絶対に売れる」と、確信していました。しかし、生まれ持っての自分に対する

「フランス映画か!」という“ありがちなツッコミ”について、フランス映画の傑作を観て深く考える【#エンタメ視聴体験記/中山功太】

文=中山功太  今の今までフランス映画を観た事がなかった。  厳密に言うとテレビで深夜に観た事があるのかも知れないが、たまたまチャンネルを合わせていただけの「推定フランス映画」をチラ見した程度だと思う。  お笑いにおいて「フランス映画か!」というニュアンスのツッコミが昔から重宝されている。大抵、ボケの人がダラダラと長尺で難解な発言をした後に放たれる事が多い。  その事実からも分かる様に、よほどの映画好き以外は、以前の僕も含めてフランス映画に良い印象を持っていないの

ぼる塾がもしも“オーシャンズ8”だったら…あの計画を話し合う!?【#エンタメ視聴体験記/ぼる塾・酒寄希望】

 文=酒寄希望  皆さん、こんにちは。ぼる塾の酒寄希望です。  私が連載第7回目の今回、選んだ作品は『オーシャンズ8』です!  突然ですが、私は漫画家のつづ井さんが大好きです。つづ井さんは「腐女子のつづ井さん」をはじめとした、コミックエッセイを執筆しています。つづ井さんはロングヘアーが似合う笑顔が素敵な女性です。つづ井さんは自分の趣味やお友達との楽しい日常を漫画に描いており、その作品は声に出して笑ってしまうほどに面白いです。私は電車内でつづ井さんの漫画を読んで笑ってしまい

普通のお父さんの奮闘劇を観て思う、“普通じゃない”僕のお父さんの事【#エンタメ視聴体験記/中山功太】

文=中山功太  自分の父親について考える度に、僕は自分の中でジャンル分けできない感情になる。  父親は若い頃から狂ったように働き、祖父から受け継いだ木工所を株式会社にし、二代目社長として国内外に沢山の工場を建て、ソファーベッドの製造販売を行っていた。  父親は基本的にはソファーもベッドも作らなかった。闇雲にソファーベッドだけを作り続けた。  中学生の頃、会社のパンフレットを見ながら父親に、なぜソファーベッドしか作らないのか? と、聞いた事があったが、少し照れたように笑

出産、復帰、賞レース出場―。心がピンチの時に何度も助けてくれた、原田マハさんの世界【#エンタメ視聴体験記/ぼる塾・酒寄希望】

 文=酒寄希望  皆さん、こんにちは。ぼる塾の酒寄希望です。  私が連載第6回目の今回、選んだ作品は「CONTACT ART~原田マハと名画を訪ねて~」です。  実はこの連載、元々は全6回と決まっていて、本来ならば今回が最終回となっていました。しかし、好評につき連載延長となりました! 読んでくださっている皆さんのおかげです! ありがとうございます!  私はこの連載が始まった時、最終回は絶対に「CONTACT ART~原田マハと名画を訪ねて~」で書こうと心に決めていました