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#エンタメ視聴体験記

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WOWOWの多岐にわたるジャンルの中から、書き手が今見たい作品を見て“視聴体験”を綴る、読んで楽しい新感覚のコラム連載。お笑い芸人の中山功太さんとぼる塾・酒寄希望さんを書き手にお…
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#映画

笑って泣けるゾンビ映画!? 私の創作意欲が増したとっておきの作品【#エンタメ視聴体験記/ぼる塾・酒寄希望】

 ネタや文章を書いていると、たまに不安に襲われます。  これは果たして面白いのか?  世界でこれを面白いと思っているのはわたしだけなのではないか?  そもそもわたしもこれを面白いと思っているのか?  そうなるとどんどん悪い方向に思考が進んでいき、最終的に、  わたしは一体なにがしたいんだ?  全てを見失い、途方に暮れます。  わたしは一体なにがしたいんだ?  目の前は真っ暗です。暗闇です。この状況のときは大変苦しいです。そしてとても怖い。ですが、わたしはこの暗闇か

人は自分の為じゃなくても泣けると僕に教えてくれた、韓国の名作映画で過去イチ号泣【#エンタメ視聴体験記/中山功太】

文=中山功太  ご存知の方もいるかと思うが 「人は自分の為にしか泣けない」という仮説がある。  家族や友人など、大切な人が亡くなった時も「大切な人を失った自分が可哀想だから泣く」のだそうだ。  果たして本当なのだろうか?  「感情以外の涙は違うはずだ」という屁理屈で打ち破るべく検証してみたい。  あくびした時の涙。これは人体の構造上、勝手に流れる涙だ。自分の為に泣いてはいないのではないか?  しかし僕は、単独ライブのネタ作りなどであまりにも眠い時、あくび泣きの後に歯を食

数限りないタクシーの思い出と優しくて面白い極上の娯楽映画『TAXi』【#エンタメ視聴体験記/中山功太】

文=中山功太  忘れられない言葉がある。  昔、大阪で活動していた頃、先輩の麒麟田村さんが興奮気味にこう述べたのだ。 「タクシーって凄くない? 手挙げたら停まってくれて、乗せてくれるねんで? 優しすぎるやろ?」  田村さんが心優しい方だとはいえ、目から鱗すぎた。  僕には、タクシーが優しいという発想はなかった。 「高倉健さんの写真集のタイトルとは?」という大喜利お題の田村さんの回答「フォト倉健」と共に、今でも脳裏に焼き付いている。  芸人は、実に頻繁にタクシーに乗る

“サメ×フランケンシュタイン” “パペット人形とサメの夢のコラボ”―。今夏に観たくなる異色のサメ映画たち【#エンタメ視聴体験記/ぼる塾・酒寄希望】

 文=酒寄希望  こんにちは。ぼる塾の酒寄です。  皆さん、夏がやってきましたね! サメ映画の季節です! 以前、この連載でサメ映画を取り上げたのですが、なんとその後、私の連載と全く関係ないところでぼる塾の田辺さんがサメ映画にハマりました! ちなみに田辺さんがサメ映画にハマったきっかけとなった映画は『MEG ザ・モンスターズ2』です。  田辺さん「あの日の私は何を思ったのか、この映画を映画館に観に行ったの。普段なら絶対にこの手の映画観ないのに。見たらすごく面白かった! 1

自分の考える“やさしさ”を、ぬいぐるみのようにすべて受け止めてくれる不思議な映画【#エンタメ視聴体験記/ぼる塾・酒寄希望】

 文=酒寄希望  皆さんこんにちは。ぼる塾の酒寄です。  『ぬいぐるみとしゃべる人はやさしい』  私がこの映画のタイトルを見て最初に思ったことは、  私「私って優しいの?」  私はぬいぐるみとしゃべります。私の4歳の息子はぬいぐるみが大好きで、中でも“こねこちゃん”というぬいぐるみは彼の相棒です。  息子「ママ! こねこちゃんやって!」  私は息子にこねこちゃんの声を頼まれ、こねこちゃんとして彼と会話をします。  私「そろそろママとお風呂入ろうね!」  息子

何度でも観たくなるカッコいいシーンが満載!“最強”の韓国アクション映画を芸人の僕が全力でプレゼン!【#エンタメ視聴体験記/中山功太】

文=中山功太  断言してしまうが、男はみな最強が好きである。  幼い頃からおびただしい人数の男と会話をしてきたが、統計学的に見ても間違いない。  「○○しか勝たん」や「○○で優勝してきた」といった日本語の乱れを憂いている僕も、最強だけは大好物だ。  格闘技において「相撲立ち技最強説」という仮説がある。  最強の正しい使い方ではあるが、こんなにロマンに満ちた言葉はそうそう無い。格式高い大相撲こそがバトルにおいても最強である、なんてあまりにも格好良すぎる。  また、Y

一生くだらないことだけ考えて生きていきたい私にとって、映画『少林サッカー』は財産だ。【#エンタメ視聴体験記/ぼる塾・酒寄希望】

 文=酒寄希望  皆さんこんにちは。ぼる塾の酒寄です。    私「一生くだらないことだけを考えて生きていきたい」  私はそう言って、夫の前で本気で泣いたことがあります。そんな私に夫は言いました。  夫「頼むから『少林サッカー』を見てほしい」  夫は言いました。  夫「頼むから『少林サッカー』を見てほしい。吹き替え版で」  私「字幕ではなく?」  夫「吹き替え版で見てほしい。字幕が悪いわけではない。『少林サッカー』の吹き替えが良過ぎる」  夫は言いました。  

私の知っている“マリオ”じゃない…!? 観ると元気になる、異色のマリオ実写版映画【#エンタメ視聴体験記/ぼる塾・酒寄希望】

 文=酒寄希望  皆さんこんにちは。ぼる塾の酒寄です。  皆さんは任天堂のキャラクター「スーパーマリオ」を知っていますか?  街角アンケートをしたら恐らく「知っている」と、99%の方がこう答えると思います。もしかしたら100%かもしれません。赤い帽子と紺色のオーバーオールを着用し、鼻の下に口ひげを生やしているあの人です。私が今さらこんな質問をしなくても誰もが知っている、世界中で愛されるキャラクターです。では、皆さんはそのスーパーマリオが映画になっていることは知っていますか

狂おしいほど猫が好きな芸人の僕が見つけてしまった、誰もが“猫沼”にハマるヤバすぎな番組 【#エンタメ視聴体験記/中山功太】

文=中山功太  猫が好きだ。猫が好きでたまらない。猫の事を考えるだけで口角が上がる時さえある。  僕が小学5年生の頃のとある日、4つ年上の兄が突然野良猫を拾って帰って来た。  白と茶色がまだらになっている雑種丸出しのブチだった。相当な赤子猫だったと思う。    「可愛かったから」というプレーンな理由で連れ帰った兄だったが、両親は飼う事を猛反対した。  無理もなかったと思う。  なぜなら我が家では、今までカブトムシ以外、何も飼った事がなかったからだ。いきなり猫はスキル不足に

「フランス映画か!」という“ありがちなツッコミ”について、フランス映画の傑作を観て深く考える【#エンタメ視聴体験記/中山功太】

文=中山功太  今の今までフランス映画を観た事がなかった。    厳密に言うとテレビで深夜に観た事があるのかも知れないが、たまたまチャンネルを合わせていただけの「推定フランス映画」をチラ見した程度だと思う。    お笑いにおいて「フランス映画か!」というニュアンスのツッコミが昔から重宝されている。大抵、ボケの人がダラダラと長尺で難解な発言をした後に放たれる事が多い。  その事実からも分かる様に、よほどの映画好き以外は、以前の僕も含めてフランス映画に良い印象を持っていないの

ぼる塾がもしも“オーシャンズ8”だったら…あの計画を話し合う!?【#エンタメ視聴体験記/ぼる塾・酒寄希望】

 文=酒寄希望  皆さん、こんにちは。ぼる塾の酒寄希望です。  私が連載第7回目の今回、選んだ作品は『オーシャンズ8』です!  突然ですが、私は漫画家のつづ井さんが大好きです。つづ井さんは「腐女子のつづ井さん」をはじめとした、コミックエッセイを執筆しています。つづ井さんはロングヘアーが似合う笑顔が素敵な女性です。つづ井さんは自分の趣味やお友達との楽しい日常を漫画に描いており、その作品は声に出して笑ってしまうほどに面白いです。私は電車内でつづ井さんの漫画を読んで笑ってしまい

サメになった“ぼる塾・田辺さんと酒寄さん”が人々を襲う!? サメ映画3本祭り【#エンタメ視聴体験記/ぼる塾・酒寄希望】

 文=酒寄希望    皆さん、こんにちは。ぼる塾の酒寄希望です。  私が連載第5回目の今回、選んだ作品は『ダブルヘッド・ジョーズ』と『トリプルヘッド・ジョーズ』と『シャークネード』です。  サメ映画3本! サメ映画祭りです!(勝手に)  最初からサメ映画祭りにしようとしたわけではなく、結果的にサメ映画祭りになってしまいました。    サメ映画とは、一般的にはサメが人を襲うパニック映画です。水着の美女が必ずと言っていいほど登場します。有名な作品だと、『ジョーズ』、『ディープ

〈ぼる塾・酒寄希望〉"自分がつまずいていたところから歩き出せる。" そんな気持ちにさせてくれたドラマ【#エンタメ視聴体験記】

文=酒寄希望    皆さん、こんにちは。ぼる塾の酒寄希望です。 私が連載第3回目の今回、選んだ作品は「連続ドラマW パンとスープとネコ日和」です!    皆さんは視聴する作品を選ぶとき、何を基準にしますか? 好きな俳優さんが出演している、原作が好き、好みのテーマ…ほかにもいろいろあると思います。今回私が選んだ作品は、以下の3つの好きな要素がすべて含まれています。    “小林聡美さん主演” “群ようこさん原作” “ごはんがテーマ”    もう完璧に私のドストライク作品なのです

〈中山功太〉韓国映画を観て感じた、いくつもの”恐ろしさ”【#エンタメ視聴体験記】

文=中山功太  今は東京に住んでいるが、まだ地元の大阪にいた20代後半の頃、仕事で週に1本、映画を観させていただいていた。  僕は元々、まったく詳しくはないが映画を観るのは好きで、その仕事をしている時、コラムのために映画が観られる今と同じように、単純にラッキーだと感じていた。  その頃、初めて韓国映画を観た。    それまで韓国の作品に触れることがなく、日本でも一大旋風を巻き起こした「冬のソナタ」もパチンコでしか知らず、「なるほど、ヨン様はカッコいいし、雪降っててムードある